BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――奮闘!

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 8Rで松井繁がカドまくり! ねじ伏せるような旋回で、今節初勝利をもぎ取った。三島敬一郎のS評価モーターが火を噴いたかたちだ。
 レース後の松井は……なんと速攻で試運転! 王者は時にこれがあるのだ。レースで得た手応えを、すぐに調整に反映させて、水面で確認する。出走が8Rだったということもあるが、このように早い時間帯でレースが終わったときには松井は迷うことなく水面に出ていく。王者を支えてきたもののひとつは、間違いなく水面に出て自分の身体で感じることを決して厭わないということだと思う。
 10R発売中には切り上げて、その後の行動も素早く、ダッシュでモーターを格納して、10R終了後の2便で宿舎に帰っていった。ベテランになってもこの舞台で戦う選手の多くは、陸での動きもとにかく俊敏な人が多いよね。西島義則もそうだし。マスターズでしか見られなかったけど、加藤峻二さんもそうだった。

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 そうそう、10R終了後の帰宿は「2便」だったんですね。最近、密になることを可能な限り避けるということなのか、帰宿便を増やしているレース場が多いような気がする。特に芦屋のように、徒歩移動の場ではその傾向にあるのではないだろうか。なにしろ徒歩10秒ですから、ここの宿舎は。
 で、9R終了後の1便で帰ったのは……なんと桐生順平のみ。集合場所に来たのが自分一人ということに気づいた桐生は「僕だけですか?」と管理の方に尋ねていて、一瞬だけなんだかバツが悪そうな表情を見せるのだった。まあ桐生のためだけにバスを出すとかじゃないから、遠慮せずに帰ってまったく問題なしでしょう。というわけで、管理の方にマンツーマンで付き添われながら、桐生は宿舎に消えていきましたとさ。ゆっくり休んでね!

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 居残り組で目についたのは柳沢一。ペラ室にいたのだが、ベンチに座って、ただ何もせずにたたずんでいたのだ。そのすぐ横には師匠の原田幸哉。原田はペラ調整に励んでいて、柳沢はなんだか師匠の付き添いのような雰囲気なのであった。この師弟は本当によく行動をともにしているのだが、柳沢が師匠を頼るというより、原田のほうが愛弟子を頼っているような雰囲気がある。柳沢が精神安定剤になっているのかな、なんて思ったり。頼れる弟子なんでしょうね。

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 ペラ室に遅くまで残っていたのは濱野谷憲吾も。初日連勝、今日は6号艇で2着。実に快調に予選前半を終えたわけだが、それでもこの人はプロペラ調整に没頭する。早い便で帰ることもあるけれども、残ってペラ室にこもっていることのほうが多いような気がする。

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 で、濱野谷のTシャツ! これは24場制覇を記念して作ったもののようだが、濱野谷のイラストと思われる人物の周囲に描かれているのは……波多野憲二!? 隣は澄ちゃんですか? 青島さんもいるぞ。あ、師匠の古池さんも! ボート漫画の名作『モンキーターン』、その主人公である波多野憲二のモデルとなったのが、濱野谷憲吾。自身のコンプリート記念Tシャツでコラボしたんですね、現実とコミックが! 素敵です!

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 そうそう、山崎智也のTシャツも目を引くものでありました。背中には女の子のイラストがあって、その上には「5069 Y.KOHANE」の文字。小葉音ちゃんのTシャツですか! そうです、山崎小葉音は智也の娘さん。仲のいい親娘だなあ。娘さんにカッコいいところを見せて、力強い道筋を切り開いてあげてくださいね!

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 9R、平本真之がまくり差しで快勝。いい結果を出して、平本は実に爽快な笑顔を見せている。その後、たまたまこちらと目が合ったら、平本は力強く親指を立ててみせた。この男には、こうしたゴキゲンな様子がよく似合います。快パワーを活かすレースができたことも気分を上げたと思われ、これで勢いに乗れるはずだ。芦屋はGⅠ初制覇の地。ゲンのいい水面で一気に頂点まで駆け上がりたい。

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 10Rはオール女子戦で、守屋美穂が4コースから差し切り1着。昨日の逃げ切りは事故レースでの1着で、レース後は決して相好を崩してみせたりはしなかったが、この1着後も守屋は笑顔を見せることなく、頬をキュッと引き締めた。まったく気を緩めている様子はなかったのだ。これで予選順位は4位につけることになったが、さらに貪欲に上を目指そうという姿勢が守屋の表情にあらわれていたように思う。予選はあと3走、ボーダーが6.00ならあと12点必要だが、大きな着を並べればあっと言う間に順位は下がる。初のSG予選突破へ、明日の3号艇がかなり大事になってきそうだ。

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 その10R、3着に入った平高奈菜が露骨に顔をしかめていた。写真は前半1号艇6着大敗後のものだが、その失敗を巻き返したかったこの女子レース、3着では納得まではいかないし、また足的にもさらに課題が見つかったか。今年はここまでSGはすべて出場、甲子園にも参戦した。強い男子相手に奮闘してきたわけだが、なんだか今日のような険しい表情を見せるレース後が多いように思う。その苦闘の数々が、きっと平高に地力をさらに植え付けているとするなら、そう遠くないうちに爽快な笑顔を見せるレース後もあるだろうと信じる。その一歩一歩が結果につながることを願います。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)