BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――天候が変わった

 

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 強い風により荒水面となったため、1Rから安定板装着でレースが行なわれている。装着場には、安定板を取り付ける作業をする選手がチラホラと。ちょうど目の前で篠崎仁志が作業していたので、マジマジと眺めてしまった。フォーク状の板をキャリアボデーの節水するあたりに取り付けるのだが、簡単な作業ではありながら、仁志は丁寧に、細かく確認しながら装着していた。決して適当に片づけたりはしないのだ。

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 水面状況が悪化したなか、1Rで中里優子が逃げ切った。ここまで6着が続いており、やっとつかんだ勝利に中里は安堵の表情を見せる。エンジン吊りに加わった桐生順平や毒島誠が中里の言葉に笑顔を見せており、中里の心中はむしろ後輩二人の顔からうかがうことができた。昨日の終盤、池上カメラマンが「太田和美に中里がアドバイスを受けてるんですけど、なんで仲がいいんですかね?」という。期が近く本栖で出会っているということもあるが(69期と70期)、中里のご主人・中里昌志が太田と同期生。やはり太田と同期の福田雅一の奥様である平山智加は、SGのピットでは太田とよく会話を交わしているものだが、太田と中里も同じ構図であろう。今日の勝利にはそのアドバイスも生きていた? だとするなら、ここからのさらなる巻き返しはおおいにありうるだろう。

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 2R、3コースから仕掛けた石渡鉄兵が1マークで転覆。風の影響があっただろうか。1マークに事故艇ということで、着争いは2マークまで。バックでは内に山崎智也、外に徳増秀樹が併走で、やや後ろに山口剛という態勢だった。隊形としては山崎が有利だが、山崎は逆転2番手を狙って瓜生正義の内から先マイし、それがやや流れたことで差した徳増の舳先がかかり、さらに遅れて差した山口が徳増に舳先をかけたため、2周1マークの3番手の優先艇は山口→徳増→山崎となった。2着を狙ったら、結局5着。それもその後の捌き合いができず、着上昇が見込めない状況だったのだから、転覆した石渡も不運だったが、山崎もまた不運だった。というわけで、ピットに戻ってきた山崎は、ただただ苦笑い。悔しがるというよりは、展開の悪さに笑うしかないといった感じだった。3年連続のベスト6入りに暗雲がかかってしまったわけだが、智也よ、幸運はグランプリにとっておこう。

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 3日目の朝ということもあって、大きな整備は見かけなくなっている。整備室にいたのは、松田大志郎。ボートを見たら本体は乗っかっていて、でもなんか妙な雰囲気だったので近づいてみたら、キャブレターが外れている。というわけで、キャブレター調整ということだろう。松田は昨日の1号艇で水神祭の大チャンスだったのだが、敗退。終盤の時間帯には本体整備をする姿もあった。さらに今朝はキャブレターも調整し、7R2号艇でふたたびSG初1着獲りをもくろむ。予選状況もあわせて、なんとか巻き返したい一戦であろう。

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 昨日終了時点の予選2位である菊地孝平も、キャブレターを外して整備室に持ち込んだ。同時にリードバルブも外していたので、こちらも調整する腹積もりだろう。モーター気配はかなりいいと思うのだが、風が吹いただけでなく、気温がぐっと下がったところで、緩めることなく調整をする。菊地は「己を信じ、やるべきことを淡々とやる」を信念としているわけだが、これはまさしくそれを体現した姿であろう。そりゃあ強いわけだと思わずにはいられない。水面状況が変わろうと、安定板がつこうと、菊地孝平は姿勢を変えることなく戦うのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)