BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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GPシリーズ 準優ダイジェスト

嗚呼、田村!

 

8R 並び順

①茅原悠紀(岡山)09

②齊藤 仁(東京)10

③魚谷智之(兵庫)10

⑤田村隆信(徳島)+01

⑥久田敏之(群馬)07

④石渡鉄兵(東京)04

 

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 1Rから続いた「イン逃げ7連発」の流れは、意外な形で閉ざされた。田村のフライング。今日の田村は、直前のスタート特訓からストレートが強力に見えた。今日の仕上がりがいちばん良かったに違いない。その急上昇したパワーが、スタート勘を狂わせたか。「田村のスタートは慎重になるはず」などと予想欄に記した私の言葉を嘲笑うように、田村は突っ込んだ。突っ込みすぎるほど……。

 この4カドから突出しすぎたスタートは、レースを大波乱に導いた。Fとは知らぬ田村がまくりきってインの茅原がぶっ飛び、2コースから差した齊藤が抜け出し、最アウトの石渡が追随。先頭を走っていた田村がコースから外れて、2-4態勢が固まった。あっと驚く東京ワンツーだ。

 

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 1着・齊藤、2着・石渡。

 1周2マークから縦長になったので、ふたりのパワー云々はあまりよくわからない。ただ、あの1マークの混戦からスッと抜け出し、バック直線の最内からぐいぐい伸びる齊藤7号機はやはり迫力満点に思えた。明日の2号艇でも、この実戦足はかなり怖いとお伝えしておく。今日の石渡はピストン2個、リング4本、シリンダーケースと大整備を施したが、昨日までよりストレートが強力になったかも?という印象を抱いた。大手術が成功するのは稀なのだが……明日も人気の盲点になりそうなので、しっかりと特訓などをチェックして取捨を決めたいと思う。

 

もうひと逃げ、だけど……??

 

9R 並び順

①今垣光太郎(福井)08

②丸岡正典(大阪) 17

③吉田俊彦(兵庫) 08

⑥赤岩善生(愛知) 11

⑤上平真二(広島) 15

④寺田 祥(山口) 06

 

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 赤岩が動いたことで進入がもつれ、12365/4の変則隊形に。今垣が1号艇のときは、ピットアウトから何かしらが起きやすい。今日は単騎がましの寺田が、気合のスタートからドカ―――ンと攻め立てた。あっという間に2コースの丸岡まで呑み込んだ寺ショーだったが……もうその先に今垣はいなかった。

 いや、いるにはいるのだが、もう1マークを先取りしていた。まくられた4艇より、軽く2艇身は抜きんでていた。つまり、出足~行き足が他艇とは桁違いだった。うん、これが58号機の本来のパワーだ(満悦)。前検ではよくわからず、予選道中は「光ちゃんらしく出足に特化したな」という印象を抱いていたが、今日は出足だけでなく行き足~伸びまで抜群だった。どんぐりパワーのシリーズでは「怪物級」と言いたいほど、今日の58号機はゴキゲンだった(勝ち時計は平凡だったが、それだけが不安要素だ)。

 寺田のアウトまくりを未然に回避した今垣がバック抜け出し、丸岡までまくりきった寺田が上平との接戦に競り勝ち準優に駒を進めた。

 

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 1着・今垣、2着・寺田。

 予選トップの今垣にとって、この1着はそのまま優勝戦の1号艇を意味する。もうひとつ逃げきれば9個目のSGタイトルに手が届く。今日のパワーを見る限り、その可能性はかなり高いと思われる。ただ、何度も書いてきたが「1号艇の光ちゃん」である。ピットアウト、進入争いから何かが起きても不思議じゃないのである。明日の11Rも「すんなり進入~すんなりイン逃げにならないかも?」と心のどこかで疑っておきたい。そうインコースかどうか、さえ確信できないのだから。

 寺田の足は58号機よりかなり劣勢だと思っているのだが、今節の寺ショーはいつもにも増してファイターだと感じている。自力で攻める姿勢はシリーズ組では屈指の存在だ。で「明日もアウトがましで勝負か」などと決めつけたら、大やけどを負うかもしれないぞ。ボートレースの勝ち負けはスリット以降だけでは決まらない。意表の3カドなどもある寺田が、本番だけ動いてインを取りきっても驚かない準備はしておきたい。

 

奇襲のエキスパート

 

10R 進入順

①白井英治(山口)10

②原田幸哉(愛知)08

③重成一人(香川)15

④秋山直之(群馬)21

⑥湯川浩司(大阪)24

⑤新田雄史(三重)30

 

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 これまた6号艇の湯川が動いて進入は12346/5。新田だけが艇を引いて、5対1の単騎がましになった。準優はすべて非枠なり。賞典レースの待機行動が激しくなるのは当然として、ならば選手たちにはその手前の予選段階から勝負駆けの気合と駆け引きを見せてほしい。余談だが、そんなことを思ったな。

 こちらのアウト単騎・新田はスタートで遅れ、完全に後手を踏んだ。内寄りでは白井と原田がしっかり踏み込み、早々に1=2決着かと思われた。が、そのすぐ外に埋伏の兵が隠れていた。原田より半艇身遅れ、見えないところからの3コースまくり差し。そう、3・5コースで思いきった攻めを見せる重成には、これがあった。あっという間に原田を引き波に呑みこみ、白井の内を突き抜けていた。この3コースまくり差しや5コースまくり差し、ハマッたときの切れ味は艇界屈指といえるだろう。そのまま重成がバック突き抜け、差された白井がしっかり追走して3-1態勢が固まった。

 

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 1着・重成、2着・白井。

 いつもそうなのだが、重成のパワー評価は苦戦を強いられている。正味のパワーより乗り心地を大事にしているのか、どん部分の足もあまり目立たないことが多い。今節もよくわからないまま優出まで来てしまったわけで、ぼんやり「中堅から中堅上位」と考えている。うーーん、明日も「こうだ」と断定する自信はまったくないです。

 白井の足はバランス型の中堅上位レベルだと思う。シリーズ戦では十分に戦えるが、突き抜けるような迫力には乏しい。イン戦で2度やられているのも不安材料で、少なくとも今垣58号機よりかなり弱いだろう。明日は4カドあたりからどう攻めたてるか。現状「スタートで突き抜けて一撃まくり」という想定しかVの可能性は見当たらない気がするのだが……。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)