BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――試運転! 整備!

 

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 初日の終盤の時間帯は大荒れの天候だったので、レースを終えたあとの試運転に出ている選手は皆無だった。その分も走らんかのごとく、今日は遅くまで試運転に励む選手が何人も見られた。たとえば、優勝候補の一角である深谷知博。初戦6着をその後の2走でじわじわと巻き返しつつはあるが、さらなる上積みは当然ほしいところ。好モーターを引いたものの、まだ結果らしい結果を出していない渡邉俊介も、予選後半を乗り切るための調整と試運転に余念がない様子だった。

 

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 島村隆幸は、10R発売中にボートを着水させている。7Rを走り、その後調整を施して、もう陽が傾き始めているというのに、水面へと飛び出ていったのだ。結果、いちばん最後まで試運転をしていた選手が島村となった。その意気や良し、だ。

 その島村をずっと見つめていたのが、同支部の先輩である菅章哉。水面際でひとりたたずむような姿があった。その間に試運転を切り上げて陸に戻ってきた選手のエンジン吊りを手伝ったりしていたため、水面から目を離す場面もたくさんあったが、島村が試運転を終えるまで、付き合い続けた。

 

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「どないでっか?」

「たいした足じゃないっすわ~」

 ボートリフトに乗り込んだ島村を菅が見下ろすかたちで会話を交わす。菅にとっても島村にとっても、お互いの存在は心強いだろう。

 

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 終盤の時間帯の整備室にも、多くの選手の姿があった。たとえば、ドリーム発進の西村拓也。今日は大きく離された5着と2着で、上位のはずの力量を存分に発揮できていない。パワーアップの必要性を感じたのだろう、レース後に本体をバラし始めていた。整備をしている西村の周りには、上條暢嵩をはじめとする近畿地区の若手が集まってきて、西村の整備を見つめていた。先輩の整備を見て勉強、という意味があるのかどうか、よくわからなかったが、それぞれが柔らかな表情で会話なども交わしていた。

 

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 整備室の奥のほうには塩田北斗の顔もあった。塩田は昨日の終盤の時間帯に本体を割り、整備をしていた。今日は1Rに登場して、リング4本の交換が発表されている。逃げ切った後には、試運転のプレートをボートに装着。すぐに下ろすのではなく、リードバルブを外して整備室へと入っていった。勝利をあげても飽くことなく整備に励んだのだ。そして終盤の時間帯でも、整備室にとどまった。奥のほうはギアケース調整用のテーブルがあるので、大方そのあたりの調整か。とことんパワーアップをはかる姿は実に頼もしい。もともと数字はあるモーターだ。どこまで引き上げてくるのか、楽しみだ。

 

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 11R、ペラ室脇で観戦していたら、ペラ調整をしていた中嶋健一郎と渡邉優美が出てきた。中嶋は「平田さん、がんばれ~」とつぶやきながら、対岸のビジョンを見つめる。レースは4カドの桐生が内を叩きにいくも出切れず、桐生の外に展開が生まれた。ここで中嶋が興奮!「平田さん、アタマやろ! よしっ、よしっ、ほら!」。中嶋の声に押されるように、バックでは最内から先に差した桐生に並びかけている。残念ながら、2マークで桐生の差し返しを喰らって平田は2着となってしまったが、6コースを上位着順で乗り切れたことに、中嶋は満足そうだ。ジマケン、君も頑張れ! と言いたいところだが、敬愛する先輩の快走に刺激を受けた部分もあるはずだ。

 

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 で、ジマケンと渡邉は105期の同期生なわけだが、今節は8人の女子が参戦しており、女子同士の絡みを非常によく見かける。10Rで3番手走ったのに3周1マークでキャビって後退した今井美亜を慰める平高奈菜、みたいな。樋口由加里と遠藤エミは同期生だから、当然よく絡んでいる。で、せっかく現場に強い男子がいるのだから、もっともっと絡んでいってもいいんじゃないかな、と老婆心ながら思った次第なのだ。平高と青木玄太とか、小野生奈と黒井達矢とか、そしてこのジマケンと渡邉とか、同期生の絡みは女子同士の絡みと同じくらい見かける。それはそれでいいのだが、たとえば岡崎恭裕とか桐生順平とか(平高は同期だ)西山貴浩とか篠崎仁志とか、そのへんに積極的に絡むのもいいんじゃない?なんて思ったのである。まあ、大きな大きなお世話ですけど。横西奏恵さんは、SGで女子単身参戦も多かったこともあるだろうけど、男子とよく絡んでいたなあと思い出したりして(それこそ、山崎智也先輩ともよく絡んでました)。

 レースにしても、今日の12Rのようなレースよりも、今井美亜が男子相手にガンガン握っていった6Rや10Rのようなシーンが見たい。それが女子選手を本当に強くし、SGでも真の意味で通用する女子選手を育て、ボートレースを盛り上げていくのではないだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)