BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負駆けだ!

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 予選暫定1位の仲谷颯仁。今日は12R1回乗りとあって、朝は特に作業などもすることなく、ゆっくり過ごしている。とはいえ表情は鋭い。その12Rは1号艇。最終レース逃げ3連発の王道モードに乗っている。地区選とはいえすでにGⅠを獲っている仲谷に大きなプレッシャーがあるとは思わないが、気持ちが引き締まるところはあるだろう。緩めることなく、王道を突き進むべくすべてを仕上げていくはずだ。

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 11R1号艇は椎名豊。こちらも1回乗りだが、対照的に動き出しは早かった。1R発売中にはボートを水面に下ろしており、着々と準備を進めていた。今日のピットは湿度の高さは変わらないものの、気温も上昇しており、つまりは気候が変わっている。ペラ調整室の窓が湿気で曇っていたものだが、それが機力にどう影響するか確かめる部分もあったか。

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 暫定2位の関浩哉は、こちらも12R1回乗りだが、なにしろ新兵でもあるから、ゆっくり過ごすというわけにはいかない。調整にも余念がないようで、初々しい表情の向こうには強い気持ちも見て取れる。関としては、ここが名前を猛アピールする大チャンスだ。準優当確ではあるが、もう一丁上を狙いたいところである。

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 5着条件の竹井奈美は、がらんとしていた整備室でキャブレター調整。その前には近江翔吾がボートを整備室に持ち込んでの整備をしていたが、竹井は近江が作業を終えてもしばらくキャブ調整用のテーブルを離れなかった。昨日は逃げたと思ったら、2マークで仲谷に差された。予選突破への条件は決して厳しいわけではないが、しかし昨日の二の舞のような展開は避けたい。ここまでオール3連対だから、と妥協することなどできない。

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 2着2本という厳しめの条件の丸野一樹は、何度かペラ室と控室を往復する姿があった。丸野はふだんにこにこと話しかけてくる人懐こい性格だが、しかし何かを考え込みながら歩いている様子で、一点を見つめてこちらに気づく素振りもない。いや、考え事に夢中だっただけで、どうやら視界の隅に巨体は入っていたようだ。その真剣な顔を眺めていたら、少々通り過ぎたところで振り向いて、微笑を浮かべながら頭を下げてきた。礼儀正しいヤツなのである(今、5Rのスタート展示中。前付けを見せたので、これを考えていたのかもしれない)。
 というわけで、本日は勝負駆け! 若者らしい気合がびんびんに伝わるレースが連発されるはずだ!

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 さて、2Rで西野雄貴が1着。ここまでは機力に苦しんできた格好だが、1号艇をしっかり勝ち切って、GⅠ初勝利をあげた。同期の中村桃佳が笑顔で出迎える一方で、西野の表情は引き締まったまま。頬が緩むシーンは見られなかった。それで良し、だろう。大怪我で長期離脱も経験し、それを乗り越えてきた西野。復活ストーリーの第一歩がこの勝利である。その精悍な表情で上を見据え、一気に表舞台へと駆け上がってほしい。準優進出は厳しそうだが、あと2日、強い西野雄貴を見せろ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)