予選１位の椎名豊の動き出しが早い。１Ｒ前からプロペラ室に入り、２Ｒ発売中には着水して試運転。ここからは緊張感の戦いとなるわけだが、地に足をつけて調整等を進めている印象だ。村上遼と座り込んで会話をしている姿を目撃したが、笑顔に硬さは見られなかった。
やはり準優１号艇の毒島誠は、１Ｒ前からボートを着水しているが、これはまあいつものことだ。賞典レースの日でも早い時間帯には係留所でボートを見ることが圧倒的に多く、つまり今日もペラ室にこもって懸命に向き合っているというわけである。
１号艇では、瓜生正義がボートを陸にあげたままで、特に調整を始めている様子は見られなかった。エンジン吊りには出てきて、後輩たちともろもろ会話を交わしているわけだが、当たり前のように落ち着いた振る舞いである。
瓜生のようにゆったりとした動き出しであることが多い白井英治は、なんと１Ｒ前からボートを着水しているのだった。コメントには一から調整をやり直すとあり、その通りにペラ調整に精を出しているようだ。白井が叩いているのは整備室内のプロペラ調整所。エンジン吊りには整備室からあらわれ、作業を終えると足早に整備室へと吸い込まれていく。早くから調整のピッチを上げていると見える。
６号艇では、菊地孝平がギアケース調整。整備室の奥のほうで、淡々と作業を行なっていた。一方、磯部誠は２Ｒ発売中までボートは陸にあり、その後に着水の準備を始めている。マイペースの調整と見える。
気になったのは徳増秀樹。１Ｒ展示前に本体整備を行なっていたのだ。１Ｒ発売中になって整備を終えて装着。そのまま水面に降りている。そして２Ｒ発売中。試運転からいったんあがってきた徳増はモーターを外して、ふたたび整備室へと戻っていった。そしてまた本体整備。最初の整備では足色に変化がなかった（または悪いほうにあった）と見えて、整備をやり直したということだろう。２Ｒ締め切り前にはふたたび装着していたが、その後の試運転での感触次第ではまた整備かも!?
もうひとつ気になったのは、篠崎仁志の仕上がりがかなり良さそうなこと。石野貴之と足合わせを行なったようで、ボートを陸に上げてから石野のもとに駆け寄ったのだが、そのとき石野が笑顔で中指を立ててみせたのだ。これはつまり「仁志、俺より気配がいいじゃないか」ということのはずで、どうやら石野よりも仁志のほうが伸び優勢だったようだ。石野もかなり噴いていると見えるのだが、仁志はそれを上回っているということか。それからの仁志はペラ調整を始めているが、さらに上積みができたとしたら、準優はかなりの脅威になりそう。
かように準優組は総じて動き出しが早く、序盤の時間帯に水面で見たのはほかに辻栄蔵、片岡雅裕（以上10Ｒ）、太田和美、稲田浩二、大上卓人（以上11Ｒ）、桐生順平、今垣光太郎（以上12Ｒ）。半数以上が序盤に試運転を行なっていたというわけだ。
それ以外にしても、平山智加も３Ｒ発売中には着水して、試運転をしている。着水の準備をしようとボートに向かっている平山とすれ違ったのだが、挨拶を向けてくる笑顔が実に爽快。ＳＧの準優は14年メモリアル以来とあって、緊張感もあるはずだが、その雰囲気は上々。女子５人目のＳＧ優出も十分あると見たぞ。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
