BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――大阪勢躍動

f:id:boatrace-g-report:20210324174204j:plain

 7Rと8Rで、浪速師弟コンビが躍動した。まずは7Rの北村征嗣だ。1号艇が回ってきた水神祭チャンスを、逃げてきっちりモノにした! デビューは98年11月。当時は19歳だった。その後、長くA級をキープし、この15年ほどはほぼA1級。地力はありながらも大舞台には恵まれずに、SGの舞台にようやく辿り着いた今節、北村は41歳になっていた。いわば苦労人なのだ。2走目となった7R、見事に逃げ切り。この勝利は生涯忘れられないものになったはずである。

f:id:boatrace-g-report:20210324174350j:plain

 8Rは師匠の松井繁が差し切り勝ち。2コースから差してバックで舳先をこじ入れた松井は、決してそれを抜こうとはしなかった。愛弟子の水神祭に、自身の勝利で華を添えるのだという意地が見えた走り、といったら考えすぎだろうか。ピットに上がってきてからもとにかくゴキゲンで、会心の勝利に笑顔満開の王者なのであった。
 水神祭の前などはさらにゴキゲン。北村に向かって、右肩をグルグル回す仕草を見せつつ、砲丸投げの要領で右腕をポーン。思い切り遠くに投げ込んでやるぞ、と笑わせている。水神祭で実際にポーンと投げ出したのは左腕のほうでしたが(笑)。そんな王者の様子もまた、北村を癒したことだろう。この師弟にとって、今日は良き一日!

f:id:boatrace-g-report:20210324174504j:plain

 大阪勢は10Rでも勝利。石野貴之のイン逃げだ。石野の今期勝率は、昨日時点で5.44。A1級どころか、A2級の勝負駆けなのだ。今期の石野の不調は、信じがたいレベルにまでなっている。ここからA1級勝率まで引き上げるのが可能かどうかわからないが(厳しい?)、しかし好モーターを引いたここで意地を見せなければどこで見せるのだという、クラシックなのである。初日は大きな着になってしまったが、まずは上昇のきっかけを作った2日目ということになるだろう。ピットでの凛々しさは何も変わっていない。2号艇が回ってきた明日、気合の走りを見せてもらいたい。

f:id:boatrace-g-report:20210324174532j:plain

 一方で、地元福岡勢がやや苦戦気味。岡村慶太の水神祭は明るい材料だが、大将格の瓜生正義がゴンロクを並べているのだから、不思議というしかない。11R1回乗りの瓜生は朝から、午後の時間帯もギリギリまで調整を積んでレースに臨んだのだが、実を結ばなかった。さすがの好漢も表情が冴えない。

f:id:boatrace-g-report:20210324174617j:plain

 西山貴浩も苦闘が続く。今日は6号艇6着と、枠の不利を覆すことができなかった。やはり調整はシビアに続けているのだが、結果にはどうにも結びつかず、9Rのレース後は憔悴した表情も見せている。1号艇が回ってくる明日は、まさに試金石となるだろう。

f:id:boatrace-g-report:20210324174723j:plain

 そんななかで着をしっかりまとめているのが篠崎仁志。今日は1着2着だ。必死に調整を繰り返していた朝の様子は別記事に書いたが、7R後も抜かりなく調整を進めて12Rに臨んでいた。気合はもちろん入っているだろうが、同時に表情が柔らかくあるのが印象的であった。悪くない精神状態で臨めているものとうかがえる。

f:id:boatrace-g-report:20210324174904j:plain

 3Rで転覆の松田大志郎は、10R3着。転覆の0点を取り戻したとまでは言えないが、持ちこたえた3着ということにはなるか。もちろん満足いく着順というわけではないだろうが、しかしレース後はサバサバとしていたようにも見えて、雰囲気は非常によく見えたのだった。昨年は22優出7V、年間最多勝争いで峰竜太に迫る2位と、躍進を見せた松田。SG初出場は15年クラシックともう6年も前になるが、さらに一皮剥けてのクラシック出場が今節である。地元SGでもあり、転覆のビハインドはあるけれども、なんとか予選突破を果たしたいところ。明日以降、逞しい姿を見せてもらいたいものだ。

f:id:boatrace-g-report:20210324174931j:plain

 それにしても、峰竜太が冴えない。6R、6号艇で3着はさすがだったが、足的にはまるで余裕がないように見えている。そして10Rは3号艇で4着。本人曰くワースト級の足に、かなり苦しんでいるようだ。10R後は表情にも余裕がなかった。明日は12R1回乗り。大きな整備に手をつけるかも!?

f:id:boatrace-g-report:20210324175000j:plain

 9Rを差して快勝した毒島誠が、峰とは実に対照的であった。写真は、勝利者インタビューに向かうとき、レンズを向けているこちらに気づいてポーズを見せたもの。まあ、いつだってサービス精神旺盛な男ではあるが、前半の大敗を巻き返したこともあって、気分もかなり上向いていると見える。明日は12R1号艇で峰と対戦。ちなみに、今期勝率1位は現時点で毒島で、ここまで5期連続トップの峰に待ったをかけようとしている。この対戦、興味深いかも!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)