関東ロケット
全国24場の地元意識、プライドが激しくぶつかり合うMB記念。今節は、地区別に勝利数をカウントしてみよう。まず、初日を圧倒的大差でブッちぎった地区は……??
'★関東…6勝
★東海…2勝
★近畿…1勝
★四国…2勝
★中国…0勝
★九州…1勝'
なんとなんと、このところ劣勢を強いられている関東軍だった! まあ、今日の最大の勝因はと言えば「枠が良かった」ということだろう。6勝のうち、1号艇でのイン逃げ4発。
1Rでエース機の齊藤仁(福岡在住だけど東京支部です)が逃げ、3Rで多摩川の秘蔵っ子・長田頼宗が逃げ、5Rで超抜モーターを引き当てた平石和男が逃げ、10Rは東都のエース・濱野谷憲吾もしっかり逃げきった。
1号艇の4人で4勝……今日の丸亀水面はインが強かったから、想定内の4勝ではある。が、1号艇以外でさらに2勝を積み重ねたのは、高く評価していい。
まずは4Rの秋山直之。イン茅原悠紀と2コース石橋道友が激しくやり合っているうちに、3コースからズッポリ差し抜けた。展開の利があったとはいえ、引き波を超えていく足色はかなり力強いものだった。勝ち時計1分47秒5も、ドリーム戦の池田浩二に次ぐ好タイムだった。この勝利で完全にリズムに乗った秋山は、11Rでもアウト6コースから怒涛の全速差しで一気に2着を奪い取った。3・6号艇での①②着は大きなアドバンテージになるだろう。
もうひとりの殊勲者は、群馬のニューヒーロー毒島誠だ。4カド丸岡正典の絞りまくり(後述)に乗って、5コースから鮮やかにまくり差した。これも展開の利を突いたものではあるが、冷静沈着にして的確なハンドルワークは、ムムムと唸らせるものがあった。若松オーシャンカップの優出(3着)で、完全に一皮剥けた。そんな確かな成長を感じさせるまくり差し圧勝だった。
そんなこんなで、今日は文句なしの「関東デー」と言い切ってしまおう。賞金王・山崎智也もしっかり2着を取りきり、ドリームの桐生順平は王者・松井繁を一撃の強ツケマイで引き波に沈めたし。ここ数年、西高東低の波に押されっぱなしの関東勢。とりわけ東京支部は、このMB記念の選出でもファンからの風当たりが強かった。
「東京だけで3場6選手は、レベル的に多すぎる。大阪なんて、湯川でさえ選ばれないのに」
そんな声をあちこちで聞いた。今日のロケットスタートは、そんな“悪評”を吹き飛ばすに十分な発進だったと言えるだろう。もちろん、とりあえず、ではあるが……。
付記/関東の6勝に対して、1つの勝ち星も挙げられなかったのが中国地方だ。が、勝利とは別に、素晴らしいファインプレーがあったぞ。6R、山口剛の2周2マークの絶妙すぎる切り返し。外に持ちかけたと見せかけて、瞬時に内へと舳先を変え、相手にまくりも差しもさせないタイミング&スピードで前を遮蔽した。
「に、西島かっ!!??」
私は思わず叫んだが、まさに西島義則がお家芸にしていた超激辛の切り返し。「宮島厳島の伝統は、こんな風にして代々受け継がれていくんだなぁ」なんて、私はひとりほくそ笑んでいた。若いのに、そこはかとなく古風で頑固なツヨポン、愛してますっ!!(笑)
銀河の宿命
1号艇・森高一真、4号艇・丸岡正典。
9Rのこの枠番を見たとき「これは……あるのか?」と思ったのは、私だけだろうか。もちろん、今まで何度となく目撃してきた「SG名物・銀河競り」のことだ。インの森高、4カドの丸岡。これはヤバい。しかも、前検ではさっぱりの足色だった丸ちゃんが、今日になって伸び足がきた。きた、と言うより、「出足・回り足を殺してでも伸びを付けた」という感じの気配だった。前検時計がワースト級の6・75、今日の前半4Rの展示タイムが6・68。そして、この9Rが6・66……スタート展示からして、明らかに行きっぷりが違っている。
やるのか、丸ちゃん!?
スタ展を見て、私は再び心の中で問いかけた。このレースの森高は、地元の期待を一身に背負ってイン水域を向かう。確勝を期して。「地元のSGで、悲願の水神祭Vを!」という森高の思いは、めちゃくちゃ仲のいい丸岡にも以心伝心で届いているはずだ。
それでも、行っちゃうのか、丸ちゃん??
今回ばかりは、たとえスリットから覗いても、まくり差しあたりで妥協するのではないか。などと私はクソ甘いことを考えていた。
丸岡は、行った。嬉々として行った。私の目には「嬉々」としか見えなかった。ほぼ同体の4カドから、丸岡は森高をまくりきることだけを考えて締めていった。「カズマーー、行っくでーーー」みたいな。本当に、そうとしか見えない激烈な絞りまくりだった。そうなのだ、それが銀河戦士の暗黙のオキテなのだ。「たとえ相手が同期でも」なんて甘っちょろいもんじゃなく、「相手が同期だからこそ、攻め潰す!!」
すわ、久々の銀河競りかっ????
1マーク、嬉々として締める丸岡に森高が飛びつけば、2艇もろとも消波装置までブッ飛んで行ったことだろう。だが、森高はそれを回避し、同期の親友のまくりを甘んじて受け入れた。さぞや悔しかったことだろう。だが、ここが地元水面だからこそ、そしてこの地元のSGで優勝したいからこそ、森高は我慢した。私は勝手に、そんなことを考えていた。それにしても、銀河系……やんちゃすぎる!!(photos/シギー中尾、text/畠山)