BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村メモリアル 準優ダイジェスト

激辛の瞬足ターン

9R
①前本泰和(広島)11
②原田幸哉(長崎)08
③桐生順平(埼玉)11
④中村亮太(長崎)11
⑤池田浩二(愛知)13
⑥桑原 悠(長崎)17

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「リョータ34」の飽くなき挑戦が終わった。スタート展示は一度は内寄りに動きつつ、そこから4カドに引くというトリッキーな陽動作戦。いざ本番ではまったく動かず、すんなり枠なり3対3のカドに構えた。スタ展の効果としては「スロー3艇を深くして、本番との起こし位置に誤差を与えた」ということかも知れない。。
 さて、スリットからどこまで伸びるか。

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 今節初のダッシュ戦だけに大いに楽しみにしていたのだが、残念ながら出て行くことはなかった。スリットの手前で上体がやや上ずっていたので、アジャストした可能性は高い。スリットほぼ横一線から亮太34が伸びないとなれば、もちろんスロー勢が断然優位だ。前本が逃げ、3コース桐生が例によってバカっ早い初動からバカっ速いツケマイを放った。

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 地元の選手班長として気合パンパンだった2コースの幸哉は、この順平の早すぎる引き波をモロに浴びて失速。バック直線で1-3態勢が固まり、地元第二の矢・桑原が2マークで根性の切り返しを繰り出したが、桐生は何事もなかったかのようにその矢を交わして差し抜けた。2議席、確定。亮太34は道中でも精彩を欠いて6着。地元の三本の矢は、明日のファイナルを射抜くことはできなかった。
 1着・前本、2着・桐生。

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 前本15号機の足は前検からSランクで固定している。予選道中でやや手前に寄せた感もあり、現状の評価はS【出S+・行A+】。行き足から先はやや息切れするが、明日もスロー発進だけにこのバランスのままで十二分に戦える。少しでもスリットでもつれが生じたら、捌いて突き抜ける抜群足だ。
 桐生17号機は日替わりで伸びたり伸びなかったり、出足が来たり来なかったり。調整に四苦八苦している状況が水面に投影されているが、今日はそれなりのバランス型でいい感じに見えた。B+【出B+・直B+】で据え置き。とにかく素性が非力なモーターだけに、さらなる上積み(できればスリット近辺のパンチ力を付けたいだろう)はあまり期待できない。明日は展開とテクニックでどこまで捌ききれるか。出足がキッチリ仕上がれば、もちろん前付けという手段もありえるだろう。ある意味、舟券推理的には順平が明日の最大のキーマンになりそうだ。

成り上がり低調機

10R
①毒島 誠(群馬)09
②石野貴之(大阪)09
③中野次郎(東京)11
④若林 将(東京)11
⑤山田康二(佐賀)14
⑥太田和美(大阪)19

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 ここも枠なり3対3で内5艇がほぼスリット横一線。内寄りのペースから毒島が逃げて石野が差して、という大村の準優らしい展開になった。惜しかったのは石野の差しで、ターンマークを回った瞬間は舳先が入っても不思議ではない勢いに見えた。実際、わずかに入ったと思うのだが、毒島がそれを警戒して落としながら引き波を作り、さらに例によってサイドを掛けないスムースな旋回でギリギリ抑え込んだ。見た目には盤石の逃げにはほど遠い、薄氷の勝利ではあった。

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 2着争いで、惜しかったのは5コースからまくり差した康二だ。4カドの若林をスピーディに叩いて迫力たっぷりの差しハンドルを入れたが、さすがにここは準優。もつれのなかった内2艇にはわずかに届かなかった。
 1着・毒島、2着・石野。
 毒島20号機は苦戦必至の低調機だったが、「初日にピストン2個・リング4本・シリンダーケース」(セット)とギャリアボデーを換えて大化け、たった1日で中堅をはるかに超える足色になった。さらなる整備で4日目の私の評価はバランス型のA【出A・直A】まで飛躍したのだが、昨日の6着で疑問符が生じた。今日のスリット~1マークを見た限りでもAランクは付けられない。暫定の評価は順平と同じB+【出B+・直B+】くらいか。ただ、本人はレース後のインタビューで「方向性を見つけた」と語っており、本番までにキッチリ上位級に仕上げる可能性も低くはないだろう。

