エグイ足
10Ｒ 並び順
①毒島 誠（群馬）05
②吉川元浩（兵庫）06
③柳沢 一（愛知）05
⑤赤岩善生（愛知）05
④重成一人（香川）11
⑥鶴本崇文（大阪）17
完璧だ。すべてが完璧な逃げ。スリット同体から吉川が差し、柳沢がツケマイを放ったが、回った瞬間にもう毒島は２艇身先にいた。ありえないスピード、そして猛烈な出足。
「エグイ足でしたね」
インタビューで淡々と７号機を讃えた口ぶりは、「節イチです」と意訳されて私の耳に届いた。まさにエグイ足。明日も１号艇でインコースならば、相手が池田でも瓜生でもまったく寄せつけないだろう。それ以外のコースなら、勝ち負けはともかく舟券的な妙味は倍加する。レース直後の私の第一感は「明日もアタマで買いたいパワー」だ。今日の鑑定はS+【出SS・直Ｓ】。
１マークを回った瞬間、焦点は２着争いに絞られた。毒島を挟撃したはずだが、その毒島がいないから吉川と柳沢はすぐに舳先を並べるマッチレースとなった。同体からシュッと鋭く抜け出したのは外の柳沢。毒島の引き波を超えた分だけ吉川の出足が鈍った印象だが、今日は調整を外していた可能性は高い。柳沢の引き波をモロに浴びた吉川は艇がバウンドして３着争いからも脱落した。
柳沢の足は日替わりの印象でＢ＋～Ａあたりと鑑定してきた。吉川を外からねじ伏せたレース足は見るべきものがあったが、イン毒島のそれとは差がありそうだ。ダッシュ戦の同体スリットから自力で仕掛けるだけのパンチ力はないので、明日は展開の利が必要になるだろう。その牽引車は毒島か興津か、どちらにしてもかなり強力なパワーではある。レース後の見立ては据え置きのB+【出Ａ・直Ｂ】。
ワーストバスター
11Ｒ
①池田浩二（愛知）08
②寺田 祥（山口）09
③興津 藍（徳島）09
④峰 竜太（佐賀）15
⑤桐生順平（埼玉）16
⑥湯川浩司（大阪）18
池田が寺田、興津の猛攻をギリギリ凌ぎきった。
湯川の前付けに内５艇が反発してオールスローの枠なり、ほぼ横一線。ヨーイドンの出足～行き足勝負だ。主導権を握ったのは、今日何度も同じ位置から練習しているスロー３艇でこれまた横一線。そこから寺田と興津がじわじわと出て行ってイン池田にプレッシャーをかける。まくりを警戒した池田が早めにターンマークに寄った瞬間、寺田の差しと興津のまくり差しがほぼ同時に発動した。
どっちかの差しが突き刺さる??
見た目にはそんな怪しげな光景だったが、さすがにイン巧者にして地元巧者の池田。早めに寄ったにも関わらず、まくらせない差させない絶妙なスピードで１マークを旋回し２艇の攻撃をまとめて交わし去った。これが池田のインモンキーだ。
28％のワースト機を引いた池田は、前検からピストン２・リング４本、シリンダーケースの「セット交換」に着手。さらに日々の微調整で凡機に活を入れ続け、あれよあれよと予選２位まで上り詰めた。もはや28％の数字は無意味なほどのパワーに仕上がったが、それでも私の評価は辛い。少なくとも今日の毒島７号機とは大差と思っている。据え置きの【出Ｂ・直Ａ】または【出B+・直B+】でいずれにしてもトータルB+。
２着争いは、１マークで惜しくもまくり差しが届かなかった興津が力強く抜け出した。ターンの出口から内の寺田をスーッと突き放し、２マークではやや仕掛けが遅れて全速のぶん回しという戦法になったが、これも出口から押して行くレース足が強烈の一語！ 前検ではＡランクの次位候補～初日（７Ｒで毒島の追撃を寄せつけず、むしろ引き離した足に惹かれた）にＡランクまで引き上げた興津61号機は、今や文句なしのＳ【出Ｓ・行Ｓ】と確信している。どちらかと言えばスローから自力で攻めるべきパワーという気もするのだが、ダッシュ戦でもスロー勢を脅かすに足る破壊力を秘めている。４カドからダッシュ勢の核弾頭になりえる不気味な存在とお伝えしておこう。
拭えない不安
12Ｒ
①瓜生正義（福岡）11
②太田和美（大阪）19
③石野貴之（大阪）10
④中野次郎（東京）16
⑤菊地孝平（静岡）13
⑥坪井康晴（静岡）18
私も含めて瓜生のアタマ舟券を買っている者にとって、もっとも恐れているスリット隊形になった。２コースの太田が凹んで、このレースの核弾頭と呼ぶべき石野がにょっきりと舳先を突き出している。攻めっ気の強い石野のこと、スリット全速ならば（または優勝戦ならば）一気に絞めまくった可能性は低くない。
が、おそらく手前でアジャストしたであろう石野は、太田の伸び返しを認めて強攻を自重した。太田の差しの初動を待ってまくり差しに突入したが、瓜生の航跡とぴったり重なって中途半端な態勢を強いられた。この一連の流れが、その後のレース結果に大きく影響を与えたと思う。
昨日に続いて、瓜生のイン戦はスリットから１マークまで薄ら寒い展開ではあった。それでも逃げきったのだから、３度目の１号艇も心配無用？ うーーん、前検から贔屓にしてきた身の上として、どうしても気になるのがスリット付近の行き足だ。今日も同体の石野に煽られるムードを感じたし、さらにパワフルであろう毒島のハードパンチを受け止めきれるのか。そんな不安が拭いきれないイン逃げではあった。据え置きのA+【出Ｓ・直Ａ】にしつつ、明日は朝特訓からスリット付近の気配に注目したい。
石野、太田の大阪勢がもたついている間に、４カドからスピーディな２番差しで抜け出したのが中野だった。今節の中野は１マークでも２マークでも、こうした小気味いい差しハンドルで何度も他艇を出し抜いている。捌き巧者にぴったりの回り足。たまたま引き当てた49号機がそんなタイプだったと言うより、最近の中野は「次郎タイプペラ」を確立させているのだろう。くるくる回って、展開があれば一瞬で前を追い抜く妖しい刺客。明日の次郎も、思わぬところから舟券に絡んでくるかも？ 今日のところは据え置きのB+【回Ａ・直B+】。（photos/シギー中尾、text/畠山）
