BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――明暗くっきりの第2戦

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 いやはや、2マークのターンは素晴らしかった。11Rの平高奈菜だ。香川素子が逃げて抜け出しての2番手争い。5艇が横並びの隊形で、平高は外から2番目。これはかなり厳しい位置だ。そこからスピードをつけたまくり差しのようなターンで先マイした小野生奈を捉えてしまった。SGクラスのターンに見えましたな。2着とはいえ、やはり平高は清々しい表情でピットに戻ってきた。満足のいくターンができたことでの達成感すらうかがえた。平高自身「渾身のターン」と証言する。足も上向き、いい旋回もでき、勢いに乗って第3戦に臨めるのは大きい。

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 対照的だったのは、2着もあったはずの小野生奈。平高を猛追したが、2周2マークの旋回が結果的に深追いになってしまい4番手後退。その姿勢はもちろん責められはしないが、小野自身は自分を責める結果であっただろう。着替えを終えると小野はペラ調整所に直行。レース直後だというのに、かなり激しくプロペラを叩いていた。今日の仕上がりに不満を抱え、それを一刻も早く解消したいという気持ちのあらわれだろう。

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 日高逸子もまた、やるせない表情を見せていた。2走連続5着で、勝ち上がりはかなり厳しい状況となってしまった。レース後には粛々としたふるまいではあったが、着替えを終えてピットにあらわれると、自虐的な笑みを浮かべて報道陣に対処しているのだった。これで諦めるグレートマザーではないだけに、明日は鬼気迫るものを見せてほしいのだが。

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 勝ったのは香川素子。1マークで完全にケリをつける圧勝であった。イン逃げ選手のレース後は淡々としていることが多く、香川もまた同様だったが、会見ではとにかくモーターパワーについて景気のいい言葉が並び、それが由来となる気分の良さを随所に感じさせた。結果はもちろんだが、エンジンの良さは選手の機嫌をも左右したりするわけである。

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 12R、長嶋万記が5着。明日は1着でも、優勝戦行きはほとんど絶望的となってしまった。長嶋からは、眉間のあたりに悔しさをたたえる苦笑いばかりが浮かんでいて、敗北感が迫り来ていることがうかがえるのだった。やはり2戦連続6号艇は厳しい。それも、初戦6着からの6号艇はかなりの厳しさだ。もちろん何が起きるかわからないのがボートレース。明日は全力で1着を獲りにいくだろう。それでも、たった3走しかないトライアルでゴンロクを並べては、落胆してしまうのも無理はない。

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 大山千広は、はっきりと顔を曇らせていた。松本晶恵との3着競りはなかなか激しく、最後はまさにハナ差で敗れた。それぞれの旋回はさすがと唸らされるものだったが、松本を追い詰められなかったことのほうが心中を占めてしまうのは当然。何度も何度も首をひねる姿には、苛立ちのようなものも見受けられた。快進撃を見せた2019年、その締めに苦しい戦いを強いられる。ここを突破する力強さを明日は見せつけてもらいたい。

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 大山に競り勝った松本晶恵は、素直に笑顔を見せている。まさにハナ差でしのぎ切ったわけだから、「危なかった」の苦笑いもそこには含まれていた。この3着は初戦5着の身には大きく、4着なら明日は1着勝負を強いられていた。まあ、2着勝負も厳しくはあるわけだが、精神的な圧迫感は変わってくるはずだ。今日もギリギリまでプロペラを叩いて臨んでおり、明日も渾身の調整で勝負駆けに挑むであろう。

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 勝ったのは寺田千恵。こちらも1マークで決着をつけている。機力的な手応えは文句なしで、会見で「出足も伸びも◎がつく足か」と問われて、てらうことなく肯定している。すべての足が仕上がっているのだ。パワー的には今日逃げ切ったふたりが2強か? 明日は大外を引いてしまったわけだが、本来6コースは苦にしない選手だけに、パワーを活かしての上位浮上は充分ありそうだ。

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 というわけで、B組トップでテラッチがいきなり緑を引いて盛り上がった枠番抽選。顔をゆがめるテラッチに対して、長嶋万記が大ガッツポーズ(笑)。長嶋は去年が4枠5枠、一昨年が6枠4枠と、ここのところ外枠ばっかり引いている。そして今年は2走連続6枠。ひとまず6号艇を引く羽目になることはなくなったわけで、そのガッツポーズだ。

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 B組はそれから、平高奈菜が5号艇(ガックリしてた)、松本晶恵が4号艇(苦笑い)と外枠から順番に出ていった。まだ白が出ていないということで盛り上がった4番目の小野生奈は……赤。ここでふたたび長嶋が雄叫びをあげる。テラッチも「ついに長嶋万記が白を引くかぁっ!」と盛り立てる(実際には3年前に1回引いてますが)。勢い込んでガラポンの前に立つ長嶋。でも、ここまでの流れでいけば、黒が出るんじゃないかなあ……というわけで、黒。ずっこけてのけぞるマキちゃんでありました(笑)。今井美亜が残り福の白を引いて、恐縮しつつ抽選は終了。

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 B組の前に行なわれたA組は、まず香川素子が黄色を引き、つづいた守屋美穂が黒を引いてどよめきが起こった。そう、守屋は3走すべて2号艇! 本当は白が良かったはずなので微妙な表情の守屋だったが、明日も2着なら優勝戦の白がかなり近づくわけで。

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 続く遠藤が青を引き、まだ白が出ない状況でガラポンを回した大山千広は……緑! 思いっきり落胆して、ふくれっ面になってしまっていた。白を期待しての緑はキツいよなあ。で、白はその次の日高逸子が引き当てたのでした。

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 ラストは田口節子。残っているのは赤だが……ああっ!「もう3はいらんわー」と言って笑いを呼ぶ節ちゃん。そう、守屋だけでなく田口も3走すべて3号艇! それどころか、②守屋③田口の並びも3走連続だ。なんか今年の抽選、黄が2回の平高とか、青が2回の松本とか、初戦から見れば2走連続6の長嶋、同じく4の日高などなど、同じ色を引く選手がまあまあいましたね。

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 シリーズは勝負駆け。10Rで逃げ切りを決めて成功させた廣中智紗衣は、安堵感たっぷりの笑顔で仲間の祝福に応えていた。減点があっての予選突破はお見事! そして、廣中の心を軽くしてくれたことだろう。転覆以外はオール3連対ですね。力を見せつけたと言っていいだろう。

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 10Rでは、高田ひかるが6着大敗で準優圏内から転げ落ちてしまった。この6着も痛かったが、前半1着キープなら残れていただけに悔いが残る。いたわる喜多須杏奈に高田は「せつない」と一言。たしかにせつない予選落ちだ。

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 この結果、6R終了後から18位で結果を待っていた出口舞有子が残った! 報道陣にそれを知らされると、出口は照れ笑いを浮かべた。囲まれる出口を見て状況を察した関野文が「やったーーーっ!」と出口を祝福。明日は若手たちの声援を背に戦うことになるだろう。

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 予選トップは山川美由紀。すごいの一言! 7R2着でトップを確定させたわけだが、その後も山川はペラ調整に没頭し、まるで手を緩めるところを見せないのであった。こうした姿勢もまた偉大だ。あと2回逃げれば優勝。しかし、そんなことを考えることもなく、全力でレースに臨む残り2日間となるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)