BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村メモリアルTOPICS 初日

『片翼の天使』序章

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 大村の絶対エースモーター34号機を駆る中村亮太が、軽々と第一関門を突破した。今日の亮太は6R1号艇の一発勝負。スリット隊形としては、十分に波乱の余地があるものだった。イン亮太のコンマ16に対して、3コースの韋駄天・菊地孝平がコンマ11。しかも2コース松井繁がコンマ19と凹んでいる。
 実に薄ら寒い凹凸だったわけだが、ここから34号機が一気にターボエンジンを噴射させた。トップSの菊地に追いつき追い越し、さらに出て行く出て行く!! 1マーク手前で軽く1艇身ほど突出し、くるりと回って一人旅。差した松井や長田頼宗らをバック中間で5艇身ほど千切り捨ててしまった。蒲郡レディチャンの「チヒロ64」を連想させる、反則レベルのレース足だ。

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「二の足も三の足も良かったけど、いちばん良いのは一の足。そこも合わせて全部の足が良いです♪」
 一の足イコール起こしから出足のツナギ部分、またはターン回りから出口までのツナギ部分が超抜ということだろう。さらに二の足(出足~行き足)と三の足(行き足~伸び)に関しては、今日のスリット~1マークの鬼足だけで多くを語る必要もなし。現状はS+【出SS・直S】としておくが、明日の5・6号艇のレース次第で全部の足がSS=不動の節イチパワーに指定する可能性は極めて高い。
『片翼の天使 リョウタ参戦!』
 こんなキャッチフレーズの横断幕が躍る大村水面。天使なのかジョーカーなのかはともかく、独創的な整備スキル(かつて持ちペラ時代、翼面の一部を大胆に切り削いだ亮太スペシャル)を有する亮太が34号機とともにどんなドラマを紡ぎあげるか、最終日までしかと見守りつづけたい。

『チヒロ50』

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 順風満帆な「リョータ34」とは裏腹に、ワースト級の凡機を引き当ててしまったのが大山千広だ。楽あれば苦あり、おそらく今節はこの50号機とともに『おしん』のような耐えに耐え忍ぶ苦境のドラマを強いられることだろう。
 8R1号艇の千広50号機は、展示タイムからその非力さを露呈する。1号艇としてはあまりに遅い6秒89。いざ実戦、数字どおりにスリットから出て行かない千広は、なす術なく3コースの瓜生正義先輩にまくられた。さらにバック直線でも差した大峯豊、山崎智也にあっという間に追いつかれてしまう。つい先日の「チヒロ64」とは雲泥の悲惨なストレート足。

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 パワー的にも展開的にもズルズル後退して大敗かと思えた2マークの手前、この才媛はいきなり強烈な勝負手を繰り出す。とてつもなく早い初動から、握りっぱなしのフルスロットルで大峯&山崎をまとめて叩き潰そうとしたのだ。こんな強引なターンを成功させられる選手は、かつては秋山直之、今は峰竜太など限られたスピードレーサーしかいない、はずだ。が、外から外へ大きな弧を描いたその航跡は、ものの見事にふたりのSG常連を引き波にハメていた。凄い。
 50号機の非力さを微塵も感じさせない超絶スピードターンが決まった瞬間、記者席はドッと沸いた。隣に鎮座まします安岐真人大魔神さまが「ガッハッハ」と高笑いをあげた。1号艇で2着は威張れる成績ではないが、大山千広という存在感を知らしめるに余りある2着。もちろん、今日のあのターンは彼女の天賦の才能に拠るものだろう。ただ、私の目には蒲郡での「チヒロ64」によって育まれた何かしらが入り混じっているように見えた。選手がモーターを育て、モーターが選手を育てるボートレース。今節の千広は決して名優とは呼べない50号機とともに、まったく別物のドラマを生み出そうとしている。

 最後に、前検の修正も含めて私なりのパワー評価を記しておく。

独断パワー診断
★★★中村亮太34号機=S+【出SS・直S】
 前述

★★前本泰和15号機=S【出S・直S】

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 今日は2・4号艇で2・2着と無難にまとめた。前半はターン回りでやや滑っているムードだったが、それでも逃げる西山貴浩を猛追した迫力は◎。後半も混戦を捌いて2着を取りきったレース足に不満はなく、据え置きのS評価。

★吉田拡郎57号機=A【出S・直B】

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 今日になって試運転&実戦で目を惹いたのがコレ。サイドの掛かり~その直後の一瞬の出足が強く、そこで混戦をスパッと捌く感じ。完全に出足寄りで、最近の拡郎モード(何かしら特殊なペラ調整法を掴んでいるという噂あり)に突入したのかも? とにかくどのコースでも要注意!

★中野次郎【回S・直B】

 今日の3・1着のレースを見れば一目瞭然、とにかく回り足がゴキゲンでくるくる回ってぐんぐん追い上げる出足型。これもモーターの性能云々ではなく、最近好調な次郎モードまんまの好脚と言えるだろう。

★遠藤エミ49号機=A【出A・直A】

 昨日の評価と同じで据え置き。

★菊地孝平73号機=A【出A・行A】

 前半はスタートを決めながらまったく出て行くムードがなく「前検の見立て違いか?」と思ったが、後半10Rの2コースからの行き足~ターン回りを見てひと安心。もしかしたらトータルB+までと思いつつ、据え置きのA。

★守田俊介65号機=A【出B+・行A+】

 今日は6・3号艇で4・5着。うーーん、前半の行き足は期待通りだったが、出足・回り足に物足りなさが残った。後半は自慢の行き足も影を潜め、まったく合っていない印象。正直、今日の足はAに至らないが、合わせきれば自慢のパンチ力が復活するはず! 期待も込めて今日のところは据え置きます!

B+(中堅上位)

中田竜太【回A・伸B】、笠原亮【出B・行A】、平本真之59号機=B+【出B+・直B+】羽野直也【出B+・直B+】、毒島誠【出B+・直B+】、篠崎元志46号機=【出B・伸A】、仲谷颯仁【出B・直A】、石野貴之【出B・行A】、瓜生正義【出B・直A】

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 セット交換&キャリアボデー交換でかなりパワーアップした毒島は、もはや現時点でA以上かも? 今日の2・1着でバレバレだけど明日の10R2号艇も要注意。(photos/シギー中尾、text/畠山)