BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――凛々しく!

 田村隆信が本体整備! 昨日はどこか迫力を欠いているように見えたが、しかし評判のパワー機である。2日目までは順調に結果も残していた。そんなモーターを、割った! 実は昨日も割っていたという話があって(目撃していない)、そのときに施した調整を元に戻したという可能性もあるわけだが、それにしても気配のいいモーターを割って整備するというのは、なかなか勇気がいることのはず(という話を選手から聞いたこともある)。もちろん点検程度という可能性もあるので、レースでの気配を注視はしたいが、このモーターをあえて分解したというあたりに、静かな気合を感じるわけである。

 3日目を終えて得点率トップの馬場貴也は、3R出走ということもあって、早くから精力的な動きを見せていた。賞金ランク1位で臨んでいる今節、さらに準優も無事故完走ということもあって、勝負駆けとはある意味無縁の存在なわけだが、レースに対するモチベーションが緩んでいる気配はなく、鋭い表情にはたしかに強い思いがあらわれている。

 同じく3R出走の石野貴之も、うなるような気合を感じる一人。畠山は「節イチではないか」とそのパワーを評価しており、石野自身も手応えを感じている様子である。この人の、ここ一番での気合の高まりというか、凛々しさというか、実に爽快であり、強烈。それを間近で見られるのは本当に幸せです。まあ、そうなるとすれ違いざまの挨拶すら躊躇してしまうほど、声をかけにくくなるんですけどね。それでこそ石野貴之、そんな思いもあったりする。

 ダービーでSG復帰を果たし、やはりその凛々しさに久しぶりに触れて嬉しかったのが井口佳典。ただ、今節はどうにも苦戦気味で、真摯な表情は変わりないものの、やはり苦しさを感じずにはいられない、そんな雰囲気だった。しかし、2Rで逃げ切り! ようやく井口の柔らかい笑顔が見られた! 井口の鋭い表情ももちろんカッコいいが、勝って見せる笑顔もやっぱり素敵すぎる。後半8Rも豪快なレースを期待しよう。

 2R2着の原田幸哉も、勝てはしなかったものの、スッキリしたスマイルを見せた。井口を追い詰めるというまでではなかったものの、それほど離されなかった2着。また、篠崎仁志との3番手争いをしっかり競り勝っている。そのことで、少し心の霧が晴れたというところか。

 で、井口のエンジン吊りに参加していた柳沢一が、手早く作業を終えると、すぐに原田のもとに飛んで行った。周回展示が行なわれているとき、柳沢はモニターにじっと見入っており、師匠である原田の走りを見ていたのは明白。展示から帰ってきた原田に声もかけている。そして、レース後は本来の仕事を終えてすぐさま寄り添う。原田が師匠、柳沢が弟子という師弟関係だが、本当は反対じゃないの?とか思ってしまいますね(笑)。大村でもきっと、原田を気にかける柳沢の姿が見られるでしょう。

 女子では、守屋美穂が1R2着。レース後、リプレイを見ながら田村隆信に意見を求めていた。また、その後は丸野一樹とも話し込んだり、柳沢とも言葉を交わしたり。SGのピットでは、守屋がこうして男子選手にアドバイスを求めたり、話を聞いたりするシーンは、けっこうよく見かけるものだ。その節だけでなく、レーサーとしての向上心をあらわしているものだと、感心して見ている次第である。で、今節は他の女子選手も、男子レーサーと話し込んでいるのをよく見かけるのである。昨日の9R1着の落合直子も、勝利者インタビューで「石野さんにアドバイスを受けた」という話をしてましたね。こうして、女子選手のレベルはどんどんと上がっていく。女子レースの盛り上がりはまだまだ増大するかもしれないですね。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)