BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――同期の存在

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 1Rで上條暢嵩が転覆。岡崎恭裕の転覆が記憶に新しいだけに、やはりヒヤリとしてしまう。引き上げられたボートを見ると、ネームプレートが壮絶に割れている。上條の身も案じられたわけだが、「大丈夫です!」とニッコリ笑って転覆整備へと走っていった。事故はつきものとはいえ、やはり気を付けて走ってほしいと願う。

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 その1Rで5着に敗れた山本寛久は、吉川元浩を捕まえてしばらく話し込んだ。そうか、79期の同期生だ。息せき切って言葉を並べている様子の山本に、吉川は微笑を浮かべながらフンフンと耳を傾ける。毎度毎度のことだが、同期生たちの絆はピットでも非常に目を引くものだ。

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 こちらは86期の同期生。柳沢一と市橋卓士。ついに86期からSG覇者が誕生したグラチャン。市橋にとっても、柳沢の戴冠は喜ばしいものであり、また己を奮い立たせたものでもあっただろう。さまざまな選手から耳にしたことがある。身近な存在が大きなタイトルを獲ると、「自分にもできるんだ」と意欲が一気に沸き上がるというのだ。A1級は揃っていても、なかなかSGタイトルには縁遠かった86期。いつしか中堅世代ともなってきて、もしかしたらこのまま無縁で終わるのかも、と思った者もいたかもしれない。しかし柳沢のグラチャン制覇で、「俺も!」と奮い立った選手もまた多かったはず。市橋ももちろん、柳沢に続きたい一人だ。

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 2R、松尾拓が1号艇で2着。水神祭のチャンスだったが、瓜生正義に屈してしまった。まさしくSGの洗礼、だろうか。ピットに上がって悔しげな松尾に、井口佳典が話しかける。「しょうがない!」。つづいて、「(SGは)厳しいな!」。グランプリまで制した先輩の言葉に、松尾の頬が緩む。井口も14年ほど前に同じような思いをしたことを思えば、その経験から生まれる言葉は松尾にとって千金の価値があるというものだ。同期の羽野直也は、SG水神祭まで5走を要した。松尾はまだこれが2走目。今節中にチャンスはまだまだある。

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 それにしても、瓜生正義が早くも暴走モードに入りましたかな。6コースから突き抜けてしまったのだから、恐ろしい。仕上がりも相当なものだろう。ピットに上がると、自分のほうから他の5選手のほうに出向いて頭を下げる。同期の魚谷智之はともかく、あとは全員が後輩なのだからデンと構えていても誰も文句は言わない。それでも、自分から出向くのが瓜生のお人柄。強くて人格者なのだから、この人はやっぱり無敵である。その無敵モードが今節は存分に味わえそうですね。後半の3号艇、結果やいかに。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)