BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――ほのぼの雨の日

 今朝のピットは、実に静か。SGの3日目というのは、こうなることがけっこう多い。

 もちろん、選手たちがのんびり過ごしている、ということではない。特に今日は雨が降って、気候が変わっているから、誰もが調整に忙殺されるもの。実際、ペラ室は満員御礼状態となっており、ここと水面(試運転)に選手が集中している分、ピット全体は閑散とした感じになるのだろう。

f:id:boatrace-g-report:20171128163413j:plain

 整備室には湯川浩司と岩崎正哉。この頃流行りのマフラー洗浄をしていた。森高一真も装着場から整備室に入っていって、汚れた布を片付けていたから、彼もやったのかもしれない。マフラー洗浄は、この頃流行りなだけでなく、今節流行りになる可能性があるぞ。  

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163425j:plain

 岩崎といえば、松尾昂明を出迎えた際の表情が印象的だった。3Rでは3着で、ようやく舟券に絡むことができた。それでも、レース後の松尾は浮かない表情で、しかし瓜生正義らに声をかけられてヘルメットの奥の目は笑みをたたえるようになっていた。そんな松尾を岩崎は、なんとも優しく慈愛にあふれた目で見つめていたのだ。苦戦する後輩を暖かく見守る先輩の目。こんなところにも福岡支部の充実ぶりがあらわれているような気がしたものだ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163436j:plain

 イワサキの目、というところから、イマガキの目、に強引に結びつけてしまう。今垣光太郎が、1Rの西山貴浩のレースぶりを見ながら、「出てますね~」と唸っていたのだ。

 今垣によれば、西山と郷原章平が同じくらい出ていて、その上に吉田拡郎。この3人がトップスリーというのが今垣の見立てで、「足合わせしたら、めちゃくちゃやられちゃうでしょうね(笑)」だそうだ。トップレーサーの目にそう映るのだから、これは信頼度の高い情報だろう。ま、この3人の超抜っぷりにはすでに気づいている人も多いだろうけど。特にカクローはね。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163449j:plain

 もちろん、今垣はその3人に白旗を掲げているのではなく、どうすれば勝てるのかを見据えてもいる。彼自身、アシは悪くないそうだから、そうなれば3人とはくぐってきた修羅場の数が違うのだ。そして、今日の光ちゃんは実にリラックスしていて、それもまた大きな強みであろう。こういうときの今垣光太郎はめちゃくちゃ強い、というのが僕の経験則である。

 で、光ちゃんとはそのまま世間話をいたしまして、ご家族のお話など聞かせてもらったのですが、最後に私が結婚できるようにと応援していただいちゃいました(笑)。光ちゃんがそう言うんだから、頑張らなきゃな~。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163505j:plain

 2R1着の守田俊介。勝利者インタビューからピットに戻ってきて、しばらくするとピットをうろうろする姿があった。ボートリフト前の柱の周りには選手たちの工具袋が置いてあったりするのだが、それを眺めていた守田は首を小さく傾げて整備室前へ。ここにも工具袋が置いてあって、今度はそれを見ている守田。もしかして……自分の工具袋をどこに置いたか忘れましたか、俊介さん!

 次に守田が向かったのは整備室内。あちこち見回して整備室を出ると、今度は坂を下って係留所へと向かった。1、2分後、手ぶらで戻ってくる守田。ふたたびリフト前の柱に向かい、また整備室前へ行き、さらには整備室に入っていって、これは完全に工具袋を見失った模様。整備室では中島孝平と話したりもしていたが、またまた装着場に戻ってくると、リフト前の柱へ。そこはさっき見てましたよ(笑)。そこで、あ、これかも、というふうにひとつの工具袋に手を伸ばした守田だが、やっぱり違うと手を引っ込めて、それを見ているこちらもなんだか心配になってきた。というわけで、守田にそうと告げたわけではないけれども、彼がふたたび係留所へと坂を下りていくのを見送って、僕も装着場のあちこちを探してみたりして。でも守田のモーター番号「17」と記されているものは見つからなかった。さあ、どうする、守田俊介!

 で、坂を上って装着場へ戻ってきた守田の手には、工具袋が握られておりました。守田とは実はまったく話をしていないんだけど、心で「やったね!」と声をかけた私。ま、困ったようにうろうろするかわいい俊介を見られて、ほのぼのしちゃいました。H記者にも見せたかったな~。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)