BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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児島レディースオールスターTOPICS4日目

THE勝負駆け①準優ボーダー争い
前付け連発の効力

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 前半戦のハイライトは3Rの守屋美穂。地元若手のエースが劣勢パワーに苦しみ続け、予選ラストバトルは6号艇でのメイチ①着条件! いつもは動かない守屋が、この崖っぷちの勝負駆けはピットアウトから攻めた。F持ちの⑤薮内瑞希、③倉持莉々らを押しのけての3コース奪取。
 現状の守屋の足は3コースでも勝ちきるのが難しいと思っているのだが、今日は児島の水神様も加担したのだろう。インコース島田なぎさがまさかのコンマ42ドカ遅れ~勢い2コースの藤崎小百合がジカまくり~この攻めにぴったり連動して絵に描いたようなマーク差し一撃、という3点セットの流れでバック突き抜けた。展開一本でも勝ちは勝ち。前付けしたからこその勝利とも言えるわけで、守屋の強い気持ちが生み出した10ポイントだった。

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 続く4Rも待機行動が荒れた。仕掛け人はやはり6号艇の山川美由紀(2走)で、こちらはオラオラの気迫で2コースまで潜入。こうなれば、たとえ深くなってもスタートを緩める選手ではない。コンマ13のトップスタートからイン小池礼乃を「まくるぞ!」と見せての差し構え。唯一の誤算はその内ラチを6コース塩崎桐加がスパーンと差し抜けたことだったろうが(恐ろしい早業だった)6号艇で2着を取りきり、後半12レースに望みをつなげた。

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 準優ボーダーラインの真っ只中で肝を冷やし続けたのが松本晶恵だ。守屋同様、劣勢パワーに苦戦を強いられている松本は、5R3号艇でも追い上げが利かずに4着フィニッシュ。5・67という限りなく赤信号に近いポイントで予選を終えた。が、その後に脱落者が続出するなどで16~18位あたりを細かく往復し、12R直前はあまりに微妙な18位……最終結果は、予選トップ争いと込み込みで最後にお伝えしよう。

THE勝負駆け②予選トップ争い
田口か、エミか??

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 昨日までの予選トップは地元の田口節子。本気モードでトップ当選を狙う田口に対し、4Rで猛烈なプレッシャーをかけたのが前出・塩崎桐加だ。山川の前付けにも慌てず騒がず6コースを選択。スリットから素早く内を絞め込みつつ、あっという間に2コース山川の右隣りに舳先を並べ、山川が差すより早く“二番差し”を貫き通した。ってことは一番差しですな(笑)。なんという攻めの早さ&速さ! 今節の桐加はとにかくスリットから1マークの仕掛けにまったく迷いがなく、考える前に飛んでいるイメージが強い。迷いがないから1着が量産される。11511で予選成績を8・40まで跳ね上げた。
 一方、暫定トップの田口は6Rに登場。枠なり3コースから握って付け回して差して、安定感たっぷりのレースっぷりで2着8ポイントを加算した。31112着で8・80。さらに8Rの遠藤エミも道中4番手から冷静な追い上げで2着を取りきり、8・40でトップ争いに生き残った。

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 もうひとり、昨日まで5位でわずかながらトップの可能性があった細川裕子は、10Rの6号艇で……ありえないような珍事に巻き込まれた。スリットの枠なり最アウトから発進したところ、5コース香川素子に押し出されるように外へ外へと流れて1マーク手前で消波装置に激突(香川は不良航法で-7点、まさかの予選落ち)。跳ね返った瞬間、その衝撃に耐えられずにエンジンが停止した。細川自身もどこかしらを痛めてピクリとも動かない緊急事態に……その細川が負傷帰郷などという大事に至らなかったのは、不幸中の幸いと言うべきだろう。

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 勝負駆けに戻ろう。10R終了後、田口、塩崎、遠藤のトップ3で自力当選の権利はやはり田口にあった。12Rの①遠藤vs④田口の直接対決で遠藤が逃げきっても、田口が2着に残せば同率→着順位で田口が上回る。とりあえず、11Rの③塩崎の着順によってこの直接対決の重要度、緊迫度が変わることになるのだが……。
 その11Rは④富樫麗加と⑤西橋奈未がフライングとこれまた大波乱! 3コース塩崎はそのWアタックをモロに浴びる形で最下位の4着に甘んじた。この時点で、トップ争いはほぼほぼ12Rの直接対決に絞られたと言っていいだろう。その条件はこうだ。
①遠藤エミ…3着以内で田口を少なくとも2着分引き離す。
④田口節子…2着以内でトップ当選。3・4着で遠藤に先着されても、その着差が1着分までならトップ。もっともありえそうな状況としては、遠藤が逃げて2連単1-4ならば田口がトップ、2連単1-2356ならば遠藤トップになるわけだ。
 そしてそして、この12Rはもちろん準優ボーダー争いのラストバトルでもあった。3人の直接対決と結果待ちの暫定18位・松本晶恵らも含めた最終決戦だ。それぞれの自力突破条件を記しておこう。
②山川美由紀…3着以内
③今井美亜…2着以内
⑤宇野弥生…1着
 この3者の兼ね合い次第で条件が緩和される可能性もあるのだが、とりあえず3者ともにこの着順を目指すだろう。そして、暫定18位で結果待ちの松本からすると「山川が4着以内、今井が3着以内、宇野が2着以内という条件のうち2つ以上の条件が重なるとアウト、ゼロかひとつならセーフ」という微妙な立場だった。

12R=W勝負駆けの行方

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 いざ実戦、枠なり3対3からスタートがきれいに揃って、イン遠藤が豪快に抜け出した。それでもトップとは限らない。2着以内を目指す田口は4カドからセオリー通りの差しを狙ったが、そこで判断に迷いが生じた。前を横切る2コース山川を捌ききれずに失速して5、6番手に……この段階で実質的に遠藤のトップ確定となった。

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 一方の準優ボーダー勝負駆けは、3コースから迷わず握って攻めた今井美亜がガッチリ必要十分条件の2番手を確保して準優チケットへ邁進。隊列的に残る1議席は「山川か(4着以内)、結果待ちの松本か(山川5着以下)」という流れになったのだが、山川が冷静な捌きで3着をもぎ取り「香川支部3連覇」へ最後のチャンスカードをゲットした。今日も6号艇で前付けした讃岐のパワークイーンが、明日の10Rはどんな秘策を繰り出すのか。5号艇・守屋との駆け引きも含めて大いに注目したい。
 エース香川42号機の減点~脱落あり、超抜気配の細川のアクシデントあり、長嶋万記や松本晶恵など銘柄級の勝負駆け失敗あり……さまざまな事象が起きた予選ではあったが、終わってみれば有力なV候補の遠藤エミが堂々のトップ通過。昨日も触れた通り、遠藤の足は突き抜ける部分はないものの高いレベルでバランスが取れている。このまま逃げ~逃げ~逃げで頂点まで突き抜けると仮定するなら、今日の12Rの直接対決が最大の山場ということにもなり得るだろう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)