BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋オーシャンカップTOPICS 2日目

男は45歳を超えてから!

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 マスターズ世代の“古豪”たちが気を吐いている。まずは45歳の守田俊介。今節の俊介は、予備1位からの繰り上がり(俊吉風では「クリアーガリ」)。この境遇は、初めてSGを制した2015年ダービーとまったく同じ。ついでに言うなら初日に【3号艇1着】という口開けもぴったり合致する。
 で、今日の4Rの俊介は、ベテランらしからぬ豪快な大技をやらかした。5コースから全速ぶん回しのまくり差し、圧勝!! 非凡なスピードが不可欠な高等戦術を、この45歳はいとも簡単に決めてしまった。さすが、20歳前後からSG戦線に名を連ねた天才レーサー。

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「とりあえず握ってみたら、他のみんなが落として回っててビックリ♪」
 レース後のインタビューで振り返ったとおり、このレースは【②桐生順平が差し、③今垣光太郎が3カドから二番差し、④坪井康晴が様子を見ながらのまくり差し】と内の全員が落として回ったところ、ただひとり全速で握った俊介だけが彼らを一気に引き波にハメた格好になった。まあ、ツキも実力のうちだし、それらを軽々と飛び越えるだけの伸び足もあったわけで、リズム抜群の開幕2連勝と見ていいだろう。このあたりの足は前検からキラリ光って見えたが、まさか3・5号艇から連勝できるほどのパワーとは思わなかった。俊介本人は「伸びはいいけど、もうちょい乗り味が欲しい」とのことで、何よりも重きを置いている乗り味が付けばさらに迫力を増すことになる。
 15年ダービー予選は12122着とオール2連対でシリーズリーダーに君臨した俊介。明日の【3R4号艇・11R2号艇】でもその流れを踏襲できれば、3度目のSG制覇も現実味を帯びてくるだろう。

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 51歳の王者・松井繁も本気モードに突入だ。ストレート足が強力な33号機とともに、昨日は3コースからゴキゲンな実戦足で及第点の2着GET。今日の前半3Rは6号艇からオラオラの前付けで4コースを奪ったが、スタートで後手を踏んで5着大敗を喫した。昨日のコンマ21に続いて、このレースも慎重なコンマ23。今節の王者はF持ちがネックで、ゼロ台まで踏み込む可能性はかなり低そうではある。
 だがしかし、早いばかりがスタートの武器ではない。後半8Rは4カドからぴったり1艇身=コンマ15、しかも全速の質の良い踏み込みで突出。33号機の伸び足がこのスタートに呼応し、あっという間にスロー3艇を呑み込んだ。松井は住之江GPから逆算しながら1年間のGOサインを変動させる勝負師、と見ているのだが、今日の4カドまくりが「GO!」のスイッチオンになったのではないか。彼の鋭い眼光が、最低ノルマの準優→ファイナルの好枠へとロックオンした気がしてならない。ちなみに、明日の王者は【10R1号艇】の一発勝負だ。

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 そしてそして、昨日もフューチャーした「東都のエース」濱野谷憲吾47歳は、この松井の豪快なまくりに6コースから鮮やかに連動して2着に入線! 昨日の連勝も込み込みで、6号艇での2着はV戦線に大きなアドバンテージを得たと言いきっていいだろう。明日の憲吾は【2R5号艇&12R2号艇】の正念場。その出走予定表の体重欄には、昨日のそれより1キロ軽い「53」という数字が刻まれた。今晩、サウナ室で大汗をかいたりしたら、明日の2Rまでに実体重は52キロまで落ちているかも? 天才・俊介、王者・松井、東都のエース濱野谷がその気になったらどんだけ強いか、40代後半の底力をとくと見せてもらうとしよう。

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 そうそう、最近の私は趣味のレベルで「予選成績のゴルフスコア変換」を算出している。たとえば1号艇で1着なら0(イーブン)、6着なら+5(5オーバー)、逆に6号艇で1着なら-5(5アンダー)ってな感じなのだが、2日目終了時点のゴルフランキングはこんな塩梅だ。

★ゴルフスコア  予選順位
①守田俊介  -6 1位
①濱野谷憲吾 -6 2位
③松井 繁  -5 16位
④馬場貴也  -4 3位
④守屋美穂  -4 4位
④磯部 誠  -4 5位
④池田浩二  -4 9位
④毒島 誠  -4 10位

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 現状、ゴルフスコアと実際の予選順位にさほど大きな変化は見られないが、予選順位より優秀なスコアを上げている松井繁、池田浩二、毒島誠あたりは、「見た目の順位よりV確率が高い」という見方もできる。で、女子レーサーで好スコアを叩き出している守屋は、明日の【2R3号艇】でどこまでスコア&予選順位を伸ばせるか。ここで【6アンダー】などという数字を生むようなら、ちょっとした事件になる気もするのだが、どうだろうか。

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 最後に……これまで景気の良さげな選手だけをピックアップしたが、今節はその水面下でとてつもない成績で苦しんでいる選手も生まれている。6・6・6=選手間で「オーメン」と呼ばれる不吉な着順を並べてしまったのは……西山貴浩、今垣光太郎、中田竜太の3人!!! どのSGでもひとりふたり6着を連発することはままあるが、3人オーメンは超レアな現象だ。底辺を這い回っている彼らには、かけるべき言葉すら見つからない。とりあえず3人で手に手を取ってお祓いをしつつ、明日からのリベンジに燃えてもらいたい。舟券的には、「穴党の救世主」にもなり得るのだから。(photos/シギー中尾、text/畠山)