BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

限定連載③明日のブライトホース

4998中村かなえ(東京・121期)

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 都立駒場高校~お茶の水女子大~大学院(理学部)という超エリートコースから22歳に一念発起、ボートレーサー養成所に“編入”した恐るべき才媛だ。その原風景は10歳、場所は奇しくもこの江戸川だった。
「ある日、母とふたりで散歩していて、江戸川の岸辺に迷い込んだんです。で、その土手から川を見たらいくつものボートが走ってて、すんごく面白そうに見えたんです」

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 その瞬間の「あの舟に乗る人になりたいなあ」という漠然とした思いが、12年後に女子大学院生の背中を押した。超エリートコースから一介のボートレーサーへ。デビューから1年3カ月で1勝もできない現状を考えれば、この選択に「?」を付ける方もいるだろう。が、デビュー前にかなえちゃんはこんなコメントを発している。
「今の私の実力ではまったく通用しない。それは分かってるし、6着も覚悟しています。でも、たとえ6着が続いても、1レース1レースがすべて自分の実になるレースがしたい。5着の選手に必死に食らいついて、何年かかってでも少しずつ成長して、逆転できるようなレーサーになりたい

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 今節、フライングの勇み足はあったものの、後続艇に抜かれない走り、前の選手に食らいつくレースはできている。今日は5番手から犬童千秋を抜くこともできた。Fの足枷で今節の水神祭は難しいかも知れないが、2・3着で大穴提供というシーンは常に警戒しておきたい。

4933板橋侑我(静岡・118期)

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 118期の出世頭と言えば宮之原輝紀だが、やまと学校の時代から「宮之原君には負けない、負けたくない」とライバル意識剥き出しで逞しく成長したのが板橋だ。やまとチャンプ決定戦では主席=1号艇の宮之原が「6コースから優勝する」と宣言すると、2号艇の板橋は「だったら僕は正攻法のインから宮之原君を負かす」と公言し、有言実行を果たした。もちろん、心の底から「宮之原に勝った」とは思えなかっただろう。

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 デビューしてからも、右肩上がりで出世する宮之原を追随するように成績をアップさせてきた。持病の腰痛などもあって一時期はやや水を開けられた感もあったが、今日の12Rの全速ターンを見る限り、今後はまた同期最大のライバルに肉薄していくだろう。
 今日の足色は出足・回り足Aで直線B、トータル中堅上位という感じだろうか。本人も「行き足を殺して回り足を付けた」と調整での苦心が伺える。で、明日の12Rは6号艇で①着条件(ボーダー想定6・67)とこれまた険しいハードルなのだが、宮之原を脅かすターンセンスでバック突き抜ける可能性は低くはない。F持ちだけにアタマのオッズは軒並み万太郎だろうし、穴党は1枚だけでも押さえてみてはいかがだろうか。(photos/チャーリー池上、text/畠山)