BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門グラチャンTOPICS 初日

連覇への鼓動

 

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 渦の街にガオォォォォッッッ!!!!

 またまたこの男なのか、鉄人・石野28号。昨日の前検ではややスタートで立ち遅れ、本人も「起こしから置いていかれる」と弱気なコメントを発していたが、いざ本番では“鉄人”に変身だ。まずは6R、3コースからコンマ04まで踏み込み、インの笠原亮に強烈なツケマイを浴びせた。笠原の必死のブロックで1着とはならなかったが、楽々の2着ゲット。

 ファンの度肝を抜いたのは後半の10Rだ。断然不利な6コースから発進した石野は、5コース服部幸男のまくりに連動しつつターンマーク目指しての最内差し。「SGで6コース差しはほぼほぼ届かない」としたものだが、バックの出口から伸びる伸びる伸びる! センター付近で先頭・石渡鉄兵の内に舳先を突っ込み、2マーク手前で艇を並べていた。あとは、まくらせず差させずの激辛ターンで後続を一気に突き放した。去年の当地オーシャンカップは6コース勝ちがなかったから、あるいは鳴門のSGで初の快挙かも??

 

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 うーーん、それにしても。私の鳴門28号機の評価は「行き足~伸びは平凡だがレース足が強力でガンガン追い上げが利く」で一貫していたのだが、まさか1マークから半周で2着1着を取りきってしまうとは……特に10Rは予想以上にストレートが強烈だったので、さらに評価を上げる必要があるのかも知れないな。ただ、今日の“快挙”はパワー勝ちというより、展開の利&1マークの絶品ターン(まったくロスなく経済コースをほぼ全速で突き抜けていった)に拠るものだと思う。同じ28号でも、前回の博多より様々な部分で見劣っているだろう。まだまだエース級とは呼べない28号とともに、今日の3号艇2着&6号艇1着のアドバンテージを生かしながら、いかにV戦線を戦い抜くのか。今節の石野28号は、福岡とは趣の違う鉄人ぶりを見せてくれることだろう。

 

パワー戦国時代

 

「去年のオーシャン初日が万シュー6本でしたからね、きっと今日も同じくらい出るでしょ。いきなり初日の今日がチャンスなんですよ!!」

 今朝、タクシーの中で黒須田が興奮気味に話していたものだが、終わってみれば今節の初日もまた万シュー6発!! 黒須田の予言がものの見事に的中してしまった。もちろん、私も随所に万シューを狙い続けたつもりだが……的中はゼロ。残念無念としか言いようがない。

 

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 で、今日の6発の大花火を列挙すると、5号艇・湯川浩司のスタート一撃まくり~3号艇・魚谷智之のマーク差し~2号艇・谷村一哉の3コースまくり差し~1号艇・寺田祥のイン逃げ~6号艇・石野のアウト差し抜け~4号艇・辻栄蔵の5コースまくり差し!! 1着は1~6号艇まですべての枠がひとつずつ分け合ったのである。裏を返せば「アタマや軸を決めるのが難しい1日だった」とも言える気がするな。鳴門らしいといえばらしいし、何でもありのスリリングな1日でもあったのだが。せめて1本だけでも召し取りたかった><

 

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 タイムマシンでもない限り今日の3Rには戻れないので、明日を見据えて各選手のパワー気配を検証しておこう。まず、「断然の主役になるはず」と戦前から期待した37号機と59号機は、今日のところは「良くてAランク」だと思う。篠崎仁志37号は前半1Rこそ余裕のある足色でグングン追い上げ3着を召し取ったが、後半7Rは逆に3番手から齊藤仁に抜かれての4着。あの競り合いを見る限り、到底Sランクは授けられない。

 

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 さらに……昨日SSに指名した新田雄史59号に至っては、前半3Rはズブズブの6着大敗。SSの見立てを大いに恥じるほどの足色で、心の中で何度「どうした59号!!」と叫んだものだ。後半9Rは足色がそれなりに良化したか、6コースからしっかりした足取りで3着。いくらかホッとはしたものの、やはり現状では「SSはおろかSもないだろう」と痛感した。後半の足でギリギリAレベルか。もちろん、この2機は調整が合えば間違いなく噴くはず(と信じている)ので、明日以降もしっかり足色をチェックするつもりだ。

 

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 で、初日の全12Rを見終わってのパワー総評は「現状、SSもSも不在でB+(中堅上位)~A(上位)が鈴なりの戦国模様」である。私なりの勝手な番付を記しておこう。

 

★★A+(抜群に近い上位レベル)…中島孝平

★Aだが回り足A+…齊藤仁

★A…篠崎仁志、新田雄史、石野貴之、丸岡正典、谷村一哉、岡崎恭裕、松井繁、原田幸哉

★B+…峰竜太、池田浩二、白井英治、石渡鉄兵、坪井康晴、茅原悠紀、下條雄太郎、魚谷智之、上平真二、遠藤エミ

 

 ってな感じである。今日、もっともパワー的に見所があったのは11Rの3着争いで「池田vs齊藤vs中島」は抜きつ抜かれつの大接戦。2周ホームで池田が2艇身ほど抜けたときにはパワー&テクも加味して「勝負あった」と思ったのだが、そこからの中島、齊藤の追撃の凄まじかったこと。特にもっとも態勢が不利だった中島のレース足は出色で、何度も千切られそうになりつつ、そこからグイグイ追い上げて接戦に持ち込んだパワーは「あるいは節イチ?」と思わせる迫力だった。

 同じく齊藤の回り足も秀逸で、前半では仁志37号機に競り勝ち、後半は池田13号機に抜かれながら再逆転した回り足は明らかに超抜だった。この齊藤35号機は前節の途中で「クランクシャフト以外のすべての部品を全とっかえ!!!!」(黒須田調べ)という大手術を施しており、それが27%の低調機を激変させたのだろう。「穴になりやすい選手×数字のないモーター=大穴提供」と方程式が見えるだけに、明日以降も随所に穴を狙ってみたい。

 さてさて、パワー的に戦国時代だと言うことは、改めて今日の石野28号の2・1着がV戦線に大きな影響を与えるような気もするのだが、どうだろうか。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)