●9R

澤田尚也がGⅠ初優出! レース後はなぜか顔をしかめっぱなしだったのだが、初めての体験にどういう表情をしていいのかわからなかった? 競走会の職員に会見に誘導されながら、SGやPGⅠで優出すると会見があるのだと説明されると、「すいません、初めてなんで……」とまた顔をしかめた。うーん、初々しいぞ!
今日はリング2本を交換しての出走。この整備がはまって、すべてにおいて底上げができたようだ。会見でそれを語る際の澤田は、実に力強い口調であり、どこか誇らしいような雰囲気もあった。
前検日が最終日だったびわこ周年では深井利寿が優勝。丸野一樹が三国GⅡを制し、馬場貴也はメモリアル連覇。さらに遠藤エミがレディチャン連覇と、滋賀支部には大きな大きな流れが来ている!「あとは若手が頑張るだけです」。そんな意気込みで、明日は澤田は水面に出る。

川原祐明もGⅠ初優出! 1号艇をしっかり活かしての逃げ切りで、香川支部の面々から「おめでとう!」と声をかけられ、柔らかい笑顔を見せていた。川原はこれが最後のヤングダービーとなるが、GⅠ初優出とあって、これまたやっぱり初々しい。会見にあらわれれば、マイクが目の前にあるのに気づかず地声でしゃべり出して、職員が慌ててマイクを差し出す場面も。会見が終わって退出する際には、報道陣に向かって丁寧に頭を下げている。20代ラストとはまったく思えない若々しさだ。
足的には、直線ではやられる相手もいるものの、それ以外は優勝戦でも戦えるレベルにあるようだ。「最後のヤングダービーだから、優勝で締めたい」とコメントは力強かっただけに、明日はしっかりと腹を据えて戦いに臨めるだろう。
●10R

佐々木翔斗がGⅠ初優出! なにしろGⅠ初出場で、初日に水神祭を果たしたばかりなのである。あれよあれよと優勝戦までたどり着いた。しかも、準優は決意の3カド!「全速ならまくれてたかも」と、一発保険を入れたことでそこまでは届かなかったわけだが、それでもまったく怯まずにダッシュを選択した心意気がアッパレである。
それにしても、会見ではGⅠ初優出とは思えないほど、ハキハキと的確に、精悍な表情で受け答えをしていたのに少し驚く。ハートが強いのだろうな、と想像された。決然と3カドに引いたあたりはその象徴的なシーンなのか。
今節はピット離れでコースを獲る場面もあったが、もちろん明日もその仕様に調整する可能性があるという。さあ、優勝戦の勝負手は!? GⅠ初お目見えの男が、カギを握ることになるかもしれない。

逃げ切った畑田汰一は、これが2度目のGⅠ優出。畑田が帰還する際、リフトにはもちろん埼玉勢が揃っていたが、その後方には122期勢が陣取っていたのであった。そしてエンジン吊りにも参加。中村日向は畑田に「ありがとう!」と声を掛けていた。何のありがとうかはともかく、やはり同期が優出したことに大きな感慨を抱いたということだろう。明日もこの仲間たちが、畑田の背中を押す存在となるのだろう。
師匠は中田竜太。17年の覇者だ。「師匠もここを勝ってSGで活躍するようになった。僕も続きたい」と畑田は語る。もしかなえば、それは今大会の大きなトピックとなるだろう。そして、大器と騒がれた21年新人王がいよいよ本格化の時を迎えることとなる。その場面を我々は目撃できるのかどうか、大きな注目点となってきた。
●11R

井上忠政がGⅠ初優出! いやはや、今年のヤングダービーはGⅠ初優出ラッシュとなった。
スタート展示で先輩の小池修平がバナレで飛んで2コース奪取。本番は飛ばずに井上が2コースとなったが、かなり悩ましい状況でピットアウトすることになっている。それでも井上は冷静だった。2コースジカまくりもあるタイプだが、隊形とインの走り方を見て差し選択。そのあたりを会見で淡々と語る様もまた、実に冷静だった。
その時点で、優勝戦の状況も見えていたようだ。つまり、9Rと10Rの結果から2着で優勝戦4号艇、ということだ。明日は、レースも調整も「思い切っていく」と断言した。井上が思い切っていく、ということは、狙うはもう、必殺技の4カドまくりしかなかろう。やはり先輩の佐々木がバナレ仕様にするかどうかも含めて、外枠の大阪勢の動向は展開のカギを握ることは間違いない。

6人中4人がGⅠ初優出、1人も2回目というフレッシュな優勝戦のなかで、1号艇はヤングダービー覇者で、GⅠ3優勝という実績ダントツの関浩哉となった。地元ヤングダービーで優勝戦1号艇。もちろん結果を出すことしか考えていないだろうが、この時点で大きな責任を果たしたと言えるだろう。
もちろん安堵の思いもありながら、関はさらに神妙になっているように見えた。準優1号艇ももちろんプレッシャーがかかる場面だが、優勝戦1号艇は破格である。SGでも経験があり、デビュー初優勝がGⅠ初優勝ともなった6年のヤングダービーでも1号艇ではあった。しかし、地元ヤングダービー、がまた別の重圧を関に与えるだろう。ウィナーインタビューでは、こんなにスタンドにお客さんがいるのを見るのは初めて、とも言った。明日はそれ以上だろう。もちろん、桐生の関係者の期待は巨大で、業界としても関に集まる注目は大きくなる。それは神妙になるだろう、という話だ。
だからこそ、我々は関浩哉の明日の戦いをしっかり目に焼き付けたい。どんな結果になろうとも、間違いなくそこに名勝負が生まれるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)