BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――苦難をはねのけろ!

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 決定戦のスタート練習とタイム測定は、初戦11R組=7R発売中、初戦12R組=8R発売中に行なわれている。3~4R発売中当たりから試運転を始め、そのうえで前検航走を行なう。試運転ができたのが時間にして30分くらいだろうか。ということは、普段の前検とも変わらないわけだが、モーター抽選が9時30分からだったし(通常12時)、レースの時間帯は陸での作業に費やせるため、通常の前検よりは慌ただしさは薄い。試運転をほとんどせずにスタート練習とタイム測定に臨む選手も何人かいたりするが、決定戦に関しては全員が試運転で感触を確かめることになる(賞金王もそうですね)。

 

 

 

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 好感触組は、金田幸子、長嶋万記、海野ゆかり、守屋美穂か。山川美由紀もここに含まれるかな。三浦永理も悪いというわけではなさそうだった。

 表情が印象に残ったのは、長嶋だ。とにかく引き締まっているのだ。「いつも気合を入れ過ぎて失敗するので、自然体で、平常心で走りたい」と語っているが、その顔つきには気合を感じずにはいられない。モーターの好気配を感じ取ったことで、ぐっとモチベーションが上昇したか。雰囲気節イチは、僕が感じたところでは、長嶋万記だ。

 

 

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 海野ゆかりもゴキゲンだった。「悪くないですね…………じゃあ、いいってことかな(笑)」。やはりモーターの好気配は選手の気分をアップさせる。11Rは、海野以外は全員が4000番台という「ヤング組」。海野が40歳というのも不思議で仕方がないのだが、ともかく1人だけ、“ベテラン”が混ざっている。それを記者に振られても(ピンロックでおなじみの藤原記者です)、海野はニッコニコ。「いちばん年上ですからね~」と大笑いしていた。機力劣勢なら機嫌悪くしそうな質問にも、笑顔でおどけるわけである。

 

 

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 一方、ネガティブ組は、鎌倉涼、平山智加、日高逸子、寺田千恵、高橋淳美。谷川里江もどちらかというとこちらに含まれていて、もっとも「勝率を考えれば物足りない」というコメント。話題の28号機なのだから、期待も大きかったはずで、ひとまずはそれが裏切られたかたちなのだろう。

 彼女たちの多くが「シリーズ組より弱めだった」。足合わせは決定戦組、シリーズ組を問わずに行なわれていたが、上位機であるはずの決定戦組がシリーズ組にやられるケースも少なくなかったようだ。記者席で畠山シュー長と足合わせを見ていたら、五反田忍が決定戦組をやっつけるのを見た。二人して「???」だったのだが、そういうことだったのだ。シリーズ組は、すでに調整を始めて3日目。その分もあったと思われるが(来年の賞金王トライアル1st組とトライアル2nd組にも同様のケースが懸念されており、2nd組にアドバンテージを、というプランが検討されている)、決定戦組としては気分を暗くする出来事だろう。

 

 

 

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 もっとも意気上がらない様子だったのは寺田千恵。会見では、うつむき加減で話し続け、声も小さかった。「正直、手応えは感じなかった。もっと出さないと」と早くも苦戦を暗示するようなコメントを出しているあたり、調整の方向性で頭がいっぱいになっていたと思われる。エンジン出ているときのテラッチは、ピットでも笑わせてくれるからなあ。なんとか持ち直してほしいところである。

 

 

 

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 それにしても、金田幸子は決定戦の舞台でもほとんど変わらないですね。今日も、なんか知らんがフラフラユラユラと歩いている姿を発見。実にマイペースなのだ。これが、明日からどんな変化を見せるのか。それともやっぱり変わらないのか。それを見るのも楽しみである。

 

 

 

 

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 決定戦組が前検作業を行なっている最中でも、シリーズ戦組はレースを戦う。今日は追い風が強かったから、厳しい戦いを強いられた。それでも、彼女たちは奮闘! 淺田千亜希と浜田亜理沙のフライングは残念だったが……。

 

 

 

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 苦しい戦いになっているのは遠藤エミだ。ドリーム組ということは主役の一角、近況を思えばそれも当然の上昇株だが、今節はもうひとつ調子が上がってこない。大きな着順も並んでおり、明日は一日早い勝負駆けを強いられそうだ(1号艇!)。

 遠藤も、もはや苦笑いを浮かべるしかないといった雰囲気で、ピットに戻ってヘルメットをとると、力ない笑みがあらわれている。後ろを走るから、ボートに入った水を吸い取るのにも時間がかかる。必然的にカポック脱ぎ場に戻るのは遅いタイミングになり、遠藤は走ってそちらに向かうのであった。

 

 

 

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 今日は1着が出たものの、平田さやかも大きな着が多い。それもあるのか、ピットで見かける平田の顔はなんとも厳しい。鋭い。平田といえば、宝塚の男役を思わせるスタイルなわけだが、それだけに厳しい顔つきは迫力を感じさせる。1着を獲ったレース後も、決して笑顔を見せなかった。明日は6号艇1回乗りと苦しいシチュエーションだが、明日は笑顔が見たいなあ。(PHOTO/中尾茂幸黒須田=遠藤 TEXT/黒須田)