BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――豪雨!

 突然の豪雨だった。朝からの雨はあがり、1R前にピットに入ったときには晴れ間さえ見えていたのである。それが、2R発売中ににわかに空が暗くなると、大粒の雨がドシャー。なにしろ不安定な天候なので、ゲリラ豪雨と称していいのかもよくわからないのだが、雨の勢いはまさにそれに類するもの。控室などにいた選手たちも次々とピットに出てきて、水面の様子を眺め始めた。
 これが、強い向かい風を伴っていたからたまらない。ピット、係留所は2マークの奥にあるから、向かい風に乗った大粒の雨がドシャドシャと吹き込み、特に係留所の屋根がまるで役に立たなくなったのだ。この様子を見て、係留所にボートを入れていた平山智加が慌てて駆け下りていく。つづいて、準優組の久田敏之。久田はペラ調整をしていたので、雨に濡れながら大急ぎでペラを装着していた。さらに稲田浩二も。彼らがボートを上げると、操縦席には大量の水が。平山と久田がアカクミ(スポンジ)を取り出したら、うわー、びっしょりじゃないか。石野貴之がやって来て、操縦席を覗き込むと爆笑。「えっぐーっ!」。まるでレースで6等を走って水をかぶりまくったかのように、操縦席は水浸しになっていたのである。というわけで、レース後に行なうように、クリーナーで水を吸い出す作業が始まった。ただ係留所にボートを置いていただけなのに、えらい災難(?)である。

 その頃、展示ピットにボートを移していた選手たち、また職員の方たちも一斉に駆け下りて、操縦席にカバーをかけるなどしていた。大変だったのは、2R出走組。出走時間も迫っていた彼らは同じようにピットに降りていくわけにはいかないので、カバーをかけるのは職員さんたち任せ。それでもさすがに雨を避けきれなかったボートもあったようで、敬礼してボートに乗り込んだあとには、まずアカクミで水を掻き出す必要があったのだった。
 いやー、選手の皆さん、大変でしたね! そんな荒れ模様の天気だったのだが、1R①-②、2R①-②、3R①-②とレースのほうは穏やかな序盤戦でした(笑)。

 さてさて、準優組。久田がボートを下ろしていたように、わりと早めから動く選手が多いようだった。10R1号艇の秦英悟は朝から試運転に出ていて、1R発売中にボートを上げて、調整に移行している。もう少し上げるのが遅かったら、秦のボートも水浸しになるところだった(笑)。

 水面に出ていたのはほかに、柳沢一、毒島誠、辻栄蔵、そして石野貴之。石野も雨が降る前にボートを上げていて、難を逃れている。石野については、足合わせをしていたらしい原田幸哉が愛弟子の柳沢一に「石野、すげえ出てる……」と唸っているのが聞こえてきた。昨日の12Rで4カドまくりを見せた石野の足は、準優日を迎えても翳りなしのようだ。

 上平真二は熱心に機歴簿に見入っている姿が。足は節イチ級に出ていると思うのだが、まだ気になるところがあるのだろうか。もう一人の1号艇、池田浩二は1R発売中には丁寧にモーターを装着し、こちらも早い始動だ。予選トップ3は怠りなく、しっかりと準優に向けて動いている。

 あと気になったのは、赤岩善生がステアリングバーを換えていたこと。これはモーターとハンドルをワイヤーでつなぐ部品で、曲がったりしていると操縦性に影響する。金属製の定規で取り付けを確認した後に、整備士さん(あるいは艇修理の係の方)に申告して交換していたわけだが、この段階で交換すべきと気づいたことは大きいはずだ。赤岩といえば整備の鬼だが、その対象は決してモーター本体だけではない。

 もうひとり、菊地孝平は2Rが終わってもまだ、モーターを装着していない。早い時間帯に本体整備をしたかどうかは確認できなかったが、1R発売中から入念にギアケースの調整を行なっていた。なお、豪雨が降り出したとき、「やっべーーっ!」と叫んで整備室を飛び出し、真っ先に水面の確認に向かったのが菊地孝平だったとお伝えしておきます。なぜかニコニコ顔でした(笑)。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)