BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――明日は激しい勝負駆け!

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 大村ピットの水面際にある“アリーナ”。レースが始まると選手がここに集まって観戦する。10R、6艇がスリットを通過した瞬間だ。
「ウワッ!」
 選手たちが一斉に声をあげた。ここで何度か書いている「選手と一緒に観戦していて、選手のフライング感知力に驚く」シーンなのだが、改めて選手が早いスタートには敏感なのだと感服する(僕がボンクラすぎる可能性もあるが)。はたして対岸のビジョンには「返還⑤」の文字が。他人事ではない選手たちは複雑な空気を醸し出す。

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 山田祐也、無念のフライング。6コースからまくり切っていただけに惜しい。いや、入っていたら結果はどうだったかわからないわけだが、一気に内5艇を呑み込める足だったということなのだから、やっぱり惜しい。山田の夏はここで終戦となってしまった。
 レース後は、ひたすら反省。こちらとしては、ドンマイと慰めるしかないが、山田は「すみませんでした」と頭を下げる。もちろん反省して当然だが、僕は何であれ先頭に立ったフライングは若者にとって無駄ではないと信じている。そう話すと、山田は「切り替えて頑張ります」とは言ったものの、やっぱり「すみません」と最後に付け加えるのだった。

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 すると、そこに中田竜太がつかつかとやってきて、「笑ってんじゃねーよ」と僕らのど真ん中を割って通過していった。ダハハハ! これはもちろんジョークであって、通り過ぎた瞬間、たまらず吹き出している。いやいや、竜太さん、ニコニコしてたのは僕であって、山田くんはひたすら反省してましたって! ん? ということは僕が言われたんか? ともかくお茶目な中田竜太なのであった。

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 その中田、10R3着後はひたすら首をひねっているのであった。菊地孝平との3着争いに競り勝っているのだが、とにかく不満そう。足色なのか結果なのか、納得できる要素はまるでない、と言わんばかりの様子だったのだ。準優行きが厳しくなったこともあったか……とにかくこの男、童顔だがなかなかの勝負師なのである。

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 その10R、篠崎仁志が1着。決まり手は恵まれも、自身もコンマ05まで踏み込んでいたのだから、決してツキだけで手にした勝利ではあるまい。もちろんまくられてはいるので、レース後に歓喜は見当たらなかったが、大きい1着であったのは間違いない。
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 着替えを終えると、ゲージ擦りをしていた篠崎元志の隣に陣取り、仁志もゲージ擦りを始めている。おぉ、篠崎兄弟のツーショット! もちろんちょいちょい見かけるものではあるが、並んでゲージ擦りの場面は初めて見たかも。なんだかんだ言って、目を引かれてしまいますね。ジロジロ見ると嫌がるだろうから、僕も基本知らんぷりしていたわけだが、ふと気づくと仲良さそうなブラザーズをチラ見していたりする。うーん、やっぱり華がある兄弟だ。明日はともに勝負駆け。揃っての予選突破を目指す一日となる。

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 2Rで1着を獲った馬場貴也は、今日も遅くまで作業の手を緩めなかった。ただ、昨日までに比べれば、やはり明るい。「今日はやりましたね~」「昨日のを獲り返してやりましたよ!」という会話がまたなんとも心地いい。昨日は1号艇で2着だったから、悔しさも大きかった。そうか、4号艇に負けてたんだったな(山田祐也)。4号艇での勝利で、まさにチャラにしてみせた。いや、チャラ以上の勝利だったとも言える。明日の勝負駆けに気分よく臨めそうだ。

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 11Rは池田浩二が2コース差しで1着。勝利者インタビューで本人が言っていたように、「1号艇・瓜生、2号艇・池田」はオーシャンカップ優勝戦と同じ並び。俺、池田が本命だったな。なんで今日は買わないんだよ……。ってのはともかく、喜んでいたのは平本真之。アリーナの最前方にズリリと歩み出して、3周2マークを先頭で回る池田にバンザイをしてみせた。
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 池田は淡々としたものだったが、しかし体全体がゴキゲンに見える。これでオーシャンの借りを返したなどとはならないだろうが、大きな1着だったのは確かである。明日は6号艇で5着条件。どんな勝負駆けを見せてくれるだろうか。

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 さてさて、8Rの大敗で準優行きが絶望となってしまった笠原亮が、とにかく沈鬱だ。初日あたりの足は悪くないと見えたのに、今日は明らかに劣勢だったのだから、無理もない。そして、だんだんと悪くしてしまうというのは最近のよくあるパターン。ペラが迷路にハマっているようで、話していてもどうしたってネガティブな言葉が多くなってしまう。8Rは3コースからスリットでのぞくという、笠原得意のまくり差しパターンだったのに、外から毒島に伸びられてしまっているからなおさら。今日はこちらもどんな言葉を返していいかわからなかった。もう、とにかく頑張れと言うしかない! 必ずやこの迷路から抜け出られる時が来るはずだ。みなさんも笠原亮にご声援お願いします!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)