逃走PART1
9R
①川原祐明(香川・115期) 14
②末永和也(佐賀・124期) 15
③新開 航(福岡・118期) 14
④豊田健士郎(三重・115期)12
⑤澤田尚也(滋賀・121期) 11
⑥宮之原輝紀(東京・118期)15
川原がインからキッチリ押しきった。まず、スリットからじわり伸びたのは3コース新開だ。対照的に行き足が重い末永を半分ほども出し抜き、もの凄く決まりそうなまくり差しハンドルを入れたが、川原の引き波でバウンドして万事休す。今節の新開で何度か見かけた光景で、この大一番でも出足系統を合わせ切れなかったか。
赤の脅威を凌ぎきった川原が、出口でスッと差を開いて1着がほぼ確定。私は川原75号機の足を「中堅に毛が生えた程度」と軽視?しているのだが、今日のレースを観ても大きく変えるつもりはない。穏やかなナイター水面での上りタイム1分50秒6も、1Rの竹間よりかなり遅いものだったし。
さて、準優で重要な2着争いは、5コースからまくり差しで澤田が抜け出した。パワー差しというより、若手らしく握ったまんま艇団に突っ込み、狭い隙間をこじ開けてのギャンブル差し。これが見事に功を奏した2番手だったが、もちろん後続も黙ってはいない。
末永、新開、宮之原ら記念常連組が、バック直線でそれぞれ逆転を狙うポジショニングに構える。貧乏くじを引いたのは宮之原で、最内を軽快に進軍したところ、外から内へ切り返しを狙った同期・新開に航路を塞がれる形で失速した。
ある意味、もっと惜しかったのは末永だ。的確な位置取りとスピーディーな旋回で何度か澤田を捕えきるチャンスを掴んだが、そこから先の機力が足りない。特にストレートでの伸び負けがあからさまで、ついぞ澤田に先着することができなかった。末永はさらに新開にも抜かれて4着フィニッシュ。可哀そうだが、典型的なパワー負けというしかない。
逃走PART2
10R
①畑田汰一(埼玉・122期) 18
②鈴谷一平(兵庫・116期) 21
③佐々木翔斗(山口・118期)13
④定松勇樹(佐賀・125期) 14
⑤吉田裕平(愛知・117期) 11
⑥藤原碧生(岡山・129期) 17
ここもインから畑田が押しきった。ただ、1マークまでの展開は9Rよりはるかにスリリング。仕掛け人は翔斗で、まずは本番だけいきなり舳先を翻して3カドに構えた。スタート勘はどうかと見ていたが、スリットで内2艇よりギュッと舳先を突き出したからたまらない。
「そのまんま、行ってまえーー!!」
翔斗◎の私は記者席で叫び、その声に乗るように翔斗も舳先を傾けて鈴谷を叩き斬る。さらに畑田まで、という勢いだったが、インからグイグイ伸び返した畑田と舳先が揃って方向転換。
「よっしゃ、突き抜けたべーー!!!」
機敏なまくり差しハンドルで先頭に立ったように見えたが、それは桐生カメラ特有の大いなる錯覚。別のカメラに切り替わってみたら、インから握って回った畑田が軽く2艇身は突き抜けていた。カメラの角度だけでなく、畑田の舟の返り~出口からの押しも強烈だったはずだ。とりあえず、ふたつの準優を観た中では畑田のレース足がピカリ光って見えたな。
さて、2着争いは9Rより熾烈を極めた。ただ、状況はよく似ていて「もっとも実績のない翔斗がマウントを取り、百戦錬磨の定松、裕平が背後から肉薄する」というハンデ戦のような鬼ごっこ。当然、実力者ふたりの追い上げは激辛だったが、もっとも機力が優勢だったであろう翔斗が命からがら2着を守り抜いた。遅れてきた118期の秘密兵器、明日の無欲の戦いが楽しみだ。
逃走PART3
11R
①関 浩哉(群馬・115期)12
②井上忠政(大阪・119期)10
③井本昌也(山口・120期)15
④入海 馨(岡山・116期)09
⑤小池修平(大阪・117期)11
⑥前田篤哉(愛知・120期)11
準優ラストも地元のエースにして大本命・関がしっかり逃げきった。スリット隊形はちょっぴり危険で2コース忠政と4カド入海がスーッと出て行く見え方。特にゼロ台まで踏み込んだ入海がシャカリキ絞めまくりに打って出たが、残念ながらその後の伸び足が足りない。あっという間にスロー勢に受け止められ、その間に関が何事もなかったかのように独走態勢に持ち込んだ。
腕ありスピードあり地元の利あり。あっさり逃げた勝者に関して書くべきことは少ないのだが、たったひとつ1ミリほどの不安があるとすれば、スリットから忠政に覗かれた行き足くらいか。で、明日の12Rまでに機力面も万全になったとするなら、これはもう「鬼に金棒」と「虎に翼」を掛け合わせてさらに三乗したほどのモンスターと呼んでいいだろう。明日の特訓~スタート展示の気配に注目したい。
このレースは2着争いのもつれも少なかった。2コースから差した忠政がすんなり2番手を取りきって大団円。外枠は入海の進撃&撤退ですべて窮屈になっている間に、圧倒的一番人気のワンツー決着となった。2着の忠政にしても、外から詰め寄られてやや窮屈な差しハンドルを強いられている。
さてさて、地元のエースが下馬評通りにファイナル1号艇をもぎ取った。先に書いたとおり、パワーまで盤石になったとするなら関浩哉自身の死角はゼロと言っていいだろう。ただ、他の優出メンバーの特長を兼ね合わせると、わずかながらピンチの種も見え隠れする。
ひとつは大なり小なりバナレで飛びそうな輩がふたりもいること。2号艇の畑田と5号艇が翔斗。明日もぶっ飛び仕様にするかどうか不明だが、仮に畑田が飛んだりするとイン強奪までありえるだろう。
もうひとつのリーサルウェポン候補は、節イチ級のパワーを誇る忠政の4カド攻勢だ。ただでさえ4カドのまくり怪獣として知られる忠政が、明日はさらなるパンチ力を付けて本番に臨んだら……つか、関に真っ向から勝つにはそれっきゃないと思っている。もちろん、そのふたつの武器が炸裂しても、それでも関が勝つ可能性は低くないけれど。(photos/中尾、text/畠山)
12R優勝戦
①関 浩哉(群馬・115期)
②畑田汰一(埼玉・122期)
③川原祐明(香川・115期)
④井上忠政(大阪・119期)
⑤佐々木翔斗(大阪・118期)
⑥澤田尚也(滋賀・121期)