BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑グラチャンTOPICS 3日目

哀しみのアトサキ

 

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 房総の韋駄天王子・山田哲也が賞典除外に散った。4111という文句のつけようのない成績で。犯した“罪”は、優先艇保護違反。事故艇が発生して、本来は2番手で我慢しなければならなかったのに、うっかり先頭を走ってしまった。だが、ヤマテツのこの“過ち”を、誰が責められる??

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 状況を振り返ろう。10R、1マークで坪井康晴が転覆した。こうなると、実質的な着順は2マークを回った後のスタートラインでほぼ決まる。勝負の2周ホーム。内から岡崎恭裕が抜け出した。その外から、全速で握った山田が襲い掛かる。登録番号が隣同士のふたり(期は違う)の一騎打ち。

 勢いは、山田に分がある。内の岡崎より半艇身ほど有利な態勢だ。が、それでは足りない。半艇身差のまま2周目のスタートラインを通過したら、優先権は内の岡崎に与えられる。外の山田は、岡崎より1艇身出切って、はじめて先着の権利を有するのだ。岡崎1着、山田2着で決まりか。

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 ところが、山田の艇が伸びる伸びる伸びる! ぐんぐん伸びて、スタートラインを通過した。ふたりの態勢は、実に微妙だった。記者席から見ていても、山田が1艇身出切っているようにも、岡崎がわずかに舳先を残しているようにも見えた。正解は、「舳先が入っていた」。つまり、優先権は岡崎にあった。山田は岡崎を先に行かせて、自分は2番手を走らなければならなかった。それが、ルールなのだ。

 だが、記者席から見ても微妙な態勢を、内外離れて爆走するボートの上から正確に判断するのは至難の業だろう。ふたりが選択した行動は、正解とは逆だった。事故艇のある1マークを山田が先に回り、岡崎が折れる形で2番手を航走した。誤って先頭に立ってしまった山田が、賞典除外となった。

 こうした“アトサキの誤認”は、年間に何度も発生している。その度、どこかしらの選手が賞典除外に泣いている。

 これでいいのか。

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 私は、この“事件”が発生するたび、いつも思う。水面で一所懸命走っている選手に、そんな賞典除外に関わるような重要な判断を押し付けていいのか。「1艇身出切っているかどうか」の差がわずか数センチだったとしたら、どの選手が間違わずにジャッジできるというのか。爆弾の赤い導線と青い導線と、どっちかを切ったら爆発する。それくらいの偶然に、自分の身を任せるのと同じではないか。このルールは、あまりにも不条理すぎる。

 今日、もしも山田が「出切っていない」と判断して2番手を走ったら、爆弾はリセットされた。節間4112、予選2位で明日を迎えた。だが、違う導線を切ったために、節間4111という成績でV戦線から消え去った。悲劇としか言いようがない。このルールに関しては、一刻も早く「審議制度」や「選手に優先権を伝達するシステム」などの改善策を導入してほしい。不条理に泣かされる選手は、もう見たくない。

 

'今日のイン成績

⑥①①①①①①②③②②①'

 つ、ついに本格的なSGモードに突入した?? 1Rでいきなり横澤剛治が大敗し「今日のイン選手も天国or地獄の“ピンロク両極端パターン”なのか?? と思ったものだが、2Rの菊地孝平がすんなり逃げ切ってから、あれよあれよの6連勝! 7連勝には届かずも、最終レースまでしっかり舟券に絡み続けて、無敵のSGインぶりを披露した。昨日までより強くなった追い風、それとスタートがバチバチ揃って横一線ばかり、というのが2大要因だろう。最近は、勝負駆けの4日目でも平気で7~9勝するので、明日もイン選手とは仲良く付き合うべきかも?

 

'今日のコース別勝利数

①7勝、④4勝、⑤1勝'

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 インと4コースとで11勝を占めた。ちなみに2コースは初日11Rの赤岩善生が勝ってから、目下25連敗中……「最近のSGは2コースが苦戦する」というのは常識だが、いつまで続くのか、2コース受難。

 そんな「インVSカド」に明け暮れた中で、唯一5コースから勝ったのも、やっぱりこの漢だった。

 

レッドロック様がキターーーーッッ!!

 

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 3日目を終えて予選トップに躍り出たのは……漢・赤岩善生だ! 毎日毎日、ピストン交換など多種多様な整備を繰り返しつつ、その努力を成績に生かしてきた。1311着、節間勝率9・00。3度の勝利者インタビューでも、「あれこれこんな整備をしたら、こんな具合になった、まだこのあたりが足りない」などとファンに丁寧に教えてくれる赤様。今日は午後からキャリボディーなる部分を交換したら、ついに求めていた伸びと乗り心地がきたという。整備の鬼が、3日目で正解に突き当たったのだ。展開の利もあった11Rの5コースまくり差しだが、引き波を力強く超えて行く足は確かにうむむと唸らせるものだったな。

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 ただし、予選トップを狙う明日の赤岩の枠番は、6号艇の1回走り。ここで大きな着に甘んじてしまえば、優勝戦1号艇までの優先権も失ってしまう。おそらく、赤岩は明日もさらなる上積みを目指して、入念に微調整を繰り返すことだろう。明日の4R、3着以内で早々に予選トップの座が決まる赤様。ファンは朝から赤いシャツを着込んで(?)常滑に向かえーーー!!(photos/シギー中尾、text/畠山)