BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――準優組の始動

 1R発売中から、石野貴之がブンブンと試運転を繰り返していた。これはなかなか早い動き出しだが、その合間にはもちろんプロペラ調整をしていて、さらにパンチをつけるための勝負の調整か、と思わされた。準優は2号艇で、出足に寄せる調整をしている可能性もあるが、とにかく、これだけ早くから精力的に動いているということは、昨日の状態をステイするということではなさそう。どんな仕上がりで臨むのか、まずは注目したい。

 同じく1R発売中に、毒島誠が大急ぎでボートを着水する場面があった。まるで展示ピットにボートを移すギリギリの時間までペラを叩いていた、というギリペラシーンを思わせる動きだったのだ。準優は5号艇で、勝ち抜くための思い切った調整をするのではないかと想像していたが、それを早くから始めていたということか。と思いきや、数分後に毒島はボートをあげて、しばし関浩哉と話し込むと、そのまま控室へ。あら、調整がうまくいったのかな? 電光石火の動きに少々驚かされた。

 それにしても、毒島が関と笑顔で会話を交わしているのを見るのは感慨深くもある。松本晶恵が初めてグランプリシリーズに出場し、水神祭をあげたとき、毒島はことのほか喜んでいた。曰く「群馬の男の後輩がなかなかSGに来られないから、女子の後輩の水神祭が嬉しい」。ようするにもっと男子の後輩の尻を叩かねば、ということだったわけだが、あれから数年経ち、関がSGに頻繁に参戦し、今節は準優出。土屋智則はSG優出も経験し、今節は予選トップ通過だ。予選落ちを喫したものの、椎名豊は昨夏にSG制覇! 群馬支部の毒島の後輩たちの層はすっかり厚くなった。1期上の久田敏之も参戦しているが、毒島が群馬支部の年長として後輩たちと絡んでいるのは、世代が進んだことの証しとして、なんだか好もしく感じられるのである。

 そう、土屋は今日、まさに大一番! かつてこの平和島では、久田がダービーで予選トップ通過ながら、準優Fに泣いたことがあった。先輩の無念を土屋が張らせるかというのも、ここは大きな注目ポイントとなるだろう。その土屋は、まだ大きな動きは見せていなかったが、自艇のモーター回り、装着関係のあたりを入念に点検しており、逃げて優勝戦ポールポジションへの気合が感じられる様子であった。この後は緊張感との戦いともなるだろうが、群馬の仲間とともに乗り切りたいところだ。

 昨日、9時30分頃にピットに入って改めて感じたこと。朝の特訓と試運転を終えて控室に入った選手が次に動き出すのは2R発売中となることが多い、ということだ。1R展示近辺にピットに入ったときも、2R発売中に動き出す選手が少なくないことには気づいていたが、ようするに1Rのエンジン吊りに参加してそのまま調整だったり試運転の準備を始めるということなのだろう。というわけで、1Rのエンジン吊り後、準優組の動きは活発になっている。後輩の稲田浩二のエンジン吊りに参加した吉田俊彦は、そのまま自艇のもとへ行き、すぐさま着水。久々のSG準優に向けて態勢を整え始めた。

 やはり稲田のエンジン吊りに加わっていた田中信一郎も同様。ただ、田中は1R発売中にいったん装着場に姿をあらわし、整備室のほうへ向かっていた。2R発売中に動き出すための下準備といったところか。

 新開航のエンジン吊りに参加の羽野直也もまた、そのまま自艇に向かっている。ボートに乗せていたカポックを着用し、いざ水面へ。と思ったら、その前に西村拓也とわりと長めに会話を交わした。ニシタクと羽野の絡みって珍しいなあ。そう思って眺めていたのだが、羽野がボートを動かすと、西村のプレートがつけられたボートがあらわれる。なんだ、単にお隣にボートがあっただけですか。ようするにニシタクも、1Rのエンジン吊り後に4Rの準備のため着水しようとしていたわけである。

 井口佳典のエンジン吊りに出ていた池田浩二は、そのまま整備室へ。モーターを運び出して、ボートに装着した。本体整備をしていたというわけではなく、まだモーターを装着していなかっただけなのだが、やはり2R発売中から本格始動というわけだ。

 そんななかで1Rのエンジン吊り後にささっと控室に帰っていったのは上平真二(佐々木完太のエンジン吊りに参加)。ボートにはペラがついたままだったし、始動はもう少し先になるということか。予選18位のシンガリ突破だが、モーターのほうは仕上がっているかも? だったら6号艇でも侮れないぞ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)