THE勝負駆け①予選トップ争い
ハナ差の逃げきり
午後の速報でも書いたが、予選トップ争いは6Rを境に一気に萩原秀人18号機に傾いた。最大の鬼門と見ていた6号艇を、6コースの最内差しから凄まじいパワーで先行艇をゴボー抜き!! あれよあれよと2番手まで進出して1-6態勢かと思いきや、先頭の①伯母芳恒にグングン迫って追いつき、並び、追い越してしまった。うーん、凄い。昨日の10Rで18号機にまくられた三浦敬太が「オバケが来た」とオカルトチックなセリフを吐いたが、まさに「オバケパワー」全開の1着だった。今日の18号機のストレート足は言わずもがなの節イチ仕様。さらにターン回りもしっかり上位レベルに仕上がり、もはや宮島グラチャンの徳増45号機に匹敵するモンスターと呼んでいいだろう(←と、12Rを見る前に予定稿で書いてしまったのだが……後につづく)。
さて、萩原を暫定2位で追いかけるのは、同支部の大先輩・今垣光太郎。その今垣は9R5号艇から得点の上積みを狙ったが、気合の4コースまくりがイン前沢丈史にキッチリ合わされてズルリ後退。4着=8・00まで下落してトップ争いから大きく後退した。ただ、この時点で今垣の予選3位以内=準優1号艇が確定し、地元のエースとして最低限のノルマを果たす4着とも言えるだろう。今日の今垣63号機は昨日までとは別次元の速い展示タイムも叩き出しており、求めていた直線足がやっと満足の域に達したか。だとするなら、明日の準決勝1・2着→決勝戦の3・4枠あたりで暴れてほしいと思うのだが、どうか(笑)。
予選トップ争いの生き残り&準優1号艇へ、熾烈なサバイバル番組になったのが11Rだ。暫定3位・永井彪也vs5位・吉川元浩vs6位・峰竜太の三つ巴戦。いざ実戦もこの3者が力強く抜け出して後続を引き離す展開となったが、1号艇の吉川がコースの利を生かしてイン逃げ完勝。さらに2着以内→予選2位以内確定だった永井が3着に敗れ、「吉川の2位以内&今垣の2位か3位」が確定した。
さあ、あとは12Rの真打・萩原(節間9・20!)を待つばかり。2号艇の萩原がクリアすべき条件は【5着以内】!! つまり6着、または不完走などの事故を起こさない限りは予選トップというド楽勝な条件になったわけで、それはそれでモチベーションの難しい一戦だったかも知れない。穏やかな枠なり3対3~すんなりの2コース差しというオーソドックスな展開から、萩原18号機は引き波にズルリはまる風情で4・5番手に後退。その後も追い上げるどころか、シンガリの馬場貴也と激しい鍔迫り合いとなった。
「おいおい、6着なら大変なコトになってまうでーー!!??」
私同様、萩原トップで大なり小なりの予定稿を書いていたであろう記者さんたちは大わらわ(笑)。もちろん、水上で5着と6着の差を知っているであろう萩原自身も必死のパッチで馬場の猛追を凌ぎきり、2位の吉川とは同率の8・00ながら1着の数でギリギリ首位を守りきった。競馬で言うなら、「大逃げを打った馬が最後の直線でタレて、大差の後方から追い込んだ馬をハナ差だけ凌ぎきった」みたいなトップ争いではあった(笑)。
6Rで魅せたオバケ足が12Rで不発だった理由は、現時点ではまったく分からない。最終レースのパワー相場が格段に高かったせいかも知れないし、萩原自身の調整やレースの作り方に何らかの失策があったのかも知れない。それは明日の課題として、とりあえずは深紅の優勝旗に一歩も二歩も近づくトップ当選。3位で準優1号艇を勝ち取った前年度覇者の今垣光太郎とともに、福井支部による「無傷の2連覇」が現実味を帯びてきた。
THE勝負駆け②準優ボーダー争い
MVPは北関東代表の……!?
一方、最終ボーダー6・00を巡る争いで、「ピンピン連勝、サヨナラ満塁逆転ホームランで予選突破!」みたいな劇的なサクセスストーリーは見当たらなかった。午後の速報で書いた西島義則が生き残っていれば、やはりココでも主役級の扱いにしたことだろう(落水&5着で傷心の帰郷)。
成績で言うなら、2・2着で昨日の24位→12位まで躍進した木下翔太が下克上のトップヒッターだ。1Rはすんなり2コース差しからの地味な2着だったが、10Rは5コースからのまくり差しが不発→バック最後方から超スピーディーな2マーク差しで上位進出というなかなかに魅惑的な2着だった。前検からエンジン出しに苦しんできた木下だが、パワー相場も踏まえてこの10Rの実戦足はかなりの上積みが感じられた。準決勝の面々とどれだけ渡り合えるかはまだ言及できないが、150キロ級のスピードを誇る浪花の若きエースがかなり不気味な存在に思えてきたぞ。
さてさて、ベスト18に残った面々を見渡せば、SGを獲った猛者がいるわいるわ。実力差が激しいこの大会を象徴するように、全23人のSGレーサーの中から14人が準優に駒を進めた。14/23。一方のノンタイトル組は4/29という狭き門だからして、予選トップの萩原はじめ、4位の永井彪也、10位の前沢丈史、そして木下翔太の4人は胸を張っていいだろう。
さらに言うなら、現役選手が10人以下のボートレース辺境地から準決勝に勝ち進んだ前沢(茨城代表)と菊地孝平(岩手代表)には惜しみない拍手を送りたい。まあ、キクちゃんは当たり前だからして、今大会の予選の勝手なMVPは
【茨城代表の前沢丈史】
とさせていただこう。明日の10Rは4号艇から持ち前のソツのない機動力を生かして、地元のエース今垣光太郎を攻略してもらいたい(笑)。
(photos/チャーリー池上、text/畠山)