8Rを終わった時点で、18位は赤岩善生。得点率は6・33。あまりにも高い。最終的なボーダーはどこに落ち着くのか、この時点ではまったく判然とはしていなかった。なにしろ、6・00の井口佳典が25位だったのだ。このままだと6・00では心許なく、少なくとも6・00のなかで最下位の井口が浮上するのは相当に困難と思えた。それを知ってか知らずか、井口は粛々とレース後の作業に努める。心中やいかに。
それでも、11Rが終わった時点で、ある程度の落としどころは見えてきた。12R出走の6人は、全員がその時点での18位以内にいたのだ。つまり、12R組以外で18位以内にいる選手は全員が当確となっていたわけだ。11Rでなんとか勝負駆けをクリアした桐生順平が、たまたま装着場にいた菊地孝平に問いかける。すると菊地は「今は16位だけど、残りは全員が上だから(もう大丈夫)」と返答。さすが聡明な男・菊地孝平。よくわかっていらっしゃる。
今日はピンピンの勝負駆けに見事成功した湯川浩司は、その時点では準優圏外。6・17は通常なら立派に予選を通過できる数字だが、今回はなんとも微妙な位置であった。とはいえ、18以内浮上の可能性は充分にあった。12R組で無事故完走で当確だったのは、1号艇の瓜生正義のみ。順当に逃げ切れば、あとは10~16位あたりに密集していたので、大量に19位以内に陥落する可能性があったのだ。それを知ってか知らずか、淡々と過ごす湯川浩司。結果、12R組からは2人が勝負駆けに失敗。湯川は予選を突破することになった。それを告げられても、やはり淡々。人事を尽くして天命を待つ、といった心境だった!?
結果的に、18位は6・17の坪井康晴。6・00の選手は全員が予選落ちとなった。3着1着と最後にしっかりとまとめて予選を終えていただけに、ギリギリ当選には安堵したことだろう。あと、6・17なら大丈夫だろうと目論んで、早々に展望インタビューを収録していたJLCチームも(笑)。坪井はにこやかに自らやってきて、進んでインタビューを受けてくれたのだという。それがお蔵入りになったら坪井に申し訳ないと、肝を冷やしていたのだ。坪井の好青年ぶりが報われてよかった。
一方、なんともゴキゲンだったのは、池田浩二だ。予選ラストは4コースまくり差しで見事に1着。トップ通過の可能性を残して予選を終えていたのだ。まあ、結果的には前半にもう一丁、着を上げていたなら、という思いも残るわけではあるが、快勝で予選を締めくくれたことで、とにかく陽気であった。10Rを3着とした柳沢一には、嬉しそうに「セーーーーフ!」と微笑みかける。逃げ切った同期の寺田祥にもニコニコ顔で近寄っていき、長く会話を交わした。地元のスーパーエースとして、とこなめSGを好成績で盛り上げた安堵も大きかったのかな。とにかく、笑顔が目立つ池田なのであった。
最終的に1位は瓜生正義である。12Rを逃げ切って決めた。12Rを逃げてトップ当選、あと2回逃げるだけ、といういわゆる“王道”に乗っかったかたちだ。もっとも、それに浮かれる瓜生ではないのは当然で、そんなことより勝利者インタビューに向かわなきゃ、と急ぎ足で着替えに向かっている。まあ、予選トップは初めてでもないし、これで心乱れるような瓜生ではない。16年グランプリ以来のSG制覇に向けて、明日明後日も変わらぬ瓜生正義でいることだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)