THE勝負駆け①予選トップ争い
瓜・池・松の底力
すでに中間報告でも簡潔に触れたが、今日の予選トップ争いは「直接対決なき三つ巴戦」となった。その経緯はこうだ。
★4R…前日までトップの池田浩二が6号艇で貴重な2着をゲット。ただ、これで自力の権利が瓜生正義(ピンピン連勝で確定)に移った。
★5R…すかさず瓜生が2コースから差し抜けて第一関門突破。後半10Rで①着なら、その時点でトップが確定することになった。また、前日4位の坪井康晴が3着に敗れてトップの可能性消滅。
★6R…前日5位の笠原が3着に敗れてトップの可能性消滅。この時点で、トップの可能性は瓜生・池田・松井の3人に絞られた。
★8R…5号艇の松井が2コースからまくって差されて2着。トップの可能性は残したが、「10Rの瓜生が⑥着&11Rの池田が⑤着以下」という狭き門になった。ただし、この2着で「準優1号艇」が確定。これはでかい。目下賞金ランク9位で、6位の篠崎元志とは450万ほど離れている。ここで優出を決めれば、一気に6位以内が見えてくる。もちろん優勝すれば賞金トップ1位まで視野に入る松井だが、とりあえず準優1号艇からの優出というシナリオが最優先だろう。
★10R…瓜生が4号艇から差して届かず3着。松井に続いて「準優1号艇」を決めたものの、自力トップの権利は池田の手に移された。
★11R…「4号艇で②着以上ならトップ」という池田だったが、決めきれなかった。1マークで展開がなく4着止まりで予選2位が確定した。
以上、予選を終えてみたらば瓜池松のスリートップ。パワー評価としては初日からそれぞれ「中堅~中堅上位あたり」だと思うのだが、その機力で3人合わせて「18戦連続3連対」は驚愕に値する。心から「さすが」と言わせてもらおう。
で、賞金ランクに注目すると松井が9位、池田が11位、瓜生が12位……こちらもなかなかの接戦で、明日からの2日間の結果次第ではGPトップ6に大きな変動をもたらすだろう。3人ともに1着(ファイナル1~3号艇)だったりしたら、ちょいと気が早いがそのあたりの計算もこっそりしてみようかな。
THE勝負駆け②準優ボーダー争い
リメンバー2006.10.28!
大波乱は、最終レースに待ち受けていた。石野貴之と岡崎恭裕、激痛のフライング!! 2マークの手前、私の頭の中は真っ白になった。岡崎の凄まじいまくり差しで、超久々に『穴・極撰』が的中したかと思いきや、先頭の岡崎がスーーッと幽霊のようにピットへと帰って行った。そして、石野も。私のショボい舟券なんぞより、このふたりの方が真っ白になったことだろう。なぜ、あんなスリットになってしまったのか。5号艇で④着条件だった岡崎のコンマ01ちょこっとハミ出しは、まあわからないでもない。が、石野は「無事故完走で準優OK、たとえ1着でも準優1号艇とは無縁」という身の上だった。突風が吹いたようにも見えなかった。それでコンマ04の大フライング。起こしのあたりで、誤算や勘違いがあったのか。実になんとも勿体ない勇み足だった。
うん、過ぎたことをあれこれ言及するのはよそう。大事なのは、このアクシデントによって勝負駆け状況に何が起こったか、だ。石野と岡崎が圏内から去って、それまで予選成績19位だった鎌田義と同20位の魚谷智之が、繰り上がるような感じで予選を突破した。起死回生の準優入り。これはでかい。まず、カマギーはたとえチャレンジカップ圏内に食い込んでも、F休みで出場できない。つまり、このダービーが暮れのGPへの事実上のラストチャンスだった。そのチャンスが次点というもっとく悔しい形で消失したと思った矢先の逆転突破。この流れは怖いし、パワー的にも優出して不思議のない出足、回り足を秘めている。
で、この予選突破の価値がさらに凄まじく高いのが魚谷だろう。初日から5432ときて、今日は3R6号艇のメイチ1着勝負。かなりハードルの高い勝負駆けだったが、それを見事に決めた。しかも、道中でマックス5艇身先にいた篠崎元志を大逆転で競り落としたのだ。この時点で6・00。無事に予選を突破したら、このサプライズ1着を大きく取り上げようと決めていた。
だが、それからレースが終わるごとにボーダーがじわじわと上り、11R終了後には20位という絶望的な位置までダウンしてしまった。正直、私は「準優入りは無理」と思った。
「54321っていう凄い勢いがあったのに。昨日今日と、あんなに素晴らしいレースを見せたのに。今日の気配を見る限り、準優でもトップ級のパワーなのに……明日からの敗者戦でアタマから狙い撃つしかないな」
などと考えていた。それが、まさかまさかの逆転突破。うん、こうなってしまえば、明日の6号艇はマジで怖すぎるぞ。昨日現在、魚谷の賞金ランクは19位!!!! チャレンジカップは当確の身の上だが、このダービーでケリを付けるチャンスをゲットしたのだ。まあ、GP以前に10年ぶりのダービー制覇も夢ではないな。
「確か、10年前の福岡ダービーの準優も、魚ちゃんは6号艇だったと思います」
病的に記憶力のいい黒須田の呟きを聞いて、調べてみたらば確かにその通りだった。同じレース場の同じSGタイトル準優の同じ緑色のカポック。日にちだけは1日ずれていたが(10月28日)、単なる偶然では片づけられない因縁を感じてしまう。今年のリズムは好調、足は抜群、尻上がりの54321でミラクル予選突破。その成績は、10年前の再現へのカウントダウンなのではないか?? 頭が真っ白になった12Rから30分くらいして、やっとそんなことを思った。(photos/シギー中尾、text/畠山)