BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋オーシャンカップTOPICS 4日目

 今日のおさらいをば。

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 予選トップ争いの経緯はリアルタイム速報で伝えたが、「東都のエース」濱野谷憲吾が圧倒的な大差で逃げきった。
 今節は同じくマスターズ世代の守田俊介、松井繁も力強いパワー&ターンでシリーズを牽引したものの、守田はフライング、松井は優先艇保護違反でまさかの賞典除外に。他でも断然V候補の峰竜太が2日目にいきなり崩れたり、毒島誠が転覆したり、まさに過酷なサバイバルシリーズを、憲吾だけがスイスイと泳ぎきった4日間だった。

☆今日のMVP=小野生奈(2・2着)

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 一方、予選18位を巡る勝負駆けバトルは、最終ボーダーが5・67に収束。例によってさまざまな泣き笑いのドラマが生まれたが、私なりの独断MVPは小野生奈で決まり! 昨日まで予選20位の生奈は、【5号艇&3号艇で3・3着】というなかなか険しいノルマが課せられていた。
 まず第一関門の3Rは、中島孝平の4カドまくりに連動して5コースからスピード感溢れるマーク差しで2着GET。展開の利があったとは言え、まったく焦りのない冷静沈着な差しハンドルが目を惹いた。

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 これで4着ノルマとなった9Rは、3コースのスリット同体から1ミリの迷いもない全速まくりでインの桐生順平に肉薄。惜しくも1着は奪えなかったが、瓜生正義との熾烈な2着争いを制して貯金たっぷりの2着でゴールを駆け抜けた。初日の4・5着というつまずきから、4戦連続2着で逆転の準優進出!
 生奈は2017~18年に4度のSG準優入りを果たしているが、そこからブランクがあって3年ぶり5度目の予選突破。今節の相棒の62号機は2日目あたりから上位級に仕上がっており、5号艇の明日はそのパンチ力を活かす調整、レースに徹してほしい。もちろん、一発ツボにハマれば過去の4回(4・3・4・3着)を上回る着順=ファイナリストも夢ではないだろう。

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 最後に、今日の全バトルの中でもっとも強烈なインパクトを受けたのは、10Rのアレだった。大怪獣・峰竜太のちょっと何がなんだか分からん3コースまくり差し。芦屋の記者席からは1マークの攻防が実に鮮明に見渡せるのだが、峰が初動を入れて回った瞬間、「いやいや、それは入らんわ」と確信した。他の記者も「そりゃ無理だ~」と叫んだものだが、なんのことはない、その3秒後には峰の舳先だけがど真ん中から突き出していた。
「ちょっと入れるトコを間違えたけど、そっからのターンが良かった」
 レース後のヒーローの言葉も、ちょいと意味不明だったけど、とにかく我々は今日も常識破れの異次元ターンを目撃してしまったわけだ。そして、同時にあの妙な旋回からズッギューンと引き波を超えた出足系統にも注意を払う必要があるだろう。2日目に回転を合わせきれず、情けない道中で4・4着に敗れ去った男はもういない。明日の準優にいるのは、かなり強力な出足とともに、得体の知れない光速旋回を繰り出す怪獣なのである。

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 うん、まだまだ「濱野谷のV濃厚」とは言いきれないっすな。(photos/シギー中尾、text/畠山)