各場2名ずつの代表が集うモーターボート記念。
同県勢の絡みというのは、他のSGでも頻繁に目にするわけだが、
しかし「今年から各場2名」という先入観があるからかどうか、
同県勢の接触にはやはり特別なものを感じずにはいられない。
たとえば3R後、SG初陣を見事なレースで2着に浮上した
馬場貴也に守田俊介が駆け寄る姿は、SGの大先輩である守田が
いかに馬場を気にかけているかの証に見えたりする。
SG経験も豊富な先輩は、自身がいまだ戴冠はしていないわけだが、この舞台の戦い方を伝えることはできるだろう。それが馬場のパワーにもなるに違いない。
ペラ室では、池田浩二と平本真之の「チーム常滑」が
ペラにゲージを当てながら、話し込んでいる。
別に不思議な光景でもなんでもないが、
開会式で息の合ったパフォーマンスを
二人が見せていたことを思えば、「常滑」という言葉が
妙にクッキリと浮かび上がってきて、そこに原田幸哉が加わったことに違和感さえ覚えてしまう。単なる「愛知トリオ」なんですけどね。
ギアケース調整のあと、早くも本体整備に取りかかった森高一真には木村光宏が寄り添っていた。これもぜんぜん珍しい光景ではなく、
普段のSGでも見られるものだが、「おぉ、丸亀」なんて
唸ってしまっている自分がいたりして。
その後、森高には井口佳典がペラに関しての質問をしに
歩み寄っているが、銀河系軍団と丸亀軍団、
どちらの絆が強固なのかと意味のないことを考えてしまったりもした。これがモーターボート記念だ!
4Rの展示中、今村豊が水際にひとり立って、
水面をじっと眺めていた。出走表をチェックすると、
原田篤志の名前がある。おそらく、SG初出場の後輩の走りを見ているのだろう。昨日も、今村が原田を気遣う光景を見ており、
今村はSGを初めて経験する若き後輩を常に心に留めている。
そうしてくれているのが今村豊なのだから、
原田にとってこれほど心強い援軍はなかろう。
谷村一哉だけでなく、原田も今節は今村についていく心づもりのはず。そう、原田にしても馬場にしても、東本勝利にしても前田将太にしても、SG初陣になっても必ず心強い存在がいるというのが、
モーターボート記念。このSG、大舞台を初体験するには
格好のレースかもしれないな。
もちろん、同県同士の組み合わせばかり目にするわけではない。
松井繁と馬袋義則は、昨日からずっと行動をともにしているし、
峰竜太と中村亮太の「竜太亮太」もけっこう仲よさげに接している。
田村隆信がピストンリングを探すそばには、
湯川浩司や田口節子が腰かけていて、
銀河系軍団のつながりも相変わらず多く見かける光景となっている。
そんななかで、先輩に声をかけられることが多かったのが川上剛。
どうやら、開会式での西山貴浩の宣言が話題になっているようなのだ。「なんか、坊主にせないかんようになっとるやないですか!」
井口佳典に話しかけられて、思わず苦笑いの川上に、
井口もおかしそうに笑い返す。西山は「活躍できなかったら」と
言ったのだから、1R2着の走りを今後も続けていけば
もちろん坊主は免除! 川上にとっては、
かえっていいモチベーションになっていると見たがどうか。
で、言いだしっぺの西山も3Rで3着。2番手の場面もあっただけに、
惜しいところだったが、こちらも悪くないスタートだ。
4コースを獲っていたため、横西奏恵にはすみませーんと謝っていたが、逆転2着となった馬場貴也には逆にごめんと謝られており、
これがレース後の選手の感覚ということ。
ともかく、表情は基本的に明るく、こちらも坊主免除が見えてきている!?
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)