BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル第1戦ダイジェスト&シリーズ3日目TOPICS

 

11R 謎の振り込み

 

①平高奈菜(香川)13

②遠藤エミ(滋賀)14

③三浦永理(静岡)15

④松本晶恵(群馬)17

⑤川野芽唯(福岡)16

⑥小野生奈(福岡)12

 

 

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 いったい何が起こったのか。

 トップスタートこそ大外の小野生奈だが、スロー勢ではトップスタート。まくり強襲のライバルは見当たらず、ただただ先に回るのみ。しかし平高奈菜は、たしかに真っ先にターンマークを回ったものの、その出口で思い切り振り込んでしまった。単なる失速ではなく、舳先が90度ひっくり返って真横を向いてしまう振り込み。サイドがかかりすぎたのか、それともハンドルが狂ったのか。あるいはやや焦った? ターン出口から先がわからないので断言はできないが、遠藤エミの2コース差しも、三浦永理の3コースまくり差しも、きれいな角度で入ってきている。平高が振り込む直前には、ともにふところを捉えたようにも見えた。それがあの振り込みに影響はなかったのかどうか。パワー的な部分も含めて、ややわかりにくいところだ。

 

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 パワーを言うなら、結果差し切ることとなった遠藤についても断じることはできない。三浦がハナからまくり差しを狙ったような旋回の頂点を設定したハンドルの切り方をしていることもあって、遠藤はほぼ引き波の影響を受けずに差している。もちろん差しの角度は申し分なく、そこから押していく雰囲気もある。決して悪い足ではないだろう。では、平高が振り込まなかった場合、両者の関係性がどうであったかというのは、やはり断定はできない。ただし、さすがの2コース差しではあった。これが遠藤エミの実力だ。

 

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 2着は川野芽唯。これは、まず1マークの大胆な戦法が功を奏したと言いたい。展開を言えば、三浦がまくり差して、松本晶恵が差し。ここで川野がとる戦法としては、まずは握って展開を探すということになるだろう。セオリーとしては、まくり差しが主体となるだろうか。しかし、川野は一気に外を行った。そのとき、平高が振り込んで失速。川野はそれを外から交わしているわけだ。もしまくり差し決め打ちだったなら、平高の失速の影響を受けていた可能性があった。果敢に攻めたからこそ、その先の展開が開けた。仮に平高の失速を見て外を行ったのだとしても、その判断は冷静だ。果敢であれ冷静であれ、これは明日以降の戦いにもつながる。

 バック2番手を走った三浦は、2マークで内から伸びてきた松本を交わした分だけ、大回りになり、そこを川野に差されている。先行する遠藤の引き波をなぞってもいて、足負けと言えるかどうかは微妙なところだ。1マークのまくり差しは、結果届かずとはいえさすがのテクニカルエリーと思わせただけに、同じ3号艇となった第2戦にも注目したい。

 

12R 謎の不発

 

①寺田千恵(岡山) 12

②大瀧明日香(愛知)11

③山川美由紀(香川)13

④滝川真由子(長崎)17

⑤鎌倉涼(大阪)  09

⑥日高逸子(福岡) 07

 

 

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 これはピットの話だが、乗艇合図がかかった直後、追い風が強くなっている旨のアナウンスがかかっている。大瀧明日香もレース後、それについて触れていて、スタートも様子を見ながらの部分もあったようだ。

 それが影響したのだろうか。寺田千恵と大瀧が恐れた山川美由紀が、スリット後に評判の足をまったく見せることができなかった。スタートを全速で行けなかったか。それともピストンリング3本の交換が裏目に出たか。いずれにしても、すぐ隣の大瀧を超えることもできず、1マークでは大瀧の差しを待つようなかたちでツケマイを放っている。これでは山川の持ち味は発揮されない。3号艇はずるりと滑るように横に流れ、勝ち筋を失っている。

 

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 それにしても、大瀧の差しは見事だった。寺田の逃げは、ターンマークを外していないし、やや流れたきらいはあるけれども致命的とは思えなかった。だというのに、大瀧の差しは見事に寺田のふところを捉えた。山川が伸びずにまくるタイミングが遅れた分だけ、引き波の影響も受けていないが、大瀧自身、しっかり差しシロを確保しての差しだから、とにかくお見事。バックでも寺田よりやや強めにも見えていたので、明日以降も楽しみがある。

 ただ、2マークで内から来た鎌倉涼に気をとられたか、やや大回りになったうえに、出口でキャビったのが痛かった。その間隙を寺田がズバリと突く。鎌倉が内から来ているのを確認し、2マークでの展開を予測したうえで、ハナから差し一本に絞ってのハンドル。その判断力が卓越していたというべきだろう。初動の動作を見ると、もし大瀧の艇が跳ねていなくても届いていたのではないかと思える。もちろん足の裏付けもあってのことだろうが、お見事であった。

 

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 で、判断に悩むのが、日高逸子だ。あれだけ泣いていた前検日、部品交換もして臨んだ初戦だが、いったんは3番手を走っているのだ。1マークは、まくり差しに行った鎌倉のさらに上を行くという戦略。山川の外に併走するかたちとなり、2マークで鎌倉が流れ、山川がキャビり気味だったとはいえ、まくり差すようなかたちで3番手に浮上しているのだ。1マーク、2マークの引き波の超え方を見る限り、上積みはあると思われる。ただし、最後の最後で鎌倉に逆転を許して4着に落ちているのも気になるのだ。あるいは、鎌倉の足がかなりいいのか。4番手争いとなった山川を振り切り、渾身差しで日高を捉えた足は、実際に軽快に見えたが……。

 

 とまあ、機力判断的にはなんともあやふやな感じだが、体感的には大きな差がないのではないかと思っている。あえて言うなら、大瀧、鎌倉がかなり気になる。また、山川については明日も同じ3号艇だけに、引き続きチェックが必要だろう。

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 さて、シリーズ。いやはや、今日もインが強かった。シリーズ10戦中6勝。6Rも、フライングとなったが、渡辺千草は先マイして先頭を走った。実質7勝である。トライアルも含めて、1日8勝。これが福岡の女子レース!? 住之江のSGと見紛う結果である。

 1Rと2Rが象徴的だろうか。

1R 渡邉優美 ⑤⑤④

2R 倉田郁美 ⑤⑥⑥

 1号艇の2日目までの着順である。ここまで這った二人が、しっかりと逃げ切っているのだ。あ、8Rの香川素子も⑥⑤⑥、さらに今日の前半で④。メンバーのなかでは力量上位とはいえ、機力劣勢に苦しんでいたとは思えない完勝であった。

 

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 そうしたなかで、いきなり超弩級の波乱が起こるのだから、ビックリ仰天である。10Rだ。1号艇・宇野弥生、2号艇・長嶋万記。内寄りが強い流れからいって、こりゃ両者の一騎打ちで鉄板でしょ!? 完全にそう決めつけていたら、その二人がスタートで後手を踏むわけである。3コース武藤綾子がまくっていく展開なのは、まあそういうことだが、さらに大外から樋口由加里が一気にまくってしまうのだから強烈だ。決まり手こそ、2マークで武藤が先マイしているために「抜き」となっているが、これはまくり一撃快勝と称賛していいだろう。

 今節はとにかくインが強い! 福岡&女子戦のイメージとの誤差を含めて、インから狙うのが美味しい! などと安閑としていたら、突如6号艇が勝って141030円の大穴が出る。いやはや、ボートレースは面白いっすね。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)