インとアウトの交錯
10R 並び順
④赤岩善生(愛知)03
①桐生順平(埼玉)14
②前本泰和(広島)09
⑤池田浩二(愛知)06
⑥菊地孝平(静岡)06
③毒島 誠(群馬)05
イン逃げなのに700倍!!!!!!! 「ガマの薩摩藩士」赤岩がとんでもない大仕事をやらかした。まさかまさかのバナレ飛びインコース奪取。ピットアウトから飛び出した瞬間には内の毒島を半艇身以上もやっつけ、そのまま絞め込むようにしてインまで滑り込んだ。これが石川バナレ教祖様だったら「お、ちゃんと飛んだか!」程度だが、誰が赤岩のバナレ飛びを想像しただろう。スタンド騒然。この石川教祖ばりのバナレは、作戦のひとつだったのか。
「たまたまです……飛んじゃいましたね」
勝利者インタビューで赤岩は静かに否定した。だとするなら、今節は出足型に特化して見える48号機が、何らかの化学反応でスーパーピット離れを生み出したのだろう。
思わぬ形でインに居座った赤岩は、この絶好のチャンスを最大限に生かしきった。想定外のコースだったはずなのに、コンマ03の突出したスタートで逃げきったのだ。そして、同時に住之江グランプリの当確ランプも点灯。ミラクルバナレも含めて、優勝戦の前日にこれだけリズムアップしたのだから、明日の赤岩が怖くないはずがない。スタート展示も含めて、薩摩魂の動向に注目するとしよう。
2着の毒島も実に天晴れなレースだった。ピットアウトで赤岩がツケマイを浴びせるようにして抜き去り、さらに外から菊地や池田がドカドカ押し寄せる混戦の中、毒島は焦らず騒がず6コースの単騎ガマシを選択。そして、コンマ05の踏み込みから伸びなりに内の艇を絞めまくった。ここ2年ほど、私が高く評価している「前付け受け入れカド選択スタート勝負作戦」が今日も炸裂した。素晴らしい。この上州の童顔レーサーは、本当に本当に強くなった、いや強くなり続けている、と今日もまた確信させられた。
バナレでインを奪った4号艇と、あえて6コースの単騎ガマシを選択した3号艇と。この常識的にはありえない交錯も含めて、このレースは実にスリリングなレースだった。そして、それぞれ想定外だったはずのコースをコンマゼロ台前半で克服したふたりの勇気と覚悟に拍手を送りたい。
終わらない死闘
11R
①峰 竜太(佐賀)08
②松井 繁(大阪)17
③木下翔太(大阪)11
④吉田拡郎(岡山)12
⑤片岡雅裕(香川)05
⑥平本真之(愛知)02
峰が豪快なインモンキーであっさり逃げきった。
それはいい。「チャレンジ」という意味では、このレースの2着争いが節イチ級の死闘となった。13年連続のGP参戦を目指す松井vs片岡のテイルトゥーノーズ。常に優位なポジションを維持していたのは松井だ。スタートでやや凹みながらも1マークをくるりと旋回して2番手キープ。4コースから差した拡郎の舳先がわずかに掛かったが、ギリギリ振りほどく。
こうなれば、後続には抜かれない王者としたものだが、5艇身ほど後方の外に埋伏の兵・片岡が潜んでいた。片岡は徹底して全速の外マイを貫いた。2マークをぶん回して3艇身差。まだまだ安全圏だ。が、2周1マークの片岡の握りマイは強烈の一語。豪快に外をぶん回して舟が返ると、その差は1艇身、いや半艇身に詰まっていた。
まさか……?
そんな予感を抱かせるパワフルな猛追。2周2マーク、ここでも片岡は迷わずレバーを握って襲い掛かる。王者がギリギリ艇を合わせて応戦する。やはり半艇身差。この差が逆転すれば、松井のGPロードはかなり危ういものになる。
3周1マーク、しつこい片岡に痺れを切らしたかのように、松井は変化技を繰り出した。あえてターンマークを外して強めに握り、片岡のツケマイの航路を塞いだのだ。一瞬、この勝負手は見事に決まったかに見えた。ここでも握ろうとしていた片岡が、やや慌てたように力のない差しに切り替えたのだ。これは松井の想定通りだったと思うのだが、危険な勝負手に出た松井も無傷ではない。あえて強めに握った艇は、しばらく真横に流れてから前へ進みはじめる。その間に片岡の艇も加速する。松井のGP当確か、片岡のSG初優出か……雌雄を決する3周バックの出足勝負は、片岡に軍配が上がった。スルリと舳先が突き刺し、さらにグイグイ貫いていく。
最終ターンマーク、松井は外に開いて渾身の差しハンドルを入れたが、片岡はしっかり落として回って王者のGPへの野望を引き波に沈めた。この丸々2周に及ぶ死闘を通じて、片岡のパワーがわずかに上回っていたと思う。
ちなみに、3着に敗れた松井はそれでもまだ住之江GPロードが閉ざされたわけではない。明日、松井自身が選抜A戦(2号艇)を勝ち、優勝戦で馬場と片岡以外の選手(たとえば石野貴之!!)が勝てば、大逆転のGP入りが決まる。まだまだ松井のチャレンジは終わらない。
節イチ未だ決まらず!
