BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山クイクラTOPICS 4日目

節イチの逃げ

11R
①香川素子(滋賀)11
②今井美亜(福井)16
③遠藤エミ(滋賀)09
日高逸子(福岡)11
⑤平高奈菜(香川)06
⑥小野生奈(福岡)08

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 選手間の評判がやらたと高い香川74号機が、しっかりガッチリ逃げきった。もちろん、今日の香川のインモンキーは完璧な航跡を描いたが、確かなパワーを感じさせる勝利でもあった。スリット隊形は↑御覧のとおり、2コースの今井が凹んで壁のない肌寒いイン戦に。しかも3コースの速攻力が凄まじい遠藤の方がやや覗いてもいた。
 だが、スリットからグングン出て行ったのは香川の方。遠藤が例によって早くて速い全速マイを放ったときには、もう香川は1マークの出口に差し掛かっていた。そこから瞬時に突き抜けて行ったレース足も強烈の一語。74号機、かなりヤバイ!
 一方、香川から5艇身ほど後方の2番手争いは大混戦。内から順に6コースから差し伸びた小野、4コースから二番差しの日高、5コースから全速でまくり差した平高、2コースから差した今井と4艇がほぼ一直線で、自力で攻めた遠藤はわずかに流れて大外の6番手。

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 トライアルとしては大きく明暗を分かつ2マーク勝負。最内の小野が強めの握りマイで主導権を握り、その内に1マークと同じような全速のまくり差しで平高がスパーンと飛び込んだ。昨日は今井の電光石火のまくり差しを浴びた平高だが、今日はリベンジの自力攻めを連発(叩いた相手は今井ではなく逸子ママだったがw)。その後の小野との2着争いにも競り勝った実戦足はかなりいい感じで、前検から劣勢とされたムードはどこにも感じられない。トライアル組では中堅上位はあると見ていいだろう。

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 その平高に競り負けたとは言え、6コースから半周で2着争いまで持ち込んだ小野24号機も十分に戦えるレベル。残念だったのは2周バック~2マークの攻防で、前も後ろもかなり離れた3番手からかなり強引な斜行&切り返しで前の平高を捕えに行ってしまった。その不自然な立ち回りは平高の引き波に乗って逆に失速。後続の遠藤に差し抜かれる結果となった。あの縦長の展開から強引な攻めを選んだのは、やはりレース感覚が戻りきっていないと感じたのだがどうか。
 逆に小野を差しきった遠藤は、道中での多彩な戦法が際立っていた。バック6番手からするすると最内に潜り込んでの切り返しなど、冷静なハンドルワーク&的確な勝負手の連続で3着ゲット。相変わらず、どこまでがテクでどこまでがパワーか分かりにくい3艇抜きなのだが、ゆうに中堅はありそうな追撃ではあった。

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 さらに下位の選手に目を向けると、平高の猛攻を浴びた日高の5着はともかく、今井59号機は明らかにパワー劣勢に見えた。特にストレートはシリーズ組を入れてもワースト級かも(展示タイムの6秒97そのままに)。抽選で明日の1号艇を得た今井がどこまで上積みを図れるか。今日のままの出足~行き足だとするなら、イン戦であってもよほどスタートを張り込まない限り勝ちきるのは難しいと思う。

ふたりvs4人

12R
①寺田千恵(岡山)07
②守屋美穂(岡山)10
③田口節子(岡山)11
松本晶恵(群馬)14
⑤大山千広(福岡)11
長嶋万記(静岡)18

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 前検から評価がうなぎ上りの61号機とともに、寺田がインから危なげなく押しきった。ただ、11Rの香川ほどの圧倒的な力強さは感じなかった。スリット後の伸び返し=行き足は守屋とほぼ一緒。ターンマークをやや漏らしたせいかも知れないが、1マークの出口から押して行く足も守屋と同じに見えた。逆の見方をすれば守屋58号機のレース足が寺田と同じくらい強力、とも言えそうだ。とにかく、逃げて差しての内2艇が旋回ごとに後続をどんどん引き離す様は、そこにパワー差が介在していた可能性は高い。

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 早々に1・2着が決したところで、もう一度別の見方をしてみよう。どんどん引き離された後続の4艇は、すべてトライアル組の中堅以下だったのかも知れない。バック3番手の松本67号機は、すべての直線で大山らにグイグイ詰め寄られていた。今日はリングとキャリアボデーを交換した松本だが、こと直線に関してはさらに悪くしたように感じた。

