BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@グランプリ――ピッチ上がる

 

 

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 極撰でも書かれていたが、朝の特訓で松井繁は6コースから行っていた。マジ!? ブラフでしょ!? 回り直しも想定している!? 6コースから勝てる自信がある!? 周りでは早くもいろいろな声があがっている。笠原亮は「どう出てくるか、ですよねえ」とやはり警戒している様子で、ある選手は「2コースじゃないかな」と言い、それを聞いたある人は「じゃあ、光ちゃんは3カド!?」とテンションを上げる。いやあ、おもろい! これぞボートレース。12Rが本当に楽しみだ。

 当の松井自身は早くから調整作業にいそしみ、試運転にも出ている。昨日より早い動き出しだ。やはり切羽詰まった勝負駆けだからだろうか……と考えてしまうわけだが、松井にしてみれば、昨日1走して得た感覚をもとに調整しているだけで、いつも通りにやっている、ということになるだろう。実際、置かれた状況ほどに切羽詰まった様子はいっさい見えず、陸の上では笑顔さえ見せていたりするのだった。百戦錬磨という言葉が浮かんだ。

 

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 ペラ室を覗くと、茅原悠紀と毒島誠が向かい合ってペラを叩いていた。超絶ターンの代表選手である二人が、ペラ小屋でぐっと距離を縮めた。さしたる意味があるわけではない、とも言えるが、しかし何らかの意味を見出したくもなる光景だ。なにしろ、二人は盟友とも言える間柄である。お互いのターン、プロペラについても理解が大きい。黙々と調整している姿しか目撃できなかったが、情報交換程度のことはあってもおかしくはない。

 厳しめの勝負駆けとなっている茅原の様子は、明らかに普段より気合が入っているもの。ダービーのドリームで欠場となり、2日目からいきなり勝負駆けを強いられたときに似ている、といえばわかりやすいか。あのときは5走が残されていたが、今回は今日の1走で運命が決まる。状況はまったく違うといっていい。同じなのは立たされている場所の崖っぷち度。いや、もしかしたら今回のほうがさらに背水の陣か。早い時間帯から気合が乗っていて当然なのである。

 

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 レースのないベスト6組は、昨日よりは明らかに早めの始動だ。徐々にピッチが上がってきた、ということだろう。1Rの締切5分前くらいまでは山崎智也と篠崎元志のボートが裸だったが、締め切る前には二人ともモーターを装着。ベスト6組すべてのボートにモーターが乗っていた。明らかに昨日とは景色が違う。守田俊介は昨日同様にモーターが乗っていたが、ペラがつけられたままで、何もしていない様子。これは昨日と何も違っていない。ボートの置かれている場所が違うくらいだ。

 

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 石野貴之は、1R発売中にはすでに試運転をしている。これも昨日とは違う風景。早い時間に水面に出ていたベスト6組は石野だけで、シリーズピット記事に書いた吉田拡郎との絡みは試運転の合間にあったことだ。桐生順平も、着水はしていなかったが、装着場で着々と準備を進めていて、近いうちに水面に出るのではないかと想像された。

 

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 そういうなかで、ボートにモーターが乗っていなかったのが、辻栄蔵。単に乗せていないのではなく、本体整備に励んでいたのだ。昨日は転覆後に十分な整備の時間がなかったこともあるわけだが、ほぼ終戦を迎えたといっても、決して手を緩めたりはしないわけである。あ、そうか。終戦といってもトライアルの話で、明日からはシリーズ戦に組み込まれるのだ。戦いはまったく終わっていないのである。こうなったら一矢報いてほしいと思うのが人情というもの。まずは今日のトライアル、意地を見せてもらいたい。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)