BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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ゆったりした空気の決勝戦朝ピット

 2R発売中になっても、まだモーターを装着していないボートが3つ。決勝戦3号艇、5号艇、6号艇。白井英治と寺田祥は、5日目最終日の賞典レース1回乗りという場合、こういうことも珍しくはない。ゆったりマイペースで動き、モーターの装着が揃ってラストというのは過去にも何度か見かけてきた。これが彼らのルーティンのようなものなのだろう。

 3R締め切り間際に、白井と寺田が揃って装着場に登場。まずは寺田のモーターが運び出されて、島村隆幸も加わって装着がなされた。寺田はそのまま、3Rが始まっても装着作業を入念に行なっている。白井はといえば、装着前にギヤケースの調整。点検の意味もあってのことだろうが、装着はさらにその後となった。

 もうひとり、装着していなかったのは上條暢嵩。こちらは、なんと朝から本体整備。決勝メンバーのなかではむしろ機力気配は上位とも思えるのだが、またまた引いてしまった5枠ということもあってか、もうワンパンチつけようという思惑だろうか。整備が終わったのは3R発売中。その後はいったん控室に戻って、その後に整備の効果を確かめるものと思われた。

 モーターが装着されている1号艇、4号艇、6号艇ではあるが、急いで動き出そうという気配は感じられなかった。最も姿をよく見たのは馬場貴也。ボート回りの作業を朝の公開インタビュー後から丁寧に行なっていて、水面に出ていくのは決勝組では最も早くなりそうだった。

 前田将太もプロペラの点検などを行なっていて、2R発売中に切り上げるとボートのもとへ。それからは特に動きなどは見せていないが、水面に降りるのは案外早めになりそう。3Rのエンジン吊り後には装着場で岡崎恭裕と話し込む場面も。表情は明るい。

 で、ポールポジションの茅原悠紀は結局、動きらしい動きは見られなかった。1号艇の余裕、というわけでもないだろうが、朝からドタバタする必要がないのはポジティブなことだ。
 というわけで、なんとも緩やかに感じられた朝ピットであります。独特な大会で、お祭り的な部分もあることが、やはりSGなどとは少々違った雰囲気を醸し出す。これはこれで、実に心地よくも感じられたのでありました。

 そんななかで3R、1号艇で大敗してしまった磯部誠が、思い切りうなだれて引き上げてきたのが印象的だった。最終日の一般戦とはいえ、地元中の地元での1号艇。2コース吉川元浩のジカまくりを浴びての敗戦は、勝ち上がりで敗れたのと変わらない悔恨を磯部に与えたということだろう。レースに臨めば、舞台が何であれ全力で勝利を目指す。しかし失敗してしまえば本気で悔しがる。そんなボートレーサーのあるべき姿を見せてくれた、と磯部には申し訳ないが清々しくも感じたのであります。次のビッグでこの雪辱を!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)