BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――気迫!

 

 

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 いやはや、高橋淳美の気合の表情には圧倒された。

 1R、高橋は前付けを敢行。6号艇から2コースを奪っている。結果は惜しくも3着でも、地元での戦いに対する決意を感じさせるものだった。

 いや、もしかしたら、と思う。次点で逃したクライマックス出場。地元開催の今年は何としても、の思いだっただろうし、4月のマスターズ(名人戦)準Vで視界は大きく開けたはずだった。しかし今、高橋はシリーズを戦っている。今日からトライアルが始まる。本来なら11Rか12Rを走るつもりだったのに、高橋は1Rを走らねばならなかったのだ。それが高橋に火をつけた……などと想像してみて、なかなかしっくりくる考えだと思った。

 それくらいに高橋の表情は闘争心を感じさせたし、あっちゃんなんて気楽に呼べるようなものではなかったのだ。

 

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 向井美鈴も、実にいい表情をしていた。涼やかであり、自然であり、そのうえで気合乗りも感じさせるものであり。高橋のような迫力を感じさせるものではないけれども、伝わるものはたしかにあった。

 チャレンジカップは惜しかった。優勝してもベスト12に入れない可能性もあったが、しかし優勝戦は2号艇で、勝負駆けをきっちりと走り切った。向井といえば、第1回の出場選手である。しかし、トライアル初戦で転覆し、負傷により途中帰郷となってしまっている。これ以上ない、不完全燃焼だったのだ。向井は当然、忘れ物を取りに行くつもりだっただろう。もう一度ベスト12に残り、今度は最後まで戦い抜かなければ、あの日の無念は張らせない。そういえば、あのとき向井の代わりに繰り上がり、しかし勝ち上がり権利のなかった永井聖美は今年、“正式に”クライマックスへの出場を果たした。あの日の思いにケリをつけるチャンスを得たのだ。ならば、向井もまたそうでなければ……向井としてはやっぱり、チャレンジカップをなんとか勝ち抜き、今日の11Rか12Rに登場したかったはずだ。

 その思いがあふれての、今朝の表情……というのは、さすがに考え過ぎか。高橋のそれ以上に、深読みのし過ぎである。しかし、そう考えれば、向井のこの後のレースが楽しみになった。表情の変化にも注目したい。

 

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 2Rで池田紫乃が6コースから激勝! いやはや驚いた。畠山が「浩二のお告げ」とかいう戯言を言っていたのが初日。昨夜その夢を見ればよかったのにね、オッサン。ともかく、見事な池田の勝利であった。

 これはさすがに顔がほころぶ勝利。エンジン吊りを終えて、武藤綾子と並んで控室に戻る間、池田の嬉しそうな声がヘルメット越しに聞こえていた。それを聞く武藤も笑顔を浮かべ、池田のはしゃぎっぷりが武藤の表情から伝わってくるのだった。明日は勝負駆けデーだが、これで勢いに乗って巻き返せ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)