BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――3日目早朝

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 今日は朝のスタート特訓の前にピットに入った。わかっていることだが、早朝から選手たちの動きは活発で、係留所からあがってくる選手、ペラ室から係留所へと向かう選手が装着場で行き交っている。特に序盤のレースに登場する選手は当然、調整などの作業を急がねばならず、仲谷颯仁がハツラツと走っているので出走表を確認するとやっぱり2R登場。ゆっくりしている暇などあるはずがない。

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 と言いつつ、今日も12R1回乗りの白井英治も、早くから装着場に出てきていた。まあ急ぐ作業があるわけではなく、勤しんでいたのはボート磨き。レースを終えたあとのボート磨きといえば、何と言っても今垣光太郎だが、実は白井がレース前にこうしてボートやモーターを磨いているのは珍しい光景ではなかったりする。ある意味、本体やプロペラの調整を焦らなくてもいいという、仕上がり良好の時の動きでもある。

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 丸野一樹が本体整備をしていた。4Rに登場だから、やはりそれほど時間があるわけではないのだが、試運転からあがってきて整備士さんのもとに駆け寄ると、すぐに本体を外して整備を始めた。内容はどうやらセット交換。整備士さんにこの整備をお願いし、快諾を受けて大きな整備に取り掛かったということだろう。1R発売中には整備終了。こちらと目が合うと丸野は、二度三度うなずきながら笑顔を見せた。これで少しはパワーアップできるはず……ということかな。

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 ギリペラの毒島誠は、言うまでもなく、調整に取り掛かるのが遅くて時間ギリギリまでやらなきゃいけなくなる、なんてことはなく、朝から熱心にプロペラ調整に励んでいた。試運転⇔ペラ室の動きを朝から何度か見かけたぞ。1Rのスタート展示が迫った頃、試運転からあがってきた毒島は数10m離れた場所からこちらに会釈を送ってきた。まあね、アロハシャツの巨体だから目立つのはわかるけど、それにしてもかなりの距離があっただけに、わざわざ朝の挨拶を向こうからしてくれるのは嬉しいものです。

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 やがて「1R乗艇」のアナウンスがかかり、スタート展示の時刻がやってくると、ピット全体がいったん、静かになっている。試運転組は一区切りつけ、また係留所でモーターを始動してニードル調整などをしている選手もこのときにはモーターを停止するのだ。といっても、音がまるでなくなるわけではなく、ちょうどこのタイミングで金子龍介が装着場でリードバルブを装着。工具を扱う音がカチャカチャと聞こえてきた。金子のボートがあった場所は、装着場の隅っこ、扉が開け放たれてほとんど外、といったところ。金子は空を見上げて、「うーん、暑い」と一言。もちろん日差しの強さからの言葉だろうが、選手にとっては気温の上下が気配に影響することもあるので、そこには深い意味が込められていたかも。

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 あと、やはりプロペラを叩く金属音は、それこそ装着場の隅っこにいても聞こえてきますね。あとで覗き込んだら、想像通り、ペラ室はなかなかの盛況ぶり。11R1回乗りの羽野直也の姿も見かけた。出番が遅い選手たちだって、朝から懸命に奮闘しているわけである。

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 あ、あと西山貴浩がペラ室から出てくるのを見かけたが、なんか一味違う雰囲気。ここまでなかなか突き抜け切れていないから、今日は気合満点か……と出走表を確認したら、5R1号艇ですか。なるほど、絶対に落としたくない1号艇。勝負師西山、しっかり力がこもってます!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)