BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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TOPICS 3日目

ウリューキリュー

 

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「桐生でーーす♪」

「瓜生でーーす♪」

「ふたり合わせて、ドラキリューでーーす!」

「なんでやねーーん」

 このふたりが同じレースに出ると、なぜかコンビ漫才を連想してしまう。今日の8Rのレース直前も、ふたりは仲良くドツキ合っていた。私の頭の中で。そして、現実のレースでも、ふたりはパッチンパッチンドツキ合った。こちらはガチの真剣勝負で。

 逃げた森高が抜け出しての2着争い。バック直線は外に瓜生、内が桐生。1艇身ほど瓜生が優勢だ。私としては2着が瓜生ならハズレ、桐生なら当たりというのっぴきならない状況だった。が、瓜生桐生が並んでいると、また脳内を妄想が走り抜ける。このときは漫才ではなく、漫画『モンキーターン』の吹き出しみたいなものが浮かんだ。

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1周2マーク

瓜生「そんなターンでは、僕を交わせないよ、桐生君」

桐生「さ、さすが瓜生さん、凄い全速マイだ! でも……まだ1艇身差、俺のほうが少し伸びている。まだ、チャンスがある!」

瓜生「クッ」

 

2周1マーク

桐生「勝っても負けても、先に回るしかない。行けっ!!」

瓜生「ツケマイは無理か、ここは行かして差すしか……ム、3号艇!? (スッ、ブルン、ギュッ、ブウォォォン)狭いが、ココを……差すっ!」

桐生「な、なんて人だ、この展開でも突き放せない!」

瓜生「桐生君、キミだけには負けられない」

桐生「瓜生さん、俺は……あんたにだけは、負けたくないっ!」

2周2マーク

瓜生「おそらくこれが最後のチャンス、(ギュッ、チャッ、バウーーン)さあ、どうする桐生君」

桐生「合わせてきたか、勝負に出たな、瓜生さん、迷うな、迷っちゃダメだ、ここは俺にしかできない(ギギュッッ)……」

瓜生「なにっ??」

桐生「ジャイアントキリング……光速モンキーーー!!」

瓜生「ク、まさか……この私が……」

桐生「か、勝った、瓜生さんに、競り勝った!」

 

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 はい、レースを観てない人は、何がなにやらわかりませんね。私も書いててバカらしくなったが、とにかくこんなセリフが勝手に浮かび上がるのである(本当に浮かんだのはこの1/5くらいだけど)。漫才といい漫画といい、なぜこのふたりのときだけなのか。単純に名前の響きが似てるから? いや、もっと違った意味で「それが瓜生と桐生だから」なのだと思う、うん。

 

明暗

 

 

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 3日連続で8勝。インコースが当たり前のように強い今シリーズ、V戦線を占う上でもっとも重要なキーワードは「予選トップ」だ。今日の昼まで、私はその争いを白井英治VS毒島誠の一騎打ちと見ていた。リズム、パワーともに、このふたりが突出している。そう思っていた。だが…………。

 

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 シリーズを快調に飛ばしていた白井英治が、一瞬にして準優圏外まで失墜した。5Rで、まさかの落水失格(選手責任、減点5)。6号艇の白井は、ピットアウトから闘魂剥き出しだった。明らかに「予選トップ」を意識していたと思う。3コースに潜り込み、しっかり全速のスタートを決めて内2艇をゴリゴリ締めに行った。凄い伸びだ。あっという間に、インのカマギーの舳先まで到達した。そのまま一撃でまくりきる光景にも見えたが、同時に妙な違和感もあった。白黒決着が付きそうな光景の割りに、まだ1マークが遠い。締めるタイミングが早すぎる? そう思った瞬間、英治の身体は宙を舞っていた。カマギーの舳先にエンジン?が引っ掛かり、艇が大きく暴れたのだ。落水失格。勝てば予選9・00でトップの毒島に肉薄するはずが、準優ボーダーを大きく下回る5・25、27位まで下落した。バリバリの闘魂モードが、仇になってしまったのか、英治。

 

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 一方、昨日までトップの毒島は6・5号艇という鬼門の1日を、2・4着と無難に乗りきった。MB記念連覇へ、でっかい12点増しだ。足は相変わらず噴きまくっている。6号艇だった4Rは、慌てず騒がず6コースから最内を差して、難なく2着を獲りきった。逆に5号艇の10Rは展開がなく離れた最後方に置かれたが、あれよあれよと2人を抜いて4着だ。この「6着のはずが4着」というのが得点争いではデカいのである。5走を終えて8・40……明日の2号艇で大崩れさえなければ、ほぼトップを維持できるだろう。悲願のSG初制覇に燃える白井、同一SG連覇に燃える毒島……同じくらいに見えたふたりの灯火が、片方はより巨大化し、片方は消え入りそうなほど小さくすぼんだ。ただし、英治の火種はまだしっかり残っている。パワー的には、天辺まで巻き返せる足だとお伝えしておく。

 

その他の所感、エピソード

 

 

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★2R…平山智加が目の覚めるようなゴボー抜き。バック最後方から1周2マークの強引なターン一発で4艇を抜き去った。ありえない。怪物級の回り足、というかサイドの掛かりだ。6Rは王者の切り返しに対応しきれず4着に敗れたが、やはり道中の足には唸らせるものがあった。ストレートも上々なので文句なしのS指定。現状のSは白井、毒島とこの智加ちゃんだと思う。あ、あとストレートだけなら下條雄太郎がSランクだ。

 

 

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★4R…その下條が、昨日に続いて待機行動違反(右転舵)。今節、フライングで賞典除外×2回の待機行動違反で賞典除外という「W賞典除外」を喰った。踏んだり蹴ったりというのか、ある意味大暴れというのか……今期はF2、L1、事故点パンパンという状況に陥り、向こう1、2年に暗い影を落としそうだ。まだ28歳、焦ることなくこの“借金”をコツコツ地道に埋めてもらいたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)