BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

浜名湖グラチャンTOPICS 初日

果てしない銀河抗争

 

 また今日も、銀河戦争が勃発した。4Rの銀河系85期は①田村隆信、②丸岡正典という並び。普通なら「最強の布陣」と言うべきなのたが、銀河系の場合は「最凶の布陣」になることがままあるのだ。このレースでも、それは起きた。田村のスタートがコンマ20で、丸岡はコンマ11。スリットで半艇身ちょい、2コースの丸ちゃんが覗いてしまった。伸びなりに、ジワジワと締めはじめる丸岡。それだけはまかりならん、と必死に伸び返す田村。1マークの手前では「丸ちゃんの差しハンドルもありえるか」という隊形になっていた。そうなれば、2=1という共存共栄のワンツーフィニッシュになる可能性が高い。

 

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 だが、こと銀河系に限って、そんな大団円はありえないのだ。嬉々として?丸岡はレバーを握った。問答無用の強ツケマイ。田村も握って応戦する。もつれるように1マークを回って、丸岡の艇だけが元気に抜け出した。逆に、握って抵抗した田村は場違いな方向にぶっ飛んで行った。丸岡1着、田村6着……これでも今日はまだいい。一歩間違えば、艇がぴったり重なって2艇ともに広い浜名湖の彼方へと旅立ったことだろう。

 

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 古くは10年近く前の賞金王トライアルでの井口VS湯川の大競り、最近では4月・尼崎クラシックでの田村VS井口の叩き合い(結果的にイン12連勝を阻止するまくりになった)。その間、私はどれだけ銀河競りを目の当たりにし、どれだけこの欄に書き込んだことだろう。何度書いても、書きたくなるんだよなぁ(笑)。

①同一レースに、銀河系が複数参戦する。

②そのうちのひとりが1号艇。

 たったこれだけの条件が揃うだけで、イチローがヒットを打つくらいの確率で勃発する銀河競り。もはや「水上の格闘技」という言葉は絶滅危惧種になりつつあるが、銀河系の面々がいる限り死に絶えることはない、と思う。

 

ミスターグラチャンの明暗

 

 かつてグラチャンの3連覇に挑んだ湯川浩司(失敗)、現在その大偉業に立ち向かっている太田和美。大阪支部のこのふたりを総じて「ミスターグラチャン」と呼んでいる私だが、初日の今日はくっきりと明暗が分かれた。

 

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 明は湯川。5・6号艇の苦しい枠を強いられた湿気王子は、この難関を軽々とクリアして見せた。5号艇の6Rは、5コースから一撃まくり。スリットでは1/3艇身ほど覗いた程度だったが、そこから伸びるわ伸びるわ。伸びなりにハンドルを入れると、あっという間にイン三井所尊春まで呑み込んでいた。SGでこれだけ伸びきる湯川って、まさにグラチャンを連覇した絶頂期以来ではないかしらん。

 後半11Rはさらに厳しい6コース発進。さすがに連勝発進とはならなかったが、道中の伸びを生かして3着を取りきった。このレースでは「伸びる代わりに、回り足は平々凡々」という最近の湯川らしい課題も明白になったな。直線で突き放し、ターンで追い詰められるという繰り返し。だがしかし、あれだけ伸びれば1マークを握って勝負し続ければいいのである。残された枠は1~4。スリット互角以上なら、逃げ&まくりの4連勝もありえると思うぞ。

 

 

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 暗は太田。前半2Rは枠なり5コースから捌いて3着。悪くないスタートではあった。が、後半7Rで見えない落とし穴にはまる。3コースからまくり差しを狙い、「鮮やかに決まったか!?」と思った瞬間、他艇と接触して大きくバランスを崩した。大差の6着で、初日は38位発進。3連覇へ黄信号とまではいかないが、暗い雲がまとわりつくスタートとなった。ただ、今日は運がなかっただけで、パワーは少なくとも上位レベルはあると思う。前人未到の大記録へ、明日からの巻き返しに期待したい。

 

パワー診断、改訂

 

 昨日「今節はモーター素性を度外視し、自分の見た目だけで判断する」と宣言した。さっそく、初日の段階でマイナーチェンジの必要を感じたので、書き記しておこう。まずは、前検ベスト6のおさらいと今日の成績から。

 

SS級

★湯川浩司①③

★太田和美③⑤

S級

★深川真二①

★森高一真②②

A級

★今村豊①

★茅原悠紀⑥⑥

 

 

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 それなりに満足のゆく結果&実戦足ではあった。ミスター今村豊は同体の3コースから強烈なツケマイで勝ちきったし、深川も2コースから差しきるだけの回り足があった。森高はイン戦でその深川差しを浴びて2着に敗れたが、まずは良しとしておこう。

 

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 唯一、完全に見立て違いだったのが茅原だ。ストレートこそやや強めだったが、回れない回れない。ターンのたびに舟が暴れ、ぐんぐんずり下がっていた。ちょっと不安視していた出足系統(回り足含む)が、想像以上に悪かった。おそらくワースト。あれでは、もちろん降格させるしかない。改訂番付は、こんな感じだな。

 

SS級

★湯川浩司

S級

★深川真二

★太田和美

A級

★今村豊

★服部幸男

★森高一真

 

 

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 茅原を戦力外とし、代わってスリット付近の伸び足がいい服部幸男を抜擢する。他では田中信一郎の追い上げ足がゴキゲンに見えたなぁ。あと、実に穴っぽい気配を漂わせているのが、守田俊介だぞーームフフ。(photos/シギー中尾、text/畠山)