12R
①馬場貴也(滋賀)19
②柳沢 一(愛知)17
③石野貴之(大阪)19
④中野次郎(東京)11
⑤中島孝平(福井)12
⑥平尾崇典(岡山)06
スリットから覗いたのは、10月31日に34番目のチャレカ切符を手にした中野だった。ご覧のスリット隊形で、さらに次郎の艇だけがダッシュ分の勢いでスッと伸びていった。内3艇が中堅レベルの機力なら、あっという間にまくり切っていただろう。
が、今日は相手が悪かった。スリットで後手を踏んでさらに次郎に煽られた石野がじわじわ伸び返す。舳先を左に傾けようとした次郎が、思い直して直進するほどの伸び返し。石野と同体のスタートだった馬場も同じように伸び返し、何事もなかったかのように1マークを旋回した。そのワンパンチで、他艇はもう千切れていた。
一方、石野の足色もやはり素晴らしい。このレースは準優でもっともパワー相場が高く、ツートップにしても楽な相手ではなかった。特に出足の中島と行き足の次郎。1周2マークで石野はこの2艇に絡まれて、あわや優出漏れかと思うほど激しく食いつかれた。が、2周1マークの全速マイ一発で石野42号機はそれら強敵たちを一気に3艇身ほども突き放してしまった。やはりモノが違うのだ。
独走の馬場44号機がゴールを通過したタイムは、新型エンジンの全国レコードを塗り替える1分44秒4という猛時計だった。そして、それまでの記録はというと、つい3日前に石野42号機が叩き出した1分44秒5(実際はタイに並んだもの)……我々は、ここ4日間でふたつの怪物級パワーを目の当たりにしているわけだ。
結果だけを見ると、今節3度目の直接対決=「節イチ決定戦」も馬場の圧勝だった。3戦3勝、すべて大差に近い。タイムアタックでも馬場44号機がコンマ1秒上回った。が、ボートレースはターンと展開のアヤでいくらでも差が開く競技でもある。3度の対決で一度も接戦がなかった以上、「パワー差も馬場の圧勝」と考えるのは早計だとお伝えしておく。明日の石野は4号艇。どう考えても42号機は、4カドでこそ最大限のパンチ力を発揮するモーターだと思っている。そう、4度目の対決の明日こそが、真の節イチ決定戦なのである。
賞金ランキング(チャレカ予選順位)
1毒島 誠 13890万……1位確定!(ファイナル5号艇)
2白井英治 8955万▲…トップ6確定
3井口佳典 8881万……トップ6確定
4峰 竜太 8729万……トップ6確定、優勝戦完走で2位浮上(2号艇)
5中島孝平 7859万……トップ6当確
6守田俊介 7785万……石野、赤岩以外が優勝でトップ6確定
――――
7吉川元浩 7433万▲…GP1st確定
8岡崎恭裕 6721万……GP1st確定
9笠原 亮 6623万……GP1st確定
10桐生順平 6328万……GP1st確定
11濱野谷憲吾5957万……GP1st確定
12石野貴之 58922万……GP確定、優勝でトップ6(4号艇)
13太田和美 5871万▲…GP1st確定
14新田雄史 5707万▲…GP1st確定
15池田浩二 5673万……GP1st確定
16菊地孝平 5644万……GP1st確定
17瓜生正義 5570万▲…優勝戦2~5号艇V+松井が選抜戦で②着以下で当確
18赤岩善生 5569万……GP確定、優勝でトップ6(3号艇)
――――
20松井 繁 5340万……選抜戦①着+優勝戦2~5号艇Vで当確
39馬場貴也 4037万……優勝のみ(1号艇)
41片岡雅裕 4020万……優勝のみ(6号艇)
千広が細川にアタック!
女子チャレカの勝負駆けが終わり、明日11Rの優勝戦メンバーが決まった。1号艇は昨日までブッチギリの強さを誇った守屋美穂。今日の9Rではじめて大敗を喫したが、ライバルの今井美亜も4着に敗れたためトップ当選。今井も2位の座を守ってそのまま明日の1・2号艇を分かち合った。
守屋が優勝すれば賞金ランク9位から4位前後に浮上。今井が勝っても残念ながらクイクラには届かないが、だからこそ現行のルールに風穴を開ける意味でも優勝してもらいたい。
で、「チャレンジ」という意味合いでは、ファイナル6号艇の大山千広だけが「12位の細川裕子超え(←今日、寺田千恵と入れ替わった)」を目指す。その条件は、3着! つまり、(おそらく)大外の6コースから攻めて舟券に絡めばクイクラ当確、絡めなければ落選という実にスッキリと潔い条件が残された。細川ファンは「12345BOX」千広ファンは「6-全-全、全-6-全、全-全-6」を勝って応援してくださいね!(笑)
女子賞金ランキング
1小野生奈 3547万……QC確定
2長嶋万記 3128万……QC確定
3山川美由紀 3025万……QC確定
4中谷朋子 2919万……QC確定
5遠藤エミ 2890万……QC確定
6日高逸子 2872万……QC確定
7中村桃佳 2732万▲…QC確定
8松本晶恵 2666万▲…QC確定
9守屋美穂 2648万…QC確定
10竹井奈美 2638万…QC確定
11寺田千恵 2602万…QC確定
12細川裕子 2600万▲…優勝戦の大山が④着以下で確定
――――
13大山千広 2464万…優勝戦③着でQC当確(6号艇)
※▲はチャレカ欠場
(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)