BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――静か

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 1R展示直後のピットは、なんともはや、静かだった。ピットから至近の野外ステージで、May J.さんのライブが行なわれており、それを見物していた(聴いていた)選手も少なからずいたようだったが、それにしてもピットには人影が少ない。装着場にはなかなか選手があらわれず、吉田拡郎がひとりあらわれて、準備を始めていた程度だった。挨拶をすると、拡郎は爽快な笑顔を見せてくれている。

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 整備室には、真ん中にあるテーブルでゲージ擦りをしている選手が3人。瓜生正義、菊地孝平、毒島誠だ。エンジンがそれなりに仕上がった証し、なのか。その少しあとには中島孝平が合流し、孝平同士で向かい合って作業をしている姿も。それにしても、SGで菊地がゲージ擦りをしている姿、あんまり記憶にないな。近況SGでは整備やペラに奔走する姿をよく見かけていて、今節は手応えあり、なのかもしれない。

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 もちろん水面には試運転中の選手もいるが、これもそれほど多くはないように感じた。係留所に空きがけっこう目立っていたのだ。装着場から近い場所で森高一真が入念に調整をしているのがかなり目立っていて、係留所自体の人口密度は低いように思える。齊藤仁が森高に近づいて話しかけている姿があったが、その時間帯に見かけた絡みはその程度であった。仁ちゃんと森高、仲がいいんですよね、風貌は対照的な二人ですが。

 そんな空気のピットだから、ペラ室から聞こえる金属音が、やけに強く耳に届いてくる。ペラ室自体も選手の姿は決して多くはなかったが、だからとりわけ思い切って叩いている選手が発する音は、よく目立つのであった。

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 たとえば中野次郎。高く木槌を振り上げて、力いっぱい、振り下ろしている。前検初日には同様の選手を多数見かけたものだが、3日目ともなれば、そこまで強く叩いている選手のほうが少なくなっている。それだけに次郎の奏でている音は、苦戦への喘ぎのようにも聞こえてしまった。

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 もっとも、平山智加も激しく叩いていた一人で、平山は3R出走。レースまでの時間がそれほど残っていないなかで、少しずつ仕上げている場合ではない、ということなのかもしれない。次郎は4R出走。こちらもあまり時間はないのだ。

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 あと、服部幸男もけっこう強めに叩いていたぞ。服部は「ペラ室」ではなくて、装着場の隅にある「外部調整所」で叩いているので、その音はかなり強く響いていた。装着場の外にいても、聞こえるくらいだったのだから、なかなか激しい調整だ。服部は12R1回乗り。時間はたっぷりある。このあと、どんな調整、動きを見せるだろうか。

 

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 1Rが終われば、選手の姿はあちこちで見られるようになっていた。まずは1R出走組のレース後の作業。井口佳典は速攻でギアケースを外して調整を始め、赤坂俊輔は本体を外してキャリーボディーとの接地部分を磨いていた。山川美由紀はさっそく次のレースへの準備を始めている。

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 辻栄蔵は、2回乗り組のなかでは次のレースがいちばん早いから(7R)、やはりすぐにペラ室に飛び込んでいる。公開勝利者インタビューを経て、それでもすぐに姿を見せていたから、素早い動きだ。

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 それにしても、1R後の今村豊は悔しそうだったなあ。勝っても負けても朗らかにレースを振り返り、おどけてみせて周囲を笑わせている今村なのに、ほとんど口も利かず、眉間にシワを寄せて首をひねっていたのだ。こんなミスターの姿、珍しい。1号艇でインからスタート後手でまくられる、という負け方は、あのミスターからも笑顔を奪ってしまうわけだ。激しく悔やむ今村豊の姿もまた魅力的ではあったが、やっぱりミスターは笑顔が一番!

 

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 さて、丸亀ピットでのレース観戦は、装着場のど真ん中にあるモニターで。レース中、JLC中継組をはじめ報道陣は、宙づりになっているモニターを見上げていて、僕ももちろんその一人だ。その1R、僕はいつものように、出走表とモニターを交互に見ながら、待機行動を眺めていた。大時計が回るまであと少し!

「ちょっと見せて」

 そのとき、僕が持っていた出走表を覗き込んできた選手がいた。僕はすっと出走表を差しだす。王者だった。松井繁はそのまま、隣でモニターを見上げる。うおっ、王者と並んでレース観戦!

 最初は「おぉっ!」なんて興奮もしていたのだが、レースが進むにつれてだんだん緊張感が増してきた。1マークで赤岩善生が今村豊をまくり、辻栄蔵が差し切るわけだが、「おぉっ、辻うまい!」とか口にしてもいいものか、あるいはミスターから流した舟券を思い出して「ぐぉっ!」とか悲鳴をあげていいものか、そんなことを考えているうちに胸がドキドキしてきたのだ。松井は静かに穏やかにモニターを見つめ、出走表に目を向け、を繰り返しており、うぐぐぐぐ、なんかだんだん息苦しくなってきた~~~っ!

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 というわけで、王者と並んで観戦という贅沢な時間を、まったく活かせなかったワタシなのでした……。(PHOTO/中尾茂幸=菊地、服部、井口 池上一摩 黒須田=辻 TEXT/黒須田)