●11R
勝ち上がり ⑤白井英治 ①前田将太 ③上條暢嵩
4カドの毒島誠が攻め、カド受けの上條暢嵩と競るような展開になったとはいえ、白井英治はお見事だった! あざやか5コース差し。ターンマーク際を鋭く回った航跡は、まさに実力の証しだ。
ピットに上がると、前田将太に何か声をかける。ヘルメットをかぶったままだったので、何を言ったのかはわからなかったが、かなり大きな声だったので、テンションが上がっていたのは明らか。白井自身も会心の一撃だったということだろう。
1号艇で2着に敗れた前田は苦笑い連発。控室に戻り際、大量のカメラマンにレンズを向けられると、申し訳なさそうに何度も頭を下げながら通り過ぎるという。しかし、この大会は2着でも1号艇を引く可能性がある。前向きにアミダに臨んでください!
上條暢嵩はピットに戻るや、少し悔し気な目つきで首を捻った。スタートでやや遅れたことが納得いかなかったか(原因はわかっているとのこと)。それでも、道中の展開を突いての3着浮上は、機力上々の証しでもあろう。明日はさらに上積みを狙って整備をすると会見で語っており、仕上がりが楽しみだ。
攻めたものの攻め切れなかった毒島誠は、かなりの速足で控室へと消えていった。ヘルメットもかぶったままで、何かを振り切ろうとしているかのよう。今回は初戦1号艇で敗れ、準々決勝はアタマの展開で2番手に下がり、納得のいかないレースばかりだっただろう。残り1日、鬱憤を晴らすことができるか。
●12R
勝ち上がり ①茅原悠紀 ④寺田祥 ③馬場貴也
磯部誠はやはり菅章哉マークを選ばなかった。5コースから、大外を伸びる菅に抵抗したが、最後の最後で越されてしまった。その思いは実らなかったが、悔いのない戦いができたのではなかったか。レース後は白井英治が背中をポンと叩いた。磯部の思いをわかってくれる選手もいるわけである。僕も、ナイスファイトと言いたい。
菅にしても、今回はチルト3度での戦いを貫きとおした。同期のガチンコバトルになったけれども、そのことには納得しているだろう。やはりナイスファイト。「ああ、あみだくじ、僕もやりたかったぁ」。レース後にしみじみ呟いた菅。うん、たしかに菅のあみだくじ、見たかった! 1号艇を引いたらどうしていたのか、も含めて。
茅原悠紀は、2マークから握ってきた定松勇樹にもしっかりと対処して、逃げ切り完勝。チルト3度の脅威もあるなかで、落ち着いたレースぶりを見せつけた。これで1号艇で3連勝。選考順位の1位2位が消えたなか、一躍主役へと上り詰めた格好だ。
寺田祥は、盟友・白井英治とともに優出となった。笑顔で出迎える白井に、寺田も笑顔を返す。寺田は第2回大会の覇者。何を隠そう、過去5回のうち、前年覇者が決勝戦に駒を進められなかったのは、第3回の寺田だけだったのである(今回の関が2人目)。そうした屈辱も晴らす優出!
3着は馬場貴也。1マーク、握り込もうとした瞬間に定松の先攻めにあい、自身のターンができなかったのは痛かった。それでも、レース後は優出にホッとした表情も見せている。あれで敗退していたら、かなり手痛いものになっていだろうから、その雪辱の機会を掴めたのは安堵につながったことだろう。
●枠番抽選
記者会見で上條暢嵩が言っていたのである。「言いたくないけど、引きたくない枠がひとつある」。昨年末、トライアル1stで1回、トライアル2ndで2回、枠番抽選を行なった上條。引いたのはすべて同じ枠! 当然、引きたくないのはその枠だと思われた。
アミダマシーンが発動して、上條が行きついたのは最下段。枠番プレートは最後の最後にオープンされる。まずは最上段の馬場貴也。あの枠は、出ない。茅原悠紀。出ない。前田将太。出ない。寺田祥。出ない。
「ああ、嫌な予感がする!」
思わず叫ぶ上條。そう、残されたのは3号艇とあの枠番。上條が頭を抱えるなか、白井のプレートがオープンされる。出たのは3。ウギャアアアアア!
「怖い! これはもう怖い!」
上條が引いたのはまたしても5号艇! 枠番抽選3回連続で5号艇って、こんなことある!? というわけで、最も引きたくない枠を引いてしまったわけですが、これで勝てば呪縛から逃れられるぞ! 外枠で厳しい条件なのは確かでも、望みを捨てずに頑張れ!
1号艇を引いたのは茅原悠紀。一回戦からオール1号艇! これで優勝すれば、すべて白カポックは大会史上初。茅原が快挙を達成するかも、明日の見どころとなった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)