BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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三国WチャレカTOPICS 2日目

光太郎オンステージ!

 どんなアドリブが飛び出すか想像もつかない千両役者・今垣光太郎が、地元の檜舞台で舞い踊った。
 まず、前半2Rはやや控えめに2コースから差しの舞。イン島村隆幸が強めに握って流れたところ、スパッと切れのいいスピンでバック先頭に躍り出た。やや展開の利もあったが、引き波を超えてスーッと出ていた押し足はなかなかのもの。前検では出足も行き足もかなり劣勢な見え方だったから、昨日のセット&キャリアボデー交換で明らかに全部の足がパワーアップしている。
「昨日は伸びをつけようとして、出足がなくなってしまって(ドカ遅れ5着)。今日は出足を意識したら全体的にしっかりしました」
 勝利者インタビューを聞く限り、調整の方向もしっかり見えはじめたようだ。

 そして、誰もが踏まない(踏めない)ようなステップで踊り狂ったのが後半7R3号艇。まず、リハーサル(スタ展)からモノが違う。④吉田拡郎がピット離れで遅れ、大回りでコースを奪還したため最終隊形はありがちな1234/56に。そのまま発進かと思いきや、3コースの光ちゃんだけがやおら舳先を翻してピット方面に疾駆。タイミング的にほとんど見たことがない124/356となった。

 で、いざ本番はこんなもんじゃないぞ。今度は拡郎がピットアウトでしっかり飛び出したから、すんなり光ちゃん3カドの12/3456になるかと思いきや……拡郎が光ちゃんを抑えつけたまま引かないこと引かないこと。「最後には引いてくれるだろう」と考えていた光ちゃんは窮屈な3コースでじっと我慢していたが、12秒針が近づいても動かない。
 動かんのかーーい! 
 シビレを切らした光ちゃんは、拡郎の前を横切り4コースのゾーンに入ってから艇を引こうとした。これが実現すれば、結果的にスタ展と同じ124/356で落ち着く。だが、決定的な違いは光ちゃんが待ち過ぎたこと。一度は舳先を翻した光ちゃんは、(おそらく)大時計をチラ見してすぐにレバーを放った。
 引きたいけど、間に合わーーん!!
 慌てた手つきでハンドルを操作し、泣く泣くスローの4コースで我慢した。最終隊形は、光ちゃんだけが損をしたとしか思えない1243/56……スタ展も込み込みで、なんと複雑なステップ!!(笑)

 三国の記者席のあちこちから失笑が漏れるなか、すぐに12秒針が回りはじめる。そして20秒後、愚直とも思える流れでスロー4コースに甘んじた光ちゃんは、目の覚めるような“二番差し”でバック突き抜けていた。難度ウルトラEの「3コースが取れるのにわざわざスローの4コースに飛び出して二番差し突き抜け圧勝ターン」。光ちゃんアタマで3-2を買っていたファンは、ピットアウトから3カドのまくりを夢想し、12秒針の前に地獄に突き落とされ、1マークを回って蜘蛛の糸を伝って天国にたどり着いたような、究極のエンターテイメント・フルコースを満喫できたことだろう。
「④が引っ張るのか引っ張らないのかずっと見てたんですけど、引っ張らないと分かって(自分が)引こうと思ったのに間に合わなくて、急遽ターンマークから行きました」
 超天然のスーパースターは、2度目の勝利者インタビューで飄々と語った。実に理路整然と聞こえたけれど、この文言を実行に移す選手は今垣光太郎しかいないだろう。
【演出・今垣光太郎/振付・今垣光太郎/ダンサー今垣光太郎】
 こんなテロップを貼りたくなるようなレースだったが、これもまた今垣光太郎の『平常心』なのである。あーー面白かった!

 小ネタ?も少々。本日11月22日=「良い夫婦の日」に、今節の夫婦レーサーが4走とも舟券に絡む活躍を魅せた。夫の中田竜太は前半2R3号艇で3着⇒後半12R6号艇でも3着に絡んで①-②ながら3連単配当を42倍まで引き上げた。

 一方、奥方の浜田亜理沙はさらなる大活躍! 前半5Rは2号艇で2着と無難にこなしたが、後半11Rは4カドから③藤原菜希のまくりに連動してバック鮮やかに突き抜けた。3連単は節イチの420倍!! 着順もレースっぷりも、「妻が夫を尻に敷いていた」と言い切っていいだろう。
「夫婦で来れて嬉しいです。嫁のついでに応援してください」
 開会式での夫の言葉が、現実味を帯びてきた?(笑)

