BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――気候一変

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 気候一変、雨が降りしきる3日目。湿度が上がって気圧も下がれば気配も変わりうる、ということで、雨にへこたれることなく選手たちは調整と試運転に励むわけである。試運転に出ている選手の数も、昨日とたいして変わりはない。雨に濡れるのが鬱陶しいから水面に出ない、などという発想は選手にはない。よほどの豪雨なら別だけれども。
 今垣光太郎も試運転に励む。1R展示が始まる直前にいったんボートを陸にあげ、まずはおもむろにボートを磨き始めた。その日のレースが終わればボートを磨くのが今垣のルーティン。水滴を丁寧に拭き取るわけで、ということは雨中の試運転の後もやることは当然変わらないわけである。レース後と違って、モーターの水滴も拭き取っており、つまりはレース後よりも長い時間、相棒をいたわっていたわけである。

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 仲谷颯仁は試運転のかたわら、モーター架台をボートリフト付近に準備する新兵仕事も。係留所からリフトに直接向かうには、屋根のない場所を通らなければならないのだが、仲谷はそこでも濡れることなど厭わずに、最短距離を走る。架台置き場の近くには僕や池上カメラマンがいて、今日はこれがこちらとの初顔合わせだったので、深々と頭を下げての挨拶も欠かさない仲谷。気持ちいい若者ですな!

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 仲谷が通った雨が当たる場所では、山口剛も雨がどうしたというような風情で、堂々と歩いていた。山口のボートが着けられていた係留所に行くにも、どうしてもその場所を通らなければならないのだ。どうせ水面に出れば濡れるんだから、ほんの数秒、雨に降られるのはどうってことないんですかね。僕なら肩をすくめて走ってしまいそうだけれども。

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 試運転をしている選手が少なからずいるということは、プロペラ調整室の出入りも激しいということである。やはり気候に合わせた調整をする選手が多いということだ。湯川浩司はペラ室を出ると、出入口の脇にある白い箱のようなものにプロペラを入れた。よく「プロペラに焼きを入れる」というコメントを聞きませんか? 焼きを入れるというのは、この白い箱に入れることなのだ。つまりこの箱の中は高温になっているのである。小型冷蔵庫のようにも見えるが、内部の温度は正反対。だから、プロペラをペンチのようなもので挟み掴んで、出し入れする。この箱の下には水の入ったバケツが置かれていて、焼きを入れ終えるとペラを水につけて冷やします。ピットが静かなときだと、ジューという音が聞こえてきたりします。焼きを入れることで、レース中にペラが開くのを防止しようというわけですね。

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 湯川の動きを見ていたら、整備室付近で動きがあった。池田浩二がボートごと整備室に持ち込んでいたのだ。室内では整備士さんがボートを置く場所を指さして導いている。本体整備だろうか……今、直前情報を確認しました。キャリアボデー交換ですね。整備室が空いているときには、ボートごと運び込んで整備することは珍しくない。あと福岡とか整備室が広い場とか。ひとまず、今節は初めて見かけたわけだが、昨日までは整備室で作業する選手がそれだけいたということである。

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 さて、1Rで平高奈菜が差し切り1着! 昨日までのゴンロク街道から一気に脱け出した。ピットに戻るとさすがに笑顔があふれ、興津藍との会話では笑い声まで聞こえてきた。これは気持ちのいい1着だっただろう。

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 着替えを終えて勝利者インタビューに向かう途上では、桐生順平にバンザイ! 桐生も同期生の勝利を目を細めて称えていた。やはりナナスマイルは気持ちいいですな! 予選突破は厳しくても、明日からさらに笑顔を振りまいてください!(黒須田)