BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――やわらかく過ぎる

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 突然おもしろTシャツシリーズ!

「釣り魂」!

 オーシャンカップでも若干気になってはいましたが、毒島誠のTシャツです。「釣ってるつもりが釣られてる」。いいなあ。深い!「バラしてしまい、呑んだ涙は星の数」。うんうん、ヌケてしまい、呑んだ涙は星の数以上……うんうん、わかる、わかるぞ!

 え? 準優の日にこんなことしてる場合じゃないって? そりゃそうかもしれませんが、毒島をはじめとして、それぞれが自然体で過ごしているように見えたベスト18。ヒリヒリした空気が漂い始めるのはまだもう少し先になりそう……てなわけで、こういうところに目が向いてしまうのであります。

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 ほかにも、手拭いを無造作にかぶった山崎智也、とか。篠崎元志はどんな顔しててもカッコいいわけですが、その元祖がこの人。ワタシがやったらだらしないオッサンにしか見えないであろうこの姿も、智也はやっぱり絵になるわけであります。この世は不公平にあふれている……などと哲学的にもなるピットの空気、である(単なるひがみ?)。

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 1R、峰竜太が予選落ちの鬱憤を晴らす1着。ピットに戻った峰を出迎えたのは、ニッコニコ顔の深川真二であった。深川の真剣な顔ってのは、わりとおっかない系だと思うのでありますが、ニコリと笑った顔はなんとも優しい。つまりは、男の笑顔である。ヘルメットの奥をうかがい見ると、深川のニコニコ顔にあわせるかのように峰も目を細めていた。そりゃあ、この笑顔で出迎えられたら頬が緩まなければおかしいというものである。

 てな具合に、基本的にはやわらかい前半ピットだったと思う。慌ただしく動いている準優組もおらず(一般戦組もそうだった)、なおさらこちらもゆったりと過ごしてしまうわけなのだった。まあ、準優だからといって、緊張感ヒシヒシだとは限らないのである。

 

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 といっても、もちろん早めに動き出す選手が皆無だったわけではない。秋山直之は1R展示前から係留所で作業をしており、展示が終わってもそれは続き、1Rエンジン吊り後も係留所へと降りていき、作業の続きを始めている。朝の試運転では、スローからの起こしを何度も何度も試してもいた。序盤の時間までの作業量でいえば、この人が一番だったと思う。

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 ペラ室にも準優組は何人かの姿があった。そのなかに丸岡正典もいて、何度かペラ室と係留所を往復している。表情自体は柔らかく、こちらに気づくとニヤニヤっと目を細めてくれていて、ようするにいつもの丸ちゃん。ただし、ペラに向けられる目はなかなか鋭く、集中力は早くも高まっているようだ。

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 予選トップの菊地孝平は、ゲージ擦りをしている松井繁の前に陣取っていた。整備室のど真ん中にそのテーブルはあり、早い時間から松井がそこで作業をしていたのだが、いつの間にかその向かいに菊地が座り込んでいたのだ。松井は、ときに手振りを交えて、菊地に話をしている。菊地はうなずきながら、その話に聞き入る。装着場などで見る限り、その時点ではプレッシャーなど感じている様子はなかった。09年オーシャンでは同様の立場に立っているので、初体験でもない。それでも、大一番を前にして、山ほどの修羅場をくぐり抜けてきた王者の魂を乗り移らせようとしたのか。なにしろ聡明な男だ。王者の言葉は、コンピュータをフル回転させる重要な言語となっていることだろう。(PHOTO/中尾茂幸=丸岡 池上一摩 黒須田=毒島、山崎 TEXT/黒須田)