 機力評価も少しだけ触れておきたいのだが、2日目を終えた時点で胸を張って「Aランク以上」と断言できる選手は極めて少ない。少ないどころか、
★上條暢嵩=【出A・直A+】
★毒島 誠=【出A+・直A】
 のふたりだけ! そこから少し離れて「A-」=上位の下くらいの人機は菊地孝平、今垣光太郎、土屋智則(ピット離れはS?)、原田幸哉などソコソコ多いのだが、どれも一長一短でAを授けられない感じなのだな。たとえば、選手本人が「かなり良い」とコメントしていた峰竜太22号機にしても、今日の2走はどう考えても中堅あるなしだったし。むしろ、昨日の転覆でどうなるかと見ていた馬場貴也11号機は、昨日よりもキレッキレの気配だったし……今節は初日からピット離れに難のある選手も多く、正味のパワー鑑定が実に難しいシリーズと感じている。明日にはもう少しキッチリ精査できると思うのだが……。

 最後に、2日目終了時点のSG/レディース別の賞金ランクを添付しておこう。どっちも賞金の差額に変動あれど、順位の入れ替わりはほとんどなし(高田ひかる⇔浜田亜理沙が入れ替わったのみ)。それぞれの局地戦のヒリヒリ度も、ほぼ昨日の記事と変わらないレベルとお伝えしておく。

★獲得賞金ランキング

1馬場貴也   13500  TR2nd当確、初日妨失
2峰 竜太   13330  TR2nd当確
3石野貴之▼ 10909  TR2ndほぼ当確
4磯部 誠   10716  石野超えで2nd当確
5茅原悠紀      10367  GP当確、2nd激戦区
6濱野谷憲吾   9956 GP当確、2nd激戦区
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7桐生順平      9887  GP当確、2nd激戦区
8池田浩二      9520 GP当確
9羽野直也      9170 GP当確
10土屋智則     8133 GP当確、初日F
11山口 剛     8027 GP当確
12毒島 誠     7904 GP当確、初日F
13深谷知博▼   7664 GP当確
14平本真之     7018 GPほぼ当確
15中島孝平     6958 GPほぼ当確
16吉田拡郎     6763 GP微妙
17島村隆幸     6639  最激戦区
18篠崎元志     6599 最激戦区
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19菊地孝平     6561 最激戦区
20前田将太     6493 最激戦区
21今垣光太郎   6146 優出必須
22宮地元輝     6072 優出必須
23椎名 豊     6061 優出必須
25山田康二     5882 優出上位着
28原田幸哉     5775 優出上位着
31松井 繁     5617 準Vあたり
32片岡雅裕     5536 準Vあたり
33上條暢嵩     5469 準Vあたり
34瓜生正義     5421 準Vで?
38中田竜太     5315 ほぼ優勝
40田中信一郎   5271 ほぼ優勝
41西村拓也     5244 ほぼ優勝
42西山貴浩     5175 優勝
43白井英治     5149 優勝
46岡崎恭裕     4977 優勝

註/単位は万円。1万未満は切り捨て。19位以下はSGチャレカ参戦メンバーのみ記載。▼はチャレカ欠場。

★女子賞金ランキング

1遠藤エミ 4764 トップ当確
2守屋美穂    4206 QC当確
3長嶋万記    3833 QC当確
4渡邉優美▼  3698 QC当確
5平山智加    3448 QC当確
6川野芽唯    3358 QC当確
7田口節子    3348 QC当確
8三浦永理    3310 QC当確
9浜田亜理沙  3252 QC当確
10高田ひかる▼3217 QC当確
11寺田千恵  2959 QCほぼ当確
12大瀧明日香  2826 超激戦区
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13中谷朋子    2791 超激戦区
14細川裕子    2784 超激戦区
15海野ゆかり  2732 超激戦区
16宇野弥生    2685 準Vで?
18堀之内紀代子2629 準Vで?
20日高逸子    2531 ほぼ優勝のみ
21藤原菜希    2461 優勝で?
22清埜翔子    2418 優勝で?
23西橋奈未    2324 優勝しても…
27岩崎芳美    2256 優勝しても…

註/単位は万円。1万未満は切り捨て。13位以下はチャレカ参戦メンバーのみ記載。▼はチャレカ欠場。(photos/シギ―中尾、text/畠山)