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 石野63号機はまずは徐々に行き足~伸びの部分が強化され、そこに後から出足系統が少しずつ付いてきた印象がある。結果的に全部の足が良くなって、差しが入りかけた今日の実戦足がもっとも良かったと思う。昨日までのB+【出B・行A】から同じB+でも【出B+・行A】、上位の下レベルはありそうだ。センター枠の明日、この勝負師がどっちの部分に重きを置いて調整するか。性格的にはバランスを重視するより、どこかしらのパンチ力を求める気がするのだがどうだろう。

大惨事

11R 並び順
①峰 竜太(佐賀)+02
②重成一人(香川)01
③篠崎仁志(福岡)+02
④吉田拡郎(岡山)+01
⑥吉川元浩(兵庫)02
⑤菊地孝平(静岡)03

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 あってはならない大波乱が起きてしまった。大本命の峰が、仁志が、拡郎が激痛の勇み足。もちろん、全国のファンにはレースを台無しにした彼らを叱責する権利があるが、以下の厳罰を鑑みながら少しでも怒りを鎮めていただきたい。
●今日の集団Fによる罰則。
3者共通=来年の平和島クラシックまでSG除外(グランプリを除く)。
峰竜太=児島ダービー取り消し、11/16~12/15までF休み、12/16~3/15までGI・GⅡ除外。
篠崎仁志=児島ダービー取り消し、11/15~12/14までF休み、12/15~3/14までGI・GⅡ除外。
吉田拡郎=11/16~12/15までF休み、12/16~3/15までGI・GⅡ除外。
 ちなみに、2人のダービー除外により、深谷知博(静岡)と前田将太(福岡)が予備1位2位(繰り上がりはメモリアル終了後)。

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 多くのファンを持つ3人の最前線からの長期離脱は本当に残念でならない。とりわけ艇界の至宝的存在になりつつある峰の離脱は、プチバブル中のボートレース経済に暗い影を落とすことにもなるだろう。フライング=選手を休ませるという罰則で本当にいいのか……今日の凄惨な事故を踏まえて、改めて業界全体がこの難題について考えてみる必要があるだろう。

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 さて、コンマ01~03でギリギリ生き残った3人には申し訳ないが、先行する3人が消えた大村水面は気の抜けたビールのような状況になってしまった。ただ、明日のファイナルに進めるのはその3人の中の2人。ファンの枯渇した思いとは裏腹に、実際は雌雄を分かつサバイバル戦だったわけだ。勝負どころの2マークを回って、力強く抜け出したのは菊地、そこに重成が続き、最後方は吉川。それぞれの差はこの段階で3艇身ほどの等間隔に開いており、吉川の追い上げも届かず先行した2艇が最後の2議席を勝ち取った。
 1着・菊地、2着・重成。

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 予想欄でも書いたが、前検での「菊地73号機=スリット付近から出て行く」という見立てはまるで見当違いだった。3日目あたりからB+あたりまで落とし、昨日に至っては全部の足が中堅あるなしのBランク。今日は展示タイムや他の計測タイムも上昇し、ストレート足はそれなりにアップしたと思われるが、今日のレース内容でそれを断言することは難しい。そんな変化を念頭に置きつつ、明日の特訓に注目したいと思う。で、仮にまったく上積みがなかったとしても、この男にはアレがあることを忘れてはならない。準優で悲惨な集団Fが発生した翌日だからこそ、菊地ならではのデジタルスタートが他を圧するシーンも想定しておきたい。

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 重成33号機の足は、実のところあまりよく分かっていない。もっと言うと、重成のパワー評価はいつも難しい。出足、回り足を主体に仕上げていることは間違いないのだが、それらの足がとりとめがないと言うか、特長が現れないまま2・3着を量産して準優進出、というケースがやたらと多い。今節もストレート足は中堅ど真ん中で間違いなく、さて出足・回り足はどんなレベルか……と言われると、ここが掴みきれないのだな。成績やレースっぷりを鑑みて予想ではB+【出A・直B】としたが、とりあえずこれを念頭に明日に向かいたいと思う。明日の特訓だけで急に分かるはずもないのだが(苦笑)。
(photos/シギー中尾、text/畠山)