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 その松本に何度も追いつきながら、逆転するだけの決め手を欠いた大山71号機も「強い」と呼べるレベルではなかった。さらに、松本vs大山が何度も競り合ったのに、その後方から差を詰めることができなかった長嶋39号機も私の期待には遠い足色だった。さらにその後方でどんどん置かれた田口75号機は、11Rの今井とワーストを争うレベルかも。

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 つまりは、単なる「コースの利」では片づけられない1-2決着に見えてしまったわけだが、明日は寺田6号艇&守屋2号艇とくっきり明暗が分かれた。守屋は3連続の2号艇(おそらく2コース)で、明日も引き波でズルリなどという不覚はほぼ起きないだろう。3戦連続2号艇2コース2着でファイナル1号艇となる可能性は低くない。一方の寺田61号機はアウトコースからどれだけ機力を活かすことができるか。そのパワーはもはや疑う余地がないのだが、多数の引き波を超えてどこまで出て行くか、真価を問われる一戦だと思っている。

シリーズ戦

 初日から全44レースの予選が終わり、最終の準優ボーダーは大方の予想通り5・50に落ち着いた。例によって悲喜こもごもの勝負駆けドラマが生じたが、MVPをひとりだけ選ぶなら、もちろんこの女性しかいない。

今日のトップヒロイン
★向井美鈴(山口)

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 2日目から不振の地元勢にエールを送ってきた当欄だが、正直、この向井選手班長の予選突破は不可能だと決めつけていた。初戦からズルズルベッタで6・6・2・6着。予選6走のビッグレースなら、この時点で完全アウトだ。今節のシリーズ戦が42人&予選7走だとしても、体感的には「絶対に無理!」と思っても仕方がないところ。
 ところが、美鈴はやってのけた。3日目から大逆襲の112着!! 今日の1Rは3コースから鬼気迫る強ツケマイを敢行。惜しくもイン高田ひかるには届かなかったが、2マークの大競りに乗じてズッポリ差しの1着をもぎ取った。ラッキー込み込みの10点増しで、次の6Rは②着条件の勝負駆けに。

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 その6Rは今節2度目の6号艇。前回は気迫の前付け3コースから空振りの6着に終わったが、今日の美鈴もまた行った。前回よりも内の2コース奪取!! 実戦はメイチ①着勝負の水口由紀が豪快な4カドまくりで快勝(これまた素晴らしい勝負駆け成功だった!)。向井は軽々とアタマを越されてしまったが、すぐに態勢を立て直して粘り強い差しハンドルを入れ、必要最低限の2着8点をゲットした。
 年々、前付けが減っている艇界で、さらに絶滅危惧種と呼びたくなるほど激減している女子レース界での前付け連発。何度も書いてきたことだが「前付けしたから偉い」のではなく、勝ちたい、予選を突破したい、優勝したいという強い思いがまんま水面に投影される瞬間が、実に尊いと私は思っている。大舞台の選手班長は、自分の成績のみならず全選手のあれこれを管理する責任を授けられる。前付けという戦法はややもすればレース全体やスタートを過激にするのだが、今節の向井は「地元レーサーとしての意地」、「選手班長として恥ずべき成績では終われない」という責任感を優先したのだろう。
 さてさて、強い思いを水面に投影し、奇跡とも呼ぶべき準優入りを果たした向井の明日の枠番は6号艇。今節の向井が地元レーサーとして、選手班長としての最低限のノルマをどこに置いていたか、で明日の作戦待機行動は変わるだろう。特訓やスタート展示でその心を問うとともに、向井が動いても動かずとも、今節の向井への賞賛はもはや変わることはないだろう。素晴らしい真剣勝負を、ありがとう!

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 節間成績への視線をグンと上げると、今節の予選トップ争いは4R終了時点でたったふたりに絞られた(昼の速報に記した通り)。
 7R5号艇の山川美由紀が3着以内なら山川、4着以下なら池田紫乃というシンプルにしてキリのいい最終関門は……スローの4コースを奪った山川が、攻め過ぎず守り過ぎず、絶妙な差しハンドルで悠々と2番手を確保。そのまま安定感たっぷりのターンでゴールを駆け抜け、当たり前のように予選トップの座を手に入れた。うーーーん、強い。
 このレースのみならず、今節の山川は至る所で貫禄の違い、格の違い、経験の違いなどなど、いろんな違いを見せつけてくれた。つまりは、こっちの舞台にいるべき人じゃないとつねづね実感させた。嗚呼、恐るべき53歳。もちろん何が起こるかわからないボートレースだからして「100%優勝」とは思っていないが、今節のシリーズ戦がこの「讃岐の絶対女王」の手のひらの上でコロコロ転がっているような気がしてならない。(photos/シギー中尾、text/畠山)