BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡ダービー優勝戦 私的回顧

次は賞金王ぜっ!!

 

12R優勝戦

①瓜生正義(福岡)10

②池田浩二(愛知)12

③白井英治(山口)14

④松井 繁(大阪)16

⑤芝田浩治(兵庫)17

⑥坪井康晴(静岡)20

 

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 瓜生、SG通算8冠&3度目のダービー制覇、おめでとう!

 第63回ダービーは1マークでほぼ勝者が決まった。いや、スタートラインというべきか。瓜生がコンマ10の全速、そこから舳先が少しずつ下がっての緩やかな斜め一線。瓜生以外の仕掛けが遅くなり、3コースの白井が握ったときにはもうその射程圏から抜け出していた。節間成績は2112131①。まるで目立った特徴のない機力での8戦5勝オール3連対はあっぱれと言うしかない。

 

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 レース後、ウイニングランを待つ人々の顔はほっこりしているように見えた。穏やかな微笑みをたたえて地元の謙虚なヒーローを待っていた。瓜生の人柄が、じんわり反映されていた。ただ、ピットから表彰式へと向かう花道で、40歳くらいの男性が瓜生に向かって強い口調でこう叫んだ。

「瓜生、次は賞金王ぜっ! 賞金王ぜっ!!」

 その顔に笑みはなく、真剣なまなざしで瓜生に訴えかけていた。そう、ここは福岡。瓜生ファンのみならず、地元のボートファンはすでに次なる大目標に思いを馳せている。2002年に福岡の絶対エース植木通彦が賞金王決定戦を制してから14年。その4年3カ月後に植木が引退し、「次は瓜生だ」は長きに渡る地元ファンの合言葉だった。が、瓜生はその頂点に立つことなく歳月が流れ、福岡支部からは岡崎恭裕や篠崎元志などの若きスターが生まれた。

 賞金王ぜっ!!

 この言葉の響きには、その男性の瓜生に対するさまざまな思いが込められているような気がした。そしてそれは、多くの福岡のファンに共通した思いでもあるだろう。

 今日の優勝で、瓜生の獲得賞金は昨日の12位から一気にトップまで浮上した。

「いや、それは別に考えてないです」

 瓜生はさらりとその感想を受け流したが、福岡のファンの気持ちはしっかりと汲んでもらいたい。

 

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 で、暮れのGPに関してもっと触れるなら、敗れた5人にも小さくはない影響を与えた。2着の白井英治は昨日の20位から12位にランクアップ。大村チャレカのF休みが決まっていた(20位のままではほぼアウト)だけに、この2着=GP当確はでかい。3着の松井は9位から5位に。大きなアドバンテージがあるTOP6が見えてきた。

 逆に惜しかったのが5着の芝田で、4着だったら大村チャレカへの当確ランプが点っていた。道中で4番手をキープしただけに残念な5着ではあった。

 

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 瓜生に戻ろう。

「1号艇の瓜生を蹴飛ばして、大穴を召し取る」

 これが、8年ほど前から何年も継続してきた私のミッションだった。このブログの前身SPORTS@NIFTYやボートボーイ誌で、何回何十回この見果てぬ夢を書き記したことか。憎たらしいほど強く、圧倒的な人気を誇る瓜生に対して、戦車に竹槍の気概で勝手に戦い続けてきた。このミッションを完遂させたことは、ただの一度もなかったけど(苦笑)。

 

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 そして今日、私はごく自然に1号艇の瓜生に◎を打った。私が老いて丸くなったというのもあるだろうが、それより「私が瓜生を絶対的な強者と認めなくなった」ということなのだろう。レースはほぼ脳内レース通りの展開で、瓜生は非の打ちどころのない勝ちっぷりだったが、「まだまだ、これだけでは物足りないぞ、瓜生」みたいな妙に歪んだ感覚も抱いた。

 瓜生よ、次は賞金王ぜっ!!

 うん、あえて私もこの言葉を引用させてもらう。3年ぶりのダービー制覇を弾みにして、暮れのGPでは憎たらしいほど強い瓜生正義を見せてくれ。強い強いレースっぷりでファイナル1号艇をゲットしてくれ。そのとき私は、オケラを覚悟しながら嬉々として無印に蹴飛ばすだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)