悲喜こもごも、と書いてしまうといかにも軽くなってしまって陳腐に映るが、勝負駆けはやはり悲喜こもごもが渦巻くのである。勝負駆けを成功させた者、失敗した者、成功させたけど結果に満足いかない者、さまざまな感情がそこに立ち上る。外野の見物者としては、そこに４日目ピットの醍醐味がある。
●日高逸子 12Ｒはお見事と言うしかない。老獪とも言えるし、女子きっての勝負師とも言える。レース後は淡々としたものだが、それも含めて凄味を感じざるをえない。で、カメラマンに囲まれるとお茶目に笑ってみせるあたりも、この人らしいのだ。
●山川美由紀 10Ｒはイン戦を活かすことができず、やはりレース後の表情は冴えなかった。それでも予選突破、というのはもちろん救いではあろうが、１号艇をものにできなかったのは悔しいという思いしかなかろう。
●垣内清美 11Ｒ大敗で勝負駆けは失敗。特に表情は変わらなかったが、悔しさのやり過ごし方を知っている百戦錬磨である。
●高橋淳美 １便でお帰りでした。勝負駆けは実らなかったが、昨日の素敵な勝利はキラリと光る。
●谷川里江 １便でお帰りでした。明日も淡々と頑張り抜くだろう。
●角ひとみ 10Ｒ４着で勝負駆けならず。控室に戻る際にはどうしても視線が下を向いてしまう。その後は、あと２日に備えてペラ調整に入った。
●寺田千恵 １号艇４着はやはり不本意。納得のいかない表情で報道陣の問いに応えていた。悔しさと、敗れた原因を求めようとするのとが入り混じった顔つきだった。準優は６号艇。戦略やいかに。
●新田芳美 プロペラ調整。12Ｒ発売中まで続けていた。
●倉田郁美 プロペラ調整。倉田も新田と同様、12Ｒまでの作業。
●中里優子 プロペラ調整。このあたりの世代は、レディチャンに来るとベテランの域で、１便帰りが自然なような気がするわけだが、彼女たちは毎日最後までペラ調整に励んでいるのだ。
●水口由紀 １便でお帰りでした。それまではペラ調整。
●岩崎芳美 プロペラ調整。岩崎と並んでの調整作業で、装着場でも一緒にいる場面が目立つのだった。
●海野ゆかり 勝負駆けの12Ｒは無念のエンスト失格。ケガはなく、カポックを脱ぐとすぐにボートリフトに駆けていって、エンジン吊りに加わった。表情はカタかった。
●淺田千亜希 １便でお帰りでした。チャンピ―スマイルでピットを後に。
●岸恵子 １便でお帰りでした。それまではペラ調整をしているのを見かけている。
●五反田忍 ６コースから３着でオール３連対で予選を突破。素晴らしい活躍と言うべきだ。レース後は特に表情を変えず、着替えて装着場に姿をあらわしても淡々としたもの。こうなると、優出もしくは優勝でどんな歓喜を見せてくれるのか、おおいに見たくなってきたぞ。
●森岡真希 静かな雰囲気だが、作業時の表情はとにかく真剣。
●中谷朋子 12Ｒは２着で勝負駆け成功も、事故レースとなっただけに、喜びの表情は見られなかった。対岸のビジョンでリプレイが流れると、立ち止まり事故のシーンまでを鋭い視線でチェックしていた。
●池田明美 １便でお帰りでした。毎日忙しく動き回っている池田姉妹。ゆっくり休んでください！
●香川素子 プロペラ調整を続けていた。表情は淡々。
●池田浩美 １便でお帰りでした。８Ｒでついに１着！ レース後は報道陣に問いかけられて、ホッとした笑顔を見せていた。よかった！
●大瀧明日香 11Ｒの勝負駆け失敗。さすがに脱力したような雰囲気だった。それほど厳しい条件ではなかっただけに、落胆が大きくて当然だ。
●堀之内紀代子 １便では帰っていないのだが、終盤のピットでは姿を見つけられなかった。エンジン吊りにはいたはずなのに。すみません。
●佐々木裕美 12Ｒは４着も、事故レースで仕方ないところ。予選突破は当確状態であったが、事故があったことと自身の敗れたことが重なってか、顔を歪ませていた。
●田口節子 ８Ｒ２着で、その時点で予選上位での準優進出が確定的に。それを認識していたかどうかは不明。ただ、非常に落ち着いた雰囲気ではあった。
●廣中智紗衣 １便でお帰りでした。今日の午後のピットは節イチ級の暑さだった。宿舎でしっかりと涼んでください！
●細川裕子 ２Ｒ逃げ切り後はたっぷり時間もあり、マイペースで過ごしていた様子。予選３位。チャンスだ！
●宇野弥生 10Ｒ発売中まで試運転。そう、前半のフライングで気持ちを切らしてなどいないのだ！ 明日から外枠になるだろうが、その思いに声援を送りたい。
●長嶋万記 ７Ｒは見事な５カドまくりで予選突破。10Ｒ発売中頃に親指を立てて見せたら、満面の笑みが帰ってきた。安堵の思いも大きいようだ。準優は３号艇。渾身のレースを！
●三浦永理 まさかの連続大敗で予選落ち。やるせない表情が見えた瞬間もあった。
●西村歩 １便でお帰りでした。明日も変わらず奮闘を見せるはず。
●平田さやか １便でお帰りでした。お疲れ様でした！
