BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡オールスターTOPCS 2日目

ワースト時計に注目!

「自動計測で手前の足も加味される福岡の展示タイムは、正味のパワーに比例しやすい」
 こんな定説をよく耳にするのだが、ここ2日間はワーストタイムと成績が合致するケースが高いようだ。列挙しておこう。

★初日の展示ワースト選手と成績
1R 守屋美穂…5着、松本晶恵…6着
2R 石川真二…4着
3R 寺田祥…5着、山崎智也…6着
4R 濱野谷憲吾…6着、赤岩善生…4着
5R 守田俊介…2着
6R 重成一人…6着
7R 篠崎仁志…2着、湯川浩司…3着
8R 中島孝平…6着
9R 濱野谷憲吾…4着
10R 新田雄史…6着
11R 太田和美…5着
12R 小野生奈…5着

 初日はのべ16人で勝者はゼロ、舟券のヒモに絡んだ選手も3人止まり(3連率18・8%)だった。今日2日目も見てみよう。

★2日目の展示ワースト選手と成績
1R 平尾崇典…転覆
2R 小野生奈…5着
3R 竹井奈美…6着
4R 新田雄史…5着
5R 赤岩善生…6着
6R 小野生奈…2着
7R 西山貴浩…6着
8R 秋山直之…6着
9R 遠藤エミ…6着
10R 守田俊介…3着
11R 太田和美…6着
12R 中島孝平…5着

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 展開ズッポリの6R小野生奈とキャリアボデー交換で足が良化した守田俊介以外はゴンロクの嵐。昨日以上に惨憺たる結果と言えるだろう。で、これらの面々を見回せば、確かにパワー劣勢な顔ぶれが揃ってもいる。特に2日間ともに大敗した新田雄史と太田和美、中島孝平の3人は、重症ムードがまんま時計に反映してもいる。
 少し展示タイムから離れよう。昨日の当欄でワーストパワー級として紹介した7人(毒島、松井、守田、新田、中島、太田、重成)の中から、今日になってソコソコ立て直した選手も現れた。前述、キャリアボデー交換で出足系統が強化された守田と、2度目のクランクシャフト交換でストレート足が上向いた毒島誠だ。

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 特に毒島は昨日のウルトラワースト級から脱出し、7Rは4カドから豪快な全速まくりで先攻め(イン羽野直也のブロック~流れて3着)、6号艇の12Rは4カド吉川元浩の絞めまくりに連動するアウトまくり差しでこちらも3着を取りきった。道中の足は心もとなくトータルは中堅下位レベルではあるが、スリットからズルズル下がった昨日よりはるかに上積みがあったはずだ。

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 一方、松井繁など他の5人は今日も苦戦を強いられた。松井に至っては勝負駆けのイン戦で2コース平本真之のジカまくりに抵抗している間に、ズボズボとセンター勢の差しを浴びた。それでも3番手に粘っていたところ、道中で大山千広と平本真之に“捌かれて”3戦連続の5着に……1マークから道中から、すべての敗因は劣悪すぎるパワーと言いきってもいいだろう。2日目にして準優に黄信号が点った王者に現状のパワーを加味すれば、残念ながら赤信号と言わざるを得ない。

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 今日はワーストパワーに主観を置いたが、上位パワーの方でも少なからぬ変化が生じたと思う。前検からS級に指名している関浩哉と羽野直也は、昨日までの迫力が感じられない足色だった。悪くはないが、上位の下くらいの感じ。代わって文句なしの今日イチパワーをフル稼働したのは……吉川元浩。2Rは3コースまくり、12Rは4カドまくりで無傷の3連勝。参った。昨日の時点で「Sかも」などと記したが、誰がどう見てもSS級しか似合わない超弩級のストレート足だった。もちろん、明日以降も断然のトップ足とは断言できないけれど、今日はありえないほどの大差に思えたなぁ。
 で、ここから再び展示タイムに戻る。名うての整備巧者が集うSGだけあって、昨日から今日にかけてパワー相場はかなり変動した。が、「展示タイムのワースト選手がほぼほぼ大苦戦した」という事実に変動はなかった。明日以降も日々刻々とパワー相場が変わる中、選手の取捨に迷ったときは「ワースト時計選手を軽視する」という方法がそれなりに有効なのではなかろうか。この2日間を見て、そんなことを思った次第だ。

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 今日も最後は万舟トピックス。昨日の遠藤エミに続いて、2日目も3人の女子レーサーが大波乱の立役者になった。まずは7R2号艇の守屋美穂。前出、毒島の4カドまくりに呑み込まれてバック4、5番手だった守屋は、1周2マークの好旋回で2番手の毒島と舳先を並べた。続く2周1マークも毒島の追撃をシャットアウトする旋回で2着ゲット。3連単の配当を394倍まで跳ね上げた。毒島の足が頼りなかったとは言え、実に見事な逆転劇だった。

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 11Rは女子がふたりがかりで配当を引き上げた。先鋒は3コースの長嶋万記。コンマ09のトップSから伸びなり内2艇にプレッシャーを与え、2コース平本の先まくりを催促してからの差しハンドル。結果的に4カド中田竜太の2番差しに屈したものの、内2艇を混乱させたのは間違いなく長嶋のスタート攻勢だった。

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 そして仕上げは5コース大山千広だ。1マークで後手を踏んだ千広はバック直線でかなり離れた5番手という苦しい位置取りに。そこから追って追って、松井や平本との3着争いに加わった。驚いたのは2周2マークからの攻防だ。1艇身前方の松井に全速のツケマイを放った千広は、艇のバランスを崩して大きく外に流れた。が、そこからすぐに艇を立て直し、前を行く松井と平本の内サイドへ進路を変え、やや劣勢な態勢から3周1マークを先取りしてふたりのSGレーサーを捕えきってしまったのだ。「松井がワースト級だった」というハンデを加味しても、SG初出場の23歳とは思えない大胆不敵な戦法~大逆転劇。前半5Rのコンマ09トップスタートでのイン逃げ=SG水神祭も含め、今日の千広は投票4位に恥じないレースを全国のファンに見せつけたと言っていいだろう。昨日のドリーム4着から16点を加算して予選9位に浮上した千広。SGはここからが真の修羅場なのだが、あるいはこの子ならSG初出場にして初優出までやらかすかも?などと本気で思わせる1日てもあったな。明日の2R3号艇、6R6号艇でも物怖じしないお転婆なパフォーマンスを見せてもらいたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)