BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江グランプリTOPICS 初日

シガシブFEVER、衰えず!

 まずはGP組、トライアル1stの2戦をダイジェストで振り返っておこう。

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11R

①岡崎恭裕 11
②馬場貴也 13
③石野貴之 14
④赤岩善生 19
⑤菊地孝平 20
⑥池田浩二 21

 自信というヤツは恐ろしい。つい3週間ほど前にSG初制覇、同時にこのGPトライアルの権利を獲得した馬場が、凄まじい2コース差しのハンドルをブッ込んだ。

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 その初動の早かったこと! 外からの攻撃なんぞは見向きもせず、早々に舳先を傾けて1着狙いの決め差し。イン岡崎よりも早かったその仕掛けは、ものの見事に大本命のフトコロを貫いた。初めてのGP挑戦で、よくぞまあこんな大仕事ができたものだ。ただただ賞賛するしかない。

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 惜しかったのは、3コースの石野だ。馬場が1マーク手前で早々に初動を入れたから、まくり差すべきスペースが丸見えだった。当然、狙いすましたツケマイ気味のハンドルをこじ入れたのだが、やはりこの瞬間の馬力が足りなかった。2艇が作った引き波でバウンドし、そのままズルリと真横に流れて1着争いから脱落。この部分の足があれば、石野と馬場の着順はまんま入れ替わったかも? 石野は道中で揉まれながらもなんとか4着争いに食い込んだが、2周1マークの赤岩の振り込み(不良航法で-7点)に巻き込まれる形で6着に。明日は崖っぷちの1着勝負になりそうだ。で、そういう状況の石野貴之という男がどれだけ怖いか、もう多くを語る必要はないだろう。

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 さて、前検で「負ける要素はなさそう」とSランクに推した岡崎は、馬場の差しハンドルを振りほどけずに2着止まり。ただ、今日の敗因はパワー負けというより、馬場のややリスキーな1着狙いの早差し戦法にやられた、と考えている。バック中間あたりから馬場を煽るような伸びも見せており、今日の岡崎の足はイン戦としては後伸びだったかも知れない。Sランクを撤回するつもりはなく、むしろ素晴らしいレース足だった馬場をA+に引き上げたい。明日は6号艇になってしまった岡崎が、スリットからどんな足を見せてくれるか。仕切り直しで大いに注目したい。

憲吾、崖っぷち!

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12R

①吉川元浩 21
②笠原 亮 21
③桐生順平 19
④濱野谷憲吾 14
⑤太田和美 20
⑥新田雄史 20

 新田がピットアウトから動くかと思いきや、スタート展示も本番も枠なりの3対3。スリットを制圧したのは4カドの憲吾だった。ダッシュの利もあって内の桐生を半艇身ほど出し抜いた憲吾は、すぐに舳先を左に傾けた。いつもスマートな憲吾らしからぬ、強引な絞めまくり! 

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 一気に突き抜ける勢いにも見えたものだが、すかさず桐生も伸び返す。今日の桐生の足は「伸び型ですね」と本人が言いきるほどのストレート系で、まくった憲吾にとっては厄介な敵だったわけだ。ゴリゴリと絞めてなんとか桐生を超えたときには、すでにイン吉川に迫るだけの余力を消耗していた。道中でも揉まれに揉まれ、さらに太田和美の2度の失速(-7点)の煽りも喰っての6着大敗。明日も同じ4号艇から、崖っぷちの勝負駆けを強いられた憲吾だった。

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 憲吾の猛攻を尻目にすんなり逃げた吉川は、かなり良さげな足色にも思えた。スリット同体からグイグイ伸び返して2コース笠原より半分ほど抜け出していたし、回ってからスーーッと突き放したレース足もいい感じ。複数の引き波に入ってどうかは分からないが、4号艇の明日も一発を警戒しておきたい。石野の外隣だし!

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 それから、昨日は泣きのコメントを入れていた笠原の足も何気にゴキゲンだった。1マークを小さく回って2番手を取りきり、前検で評判だった太田をバック直線で突き放した実戦足。結果的にこの足色が太田を焦らせ、2マークの失速に導いたと言ってもいいだろう。私の前検評価も本人のコメント通りに辛かったのだが、どんな調整をしたのだろうか。明日の5号艇も要注意だな。憲吾の外隣だし(笑)。

モンスター平尾??

 GPシリーズの方はと言えば、そう、ちょっと化け物じみたストレート足が出現したのである。平尾崇典・27号機。いや、これはもうシンプルに「平尾崇典」と呼ぶべきか。27号機の素性で、特筆すべきストレート足は見当たらない。ほぼ間違いなく、平尾がわずか一晩で強烈なストレート足に仕上げたのだろう。その予兆は前検タイム(3位タイ)にも顕れていたし、最近の当欄でも何度か「平尾の展示タイムがいつも半端ない」みたいなことを書いてきた。今日のそれも1Rが6秒66。2位をコンマ08も引き離した数字はまんま実戦の伸び足に注入され、5コースからありえないような伸び足で内4艇をまくりきった。

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 1号艇だった6R(6秒68のトップ時計)もそのストレート足を活かしてグングン伸び返し、瞬く間に逃げきり。他を圧倒するような勝ちっぷりでピンピン連勝の快スタートを切ったのだった。
 うーーん、何をどうしたらこれほど伸び型に特化できるのだ、平尾??
 もちろんそんな企業秘密は知りようもないのだが、最近の平尾の伸び足は本当に見ていて気持ちがいい。もちろん両刃の剣と言うか、出足系統が弱体化して引き波にハマッて大敗というケースも多い。だからこそ、最近は捌きのレースよりもスリット一撃まくりのスタイルが増えているのだろう。明日の10R6号艇は、どんだけ伸びるのか。展示タイムから注目していただきたい。
 ってなわけで、恥も外聞も捨てて平尾をS級に指名したパワー評価をアップしておこう。

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初日のパワー評価

★★S級…平尾崇典、渡邉英児
★A級…佐藤翼、寺田祥、山田康二、前本泰和

 今日の渡邉は4着に敗れたが、道中の追い上げは見所充分。A~S級の間、つまりA+あたりが適当な気もするけれど、人気の盲点になりやすいだけにS級に据え置く。

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 山田康二のストレート足も強力で、今日に限っては平尾と双璧と言えるかも。それから、寺田祥をA級に指名する以上、今日の10Rで寺ショーに競り勝った前本を無印にするわけにはいかない。正直、全体的な迫力としては前本の方が上に見えたなぁ。あるいはギヤケース交換がバッチリ当たったか。もうひとりギヤ交換した坪井康晴も、2戦ともにしぶとい実戦足で舟券に絡んでおり、今節は「ギヤケース交換」が当たるシリーズなのかも? 今後も直前情報に要注意。(text/畠山、photos/シギー中尾)