
椎名豊が本体整備に着手。初日6着発進で、早くもモーターに喝を入れることを決意したわけだ。群馬支部からはすでに毒島誠、土屋智則、関浩哉がグランプリ当確を決めている。椎名としてももちろん、そこに名を連ねたい。群馬4人ともなればこれはひとつの快挙ではあるが、そのためには思い切った整備に出る必要があるということだろう。

島村隆幸も同様だ。5着3着はまだ崖っぷちというほどでもなく、足色もそこまで悲観するほどではないと見えたが、現状では満足いかないという気持ちもよくわかる。整備室の外からうかがった範囲では、椎名ほどの大整備とは見えなかったが、底上げの必要性を感じているのは間違いなさそうだった。

さらに片岡雅裕も本体を割った。4Rはインから1着を獲ったものの、1マークでは坪井康晴に差されている。8Rは見せ場なく5着。やはり機力向上をはかる必要を感じたのだろう。片岡は前年度覇者。連覇などとても覚束ない感触だったということか。
3人はいずれも圏外から逆転を目指す面々だ。片岡は24位。現在18位の丸野一樹とは900万円ほどの差で、優出3着以上でなければ超えられない。島村は28位でさらに300万円ほど後れをとる。準Vが当確ラインというところ。椎名は35位で、グランプリ行きを決めるには優勝しかない。もう一日様子を見るなどと悠長に構えてはいられないのだ。

もちろん、グランプリ当確だから悠長に、ということはありえない。8Rを逃げ切った定松勇樹はレース後、すぐさまプロペラ調整室へと向かっている。2着1着の好発進、機力的な雰囲気も悪くはなく、本体をどうこうという必要はなくても、そこで立ち止まりはしないのだ。ベスト6でグランプリへ行くという目標がある以上、勝負駆けであることには違いがないのだ。

ではベスト6が決まっている馬場貴也、毒島誠は余裕なのかといえば、これもそうでないだろう。ドリーム戦に向けてしっかりと調整を続けて、気を緩めるということはない。獲れるところはすべて獲りにいくのがこのクラスのレーサーである。
それでもやはり、現在は賞金ランク19位以下の選手のほうが切羽詰まっているのは確かではある。それだけに大きな作業に踏み切るのも早いという部分があるのは、やはりなるほどと思わされる光景をそこに生むということだ。

GⅡのほうで本体を割ったのは寺田千恵だ。今日は2走とも4着。寺田は現在、女子賞金ランク13位。5位の守屋美穂が出場できないので、実質12位だ。ボーダーで逃げ込みをはかる立場で、長嶋万記との差が100万円を切っているので、自身が優出できず長嶋が優出すれば逆転される可能性がおおいにある。さらに長嶋から30万円差でつづく田口節子や、そこからさらに30万円差の川野芽唯など、大差なく逆転を狙う面々がずらり。唯一のクイーンズクライマックス皆勤を続ける寺田としては、やすやすと記録を途絶えさせるわけにはいくまい。

寺田とは30万円差で実質11位の海野ゆかりは9R6着後、実に深刻な表情となっていた。逃げ込みをはかる状況は寺田とそう違いはないのだ。その後はすぐさまプロペラ調整。本体に手をつけそうな様子は見られなかったが、調整に取り組む素早さはあのレース後の表情がそうさせたものとしか思えなかった。
陸の上でも勝負駆けは激しく戦われている! これがチャレンジカップ、である。

さて、9R発売中、平本真之が水面際でヘルメットのシールドを何枚か顔に当てていた。水面の見え方を確認していたのだ。平本曰く、ナイター場は数あれど、照明の配置や明るさの微妙な違いで見え方が違うのだという。前節は丸亀周年だったが、まるで感覚が違うそうだ。そして、シールドによっては変な反射の仕方をしてしまい、自分の顔が目の前のシールドに映り込んで見えにくくなることもあるそうだ。うーむ、深い。モーターやプロペラ、ざっくり言って機力以外の部分にも気を遣わねばならない部分があるのである。平本がどのシールドを選ぶのかはわからなかったが、選手はそうして万全を期してレースに臨むのだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)