●落合直子 プロペラ調整は続く。あと２日、なんとか笑顔が見られる走りを！
●藤崎小百合 10Ｒ２着もボーダーには届かず。会心とはいかないまでも、それなりに納得できるレースにはなったか。笑顔で遠藤エミと健闘を称え合っていた。
●西村美智子 プロペラ調整。不断の努力で残り２日に向かう。
●原田佑実 整備室から出てくるのを見かけた。ただし手にはプロペラ。明日の直前情報をチェックしよう。
●松本晶恵 １便でお帰りでした。今日は早めに集合場所にやってきて、落ち着いて帰宿。
●川野芽唯 11Ｒ発売中に、得点状況を尋ねてきた。まずは小野生奈は予選トップになれそうか。まさに11Ｒが小野vs五反田の直接対決、と説明する。続いて自分の順位。予選突破は決めたが、準優は何号艇になりそうか、というわけだ。二人で資料を見ながらあれこれ考えて、４か５だろうと確認。「６以外なら、それでいいです」とメイちゃんスマイル。結果、４号艇。４号艇といえば女王戴冠の枠！
●津田裕絵 ペラ調整。整備室でも姿を見かけた。
●平高奈菜 12Ｒは、まさに「まさかの」であった。２着でＯＫ、だったのだ。そしてバック２番手。しかし１周２マークで揉まれての転覆。１号艇での勝負駆けは、それが平高奈菜だから、まずクリアするだろうと思われていたのに、最悪の結果。誰よりも悔しいのは、言うまでもないが、本人だ。幸い、身体は無事。着替えを終えてダッシュでボートリフトに駆けつけている。ただ、表情はただただカタく、すれ違う選手たちも声をかけにくそうにしていた。
●山下友貴 今日も今日とて、最後までプロペラ。ほんとに、なんとか上向いてくれないものか。
●櫻本あゆみ １便でお帰りでした。本日、１便組は全12人でありました。今日も暑いなか、お疲れ様でした！
●守屋美穂 11Ｒ発売中に得点状況を尋ねてきたのは、川野ともうひとり、この人。ただし、守屋の場合は状況が微妙だった。その時点で17位だったのだが、上から落ちてくる可能性のある選手より、下から自分を追い越す可能性のある選手が多かったのだ。そのなかには12Ｒ１号艇の平高も含まれている。守屋も、具体的な得点状況はわからなかったが、報道陣の態度がどうも気になっていたらしい。６・00で予選を終えたのに、準優の意気込みなどのコメントを取りに来る記者がいなかったのだ。これは自分は微妙、と悟ったのだろう。得点率の表を見ながら可能性をあれこれ探っていくうちに、守屋は17位とはいえ不利な立場のように思われた。守屋自身、それを認識して、少し心細げな表情になったものだ。その後、11Ｒの結果により、守屋は暫定18位。風前の灯だったのだが……残った！
●樋口由加里 11Ｒは見事に１着で勝負駆けクリア。ニコニコ笑顔で、彼女の周りはぱーっと明るくなった。その前はプロペラ調整もきっちり行ない、その成果を出したかたちだ。
●遠藤エミ さすがの勝負強さ。３着条件の勝負駆け、４カドから気合のまくり一撃で予選突破だ。エンジン吊りをしながら、さすがに安堵の表情を見せ、笑みがこぼれた瞬間も。明日も４号艇！
●小野生奈 11Ｒ２着で、予選トップ確定。しかし、レース後の小野の表情はカタかった。悔しさしか見えない顔つきだったのだ。レース後も忙しそうに動いており、報道陣はコメント取りなどを待たねばならなかったほどだ。１位で浮かれるようなところは少しもない。むしろ、さらに気を引き締めて、準優に向かうことだろう。
●喜井つかさ すれ違いざまに準優進出を祝福したら、爽やかな笑顔が浮かんだ。明日は「スタート頑張ります！」。６号艇だが、思い切ったレースを！
●竹井奈美 10Ｒ発売中まで試運転。その後はペラ調整で、かなり強くハンマーを打ち下ろしていた。予選落ちの悔しさをぶつけていたわけではないが、残り２日の健闘を誓う姿のようにも見えた。
●渡邉優美 後半の時間も調整は続く。
●今井美亜 ９Ｒ６着。予選は突破したが、尻下がりの成績になっているのが気になるところ。レース後は笑みも見せてはいたが、心なしか苦笑いが相当に混じっているようにも思えた。
●大豆生田蒼 予選突破の可能性を持っての10Ｒだったが、大敗。悔しげな顔つきで、控室に戻っている。12Ｒ発売中には、ピットの屋根の梁に止まっているハトを見つけて、はしゃいでいた。かわいかったぞ。
●中村桃佳 12Ｒ３着で６・00に届かせたが、上位着順の差で次点。レディチャン初出場での予選突破はならなかった。悔しかろうが、雪辱のチャンスは毎年訪れるだろうし、いつかはタイトルを獲る存在。今日のその悔しそうな表情を心に刻んで、前進を！
というわけで、今節の52人シリーズはここまでです。今節もどうもありがとうございました。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 ＴＥＸＴ／黒須田）
